2021年8月11日水曜日

令和3年8月11日

 [さらなる体制整備を]


 東京五輪は日本勢が空前の金メダル27個をはじめ、大いに活躍した大会となりました。一方、先週政府が示したコロナの重症患者やリスクの高い人を除いて自宅療養を基本とする方針については、世論は厳しい反応を示しています。


 4日、党本部で開催された新型コロナウイルス感染症対策本部の会議でも異論が続出。私も「中等症であっても家族感染リスクが高く、緊急搬送体制が不十分であることを考えれば、空きが出ている宿泊施設の活用をもっと進めるべきだ」と訴えました。


 デルタ株の強い感染力を考えれば、40代や50代のワクチン接種が十分でない段階ではいかに部屋や食器を分けても確実に家族感染は広がり、しかも感染者の世話をすべき他の家族が倒れることにより重症化のリスクは格段に広がります。

 医師・看護師の機動的な対応や、複数の抗体を混ぜて利用するカクテル療法など先進的な取組みを生かすためにも、現在移動自粛により空室が目立つ宿泊施設をもっと積極的に活用して患者を家族から隔離するとともに、施設の空き部屋情報の公開や感染者受入れの際の補償の上積みを図るべきです。東京では受け入れ可能なのは3000室弱だと言いますが、倍以上の活用ができるはずです。

 また、やむなく自宅療養をする場合であっても、陽性者へのパルスオキシメーター(酸素飽和度測定器)への配布、健康観察を担う看護師や相談窓口の充実を行うとともに、重症化マニュアルの詳細化やオンライン診療の充実などにより、容態急変時に速やかに搬送できるような体制を整えなくてはいけません。現状、24時間体制で往診できる診療所は全体の1割強で、オンライン診療に対応できる診療所や病院も全体の15パーセントと言われていますが、これではとても足りません。また、昨年来強化が叫ばれている保健所の体制・通信環境の充実も待ったなしです。


 何より、人口当たりの病床数は世界一と言われながら、小規模病院が多く、専門人材もECMO(体外式膜型人工肺)などの治療機器も不十分な日本の医療提供体制のさらなる充実が不可欠であり、それには国のみならず自治体や医療従事者の方々のご尽力が必要になってきます。


 昨年来叫ばれてきた重症病床確保については国の1床あたり1950万円の補助金により1000床余り上積みされましたし、今年初め改正された感染症法は都道府県知事による病床確保の要請や勧告の権限が強化されましたが、大規模病院への集約化や県をまたぐ搬送への対応が不十分なため、有効に活用できていないとの指摘があります。広域医療計画を関係機関の関与のもと改正し、また軽症化した患者を速やかに大病院から引き取らせるルールも定めて欲しいと思います。


[ワクチンにおける前進]


 この欄で触れているワクチンの充実については、8月9日までに総接種回数が1億回を突破しました。また、8月16日からアストラゼネカ製5万2800回分を、緊急事態宣言発令中の6都府県に供給すると国から発表されました。ファイザー製ワクチンについても7~9月までの供給量を600万回増やすことが決定したとのことです。


 各自治体には9月までのワクチン供給量の見込みが提示され、これで供給の目処が立たず一時停滞したワクチン接種が安定的なペースで再開されると期待されます。また、自治体側には現在2000万回以上のファイザー製ワクチンの在庫があり、それを配分調整すれば相当接種速度のバラつきがなくなってくると思います。


 もっとも、対象年齢12歳以上の希望接種完了は10月から11月とされていますが、若い世代には、コロナの重症化度合が少なく、一方副反応が大きいと言われるワクチン接種がどれだけ進むかが懸念されており、また重症化リスクの大きい40代から50代にかけてはもっと集中的にワクチンを打たないと今の感染急拡大に追いつきません。


 秋口に在庫が増えるような事態になれば、感染力拡大とワクチンの効力維持効果も見極めつつ、3回目接種について検討を進めていくよう政府に働きかけていく所存です。

2021年8月3日火曜日

令和3年8月3日

 [57年ぶりの夏季五輪]


 連日熱戦が続く東京オリンピックでは日本選手が大活躍。8月3日時点で金メダル数は17個となり、お家芸の柔道や体操のみならず、フェンシング、卓球、ソフトボール、競泳など多様な種目で国民の感動を呼んでいます。


 要因の一つとして、この東京五輪に合わせた競技力強化策があると思います。私が文部科学大臣時代にスポーツ庁長官をされていた鈴木大地さんのもとで、各競技団体の強化策や大会成績をもとに競技強化費を配分。総額も2013年度の33億円から2021年度には103億円となり、上記したお家芸以外の強化にも貢献しました。


 先月4日に実施された東京都議選では五輪開催の可否が争点となり、確かに自民党は苦戦しましたが、開会式をはじめテレビ中継が高視聴率であること、五輪を通じて伝わる努力やチームの仲間の素晴らしさへの共感、ポストコロナに向けた世界との連携強化などを考えれば、やはり無観客会場がほとんどでも開催してよかったと思わずにはいられません。


 他方、デルタ株の強力な感染力は猛威をふるい、既に五輪開催前から首都圏以外にも広がっていた感染者数は1日1万人を超え、東京ではついに4000人を超える規模となりました。

 重症化リスクの高い高齢者へのワクチン接種がほぼ完了していることや医療提供体制の強化が進んでいることから、この冬に感染拡大した時ほどの医療ひっ迫には達していません。しかし40代、50代の重症者は、都内では6月末の18人から8月1日には53人まで拡大しており、熱中症などの救急搬送も相まって、すぐに入院できずに自宅で療養する人が増えています。


 前回のこの欄で、ワクチン接種は7月末以降若年層職域接種が進むという見通しについて書きましたが、8月中旬以降にずれ込んでいます。また、自治体のファイザー製ワクチンは、調整枠の削減措置が撤回され、懸命に自治体と国、また医療従事者の方々のご尽力により接種が進んでいますが、菅総理が示した「8月下旬に2回の接種を終えた国民が4割に達する」見通しを達成するには相当の努力が必要となります。


 かくなる上は、やはり国民の皆様に感染拡大防止のための行動にご協力をいただくことがとても大切になってきます。現在感染の大きな割合を占めるのが若い世代の方々であり、貴重な日々に自粛生活を送るのは本当に忍びないのですが、ご自分のみならず大切な周りの人たちを守るため、お力をいただきたく思います。都知事が「8月は旅行でなくテレビの五輪観戦でステイホーム」とおっしゃっていますが、そのとおりだと思います。


 2日からは東京や沖縄以外の4府県で緊急事態宣言が発効し、期間も31日までと長くなりました。影響は大きく、前回のこの欄で触れたとおり、緊急事態宣言に伴う営業制限についても再検討して、一律営業禁止ではなく感染対策不十分な営業や、その結果感染が発生した場合のより厳格な罰則規定を設けるなどといった議論を始める時だと思います。さらに、諸外国でスタンダードになっているワクチンパスポートないし接種済み証の活用を行うべきでしょう。

 また、支援策についても、飲食店への協力金の前渡しや雇用調整助成金特例措置の延長などに加え、融資について返済不要とする方策(出資への切り替えや金融機関への補助など)を景気対策として打ち出すなど、迅速で実効性のある対策が求められます。当然補正予算の編成も必要となるでしょう。


 そして今こそコロナ後の給付迅速化や新経済を目指すデジタル・イノベーションや、温暖化対策を強力に進めるエネルギー政策の議論、統治や経済のガバナンスの議論などを進めなければいけません。


 厳しい日々を何とか乗り切れるよう、引き続き尽力して参ります。