2018年7月22日日曜日

平成30年7月22日

[通常国会閉幕]

 長い通常国会が終わりました。最後はIR(複合型観光施設)法案や参議院定数6増の公職選挙法改正案を巡る混乱がクローズアップされましたが、これからの多様なライフスタイルと生産性向上に資する働き方改革法案や、子育て支援充実と企業の貢献を内容とする子供子育て支援法案、米国を除くTPP(環太平洋経済連携協定)関連法案、18歳を成年とする法案などが成立し、成果の多い国会でした。

 公文書改ざんなど行政の信頼を揺るがす問題も発生しましたが、この欄で紹介したとおり、再発防止に向けた真摯な取組みをしているところです。

 そのような中で発生した西日本を中心とする豪雨災害では死者が200名を超え、自衛隊をはじめ全国から多くの方々が懸命の捜索・救助・支援にあたって下さっています。改めて被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、ご尽力をいただいている皆様に衷心より感謝申し上げます。

 私たち与党も対策本部を設置し、被災地の上下水道や道路・鉄道・橋梁などのインフラ整備、通信や医療・介護などの体制の正常化、避難所にいらっしゃる方々や支援にあたられる方々の暑さ対策、被災された方々の生活再建や各種事業への支援、膨大な災害廃棄物の処理や衛生確保、全てに関わる早急な財政措置など、地元議員や党の視察団を中心として相次いで要望し、徐々に成果をあげているところです。引き続き官民一体の復興を応援して参ります。

[長く厳しい国会改革への第一歩]

 10年前から党派を超えて国会改革に取り組んできましたが、国民の期待にこたえる審議の充実、行政監視機能の強化などにはなかなか至っていないと反省せざるを得ません。
 そうした中、平成のうちに何か成果を着実にあげようという有志の会が立ち上がり、集中的に議論を重ね、この度提言をまとめて衆議院議長に提出する運びとなりました。

 この動きが国会運営を議論する衆議院運営委員会のペーパーレス化に向けた取組みを加速化するなど、着実に成果をあげつつあります。参議院にも波及し、今後国会全体の更なる改革につながっていくことを期待するとともに、以下提言の主文と役員構成を紹介します。事務局長を務めた小泉進次郎議員、各党の皆様、そしてこれまで国会改革に長く携わってこられた方々に心から感謝致します。


平成30年7月 「平成のうちに」衆議院改革実現会議

 平成のうちに、どんな小さいことでも、ーつでもいいから、衆議院改革を実現する。こう した強い覚悟で、「平成のうちに」衆議院改革実現会議を設立した。 第1回の会議には100名以上の超党派の議員が参加した。まさに、国会改革の必要性・緊急性について、与野党を問わず、多くの議員が危機感を共有していることの表れである。 これまでの会議を通じて、幅広い分野にわたり、有意義かつ建設的な意見が出された。これら全てが重要な意見であり、我々は、あくまで有志の集まりとして、国会において、これらの内容を精査の上、実行することを望むものである。 もとより、国会改革は、議院運営委員会において進められることは論を待たない。今国会においても、議院運営委員会は、配布資料の一部ペーパーレス化や質問主意書の調整日数拡大など国会改革を着実に進めて頂いている。しかしながら、「平成」において各党の先人が 衆知を集め、互いの立場を尊重し貴重な合意に至った、国会改革に関する累次の「平成の合意」については、いまだ実現に至っていない。今後は、既に議院運営委員会の下に設置されている、国会法改正等及び国会改革に関する小委員会(国会改革小委員会) において、改革を進めていくことが不可欠である。 特に、平成26年「国会審議の充実に関する申し合わせ」は、国会審議の充実に向け、当時の与野党7党の国会対策責任者が党派を超えて合意し署名に至ったものであり、今後の議論の基本にすべきものである。 その上で、以下についても、国会改革小委員会において早急に議論を開始し、平成のうち に実現すべきである。

提言

1.党首討論の定例化・夜間開催の実現

 平成26年「国会審議の充実に関する申し合わせ」でも党首討論を1力月に1回開催することとされていたが、国民への説明責任を強化するため、例えば、今後は2週間に 1回、討論のテーマを決めて党首討論を開催、また、党首討論は夜に開催し、より多くの国民が視聴できるようにするなど、充実した討議が行われる環境を整備すべきである。

2.衆議院のIT化

 国会のIT化を推進し、国会審議の効率化・意思決定プロセスの透明性向上を図るべきである。例えばーつの手段として、衆議院におけるタブレット端末を導入・活用すべきである。

3.女性議員の妊娠・出産時等への対応

 女性議員が妊娠・出産時等により表決に加わることができない場合、現状では同議員による意思の表明が困難である。今後は、こうした場合に代理投票を認めるなど、必要な対応を速やかに実施すべきである。

 その他の課題については、平成のうちに必ず国会改革の風穴を開ける覚悟で、引き続き実現会議で、継続的・主体的に議論を深めていく。また、臨時国会における議院運営委員会・ 国会改革小委員会での、議論のキックオフを後押しする意味でも、臨時国会開会直後に、実現会議を再開し、改革の機運を更に高めていきたい。各党・各会派においても、国会改革についての議論がなお一層深まることを期待したい。

「平成のうちに」衆議院改革実現会議

会長 浜田靖一

会長代行 佐藤勉 古川元久

副会長 御法川信英 伊藤渉 馬場伸幸 細野豪志

幹事長 泉健太

幹事長代行 柴山昌彦 笠浩史

事務局長 小泉進次郎

各党実務者 山下貴司 笹川博義 福田逹夫 中野洋昌 井上英孝 源馬謙太郎

2018年7月7日土曜日

平成30年7月7日

[歴史の節目]

 昨日6日大規模な大雨が日本各地を襲い、大きな被害が出ています。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。政府には万全の対応をお願いするとともに、前回のブログで提言した再エネの拡大など、温暖化対策の一層の促進を強く要望するものです。

 また、昨日はオウム真理教による一連の刑事事件で死刑判決が確定した松本智津夫死刑囚はじめ7名の死刑が執行されました。

 思えば議員として、オウム事件被害者の救済のための議員立法に携わったり、法務委員会で教団への今後の対応策について質問するなど、私自身もかなり深く関わってきており、感慨もひとしおです。上川法務大臣は、関連事件の刑事裁判の終結や現時点での教団への影響などをしっかり見極めた上で、法に基づいて死刑を執行したのであり、一部には真相解明がまだできていないなどという批判もありますが、現在の同死刑囚たちの環境からしてそうした解明がほぼこれ以上期待できないということからも、今回の決断を私は支持します。

 戦後未曾有の一連の事件に一つの節目がついたことになりますが、しっかりそこから得た教訓を今後の行政に生かしていかなければなりません。

[世界への波及が懸念される米中問題]

 日本時間で昨日6日午後、トランプ大統領は予告どおり中国産ハイテク製品などに25パーセントの追加関税を課す制裁措置を発動しました。知的財産権侵害を理由とするもので、中国からは報復関税措置が表明されており、両国の経済摩擦は深刻化が避けられない状況です。

 アメリカの貿易赤字の問題と、中国の知的財産権侵害の問題は一応区別して議論しなければいけませんが、いずれにせよトランプ大統領の突出した保護政策の矛先が日本にも向かないようにすることや、米国を含め世界が自由貿易体制をしっかり維持することを、日本が中心となって主張していかなければいけません。
 茂木経済再生担当大臣とライトハイザー米通商代表部代表との間で、しっかりFFR(自由公平互恵)の原則に従った交渉を進めてもらいたいですし、日EUのFTAや東アジアRCEPなどの枠組み強化を通じて、アメリカともTPP交渉に入れるよう是非取り組んで欲しいと思います。

[公文書管理改革への大きな一歩]

 やはり昨日6日、自民党・公明党の公文書管理改革ワーキングチームが最終報告書をまとめ、首相官邸に提出しました。政府CRO(記録担当長官)の新設をはじめとする公文書管理のガバナンス強化、電子文書の共有フォルダ構築をはじめとする保管体制改革、文書の不適切な扱いについての懲戒処分の明確化など、先般提出した中間報告と併せてかなりの力作になったと思います。森友・加計問題、自衛隊日報問題のようなことが二度とないよう、しっかりフォローアップを行っていきます。以下提言を紹介します。


公文書管理の改革に関する最終報告

 

平成3076

与党公文書管理の改革に関するワーキングチーム

 

自民党・公明党の両党では、昨今の公文書をめぐる様々な問題について責任ある対応策を講じ、一刻も早く国民の不信を払拭するため、与党政策責任者会議の下に設置した「公文書管理の改革に関するWT」において精力的に議論を行い、4月27日、政府に対し、「公文書管理の改革に関する中間報告」の申し入れを行った。同中間報告書では、政府に対し、早急に取り組むべき緊急的課題としての【要請事項】を申し入れるとともに、引き続き与党WTとして検討すべきものとして11項目の課題を指摘した。

その後、当WTからの【要請事項】について政府が速やかな対応を取っているか厳しくチェックをするとともに、対応が不十分な場合には追加的な対応を慫慂しつつ、11の継続検討項目について議論を深めてきた。併せて、中間報告後に提出された財務省・防衛省の調査報告についても検証を行い、以下のとおり最終報告を取りまとめた。

一連の問題に対する国民の不信・疑念は未だ完全に払拭されたとは言えず、政府には引き続き真摯な説明と改革の断行を求める。当WTとしても、引き続き、政府の実施状況を厳しくフォローアップするとともに、必要があれば更なる改革の実行を求めていく。

 

Ⅰ.総括

 

1.最終報告における検討の基本的考え方

行政の日々の業務では、公文書を用いて議論、検討、意思決定し、その結果を公文書により明らかにし、実施に移している。また、公文書は、過去の経緯を検証する等の意味において将来の仕事のためにも必要である。すなわち、公文書の作成・保存は国家公務員の本質的な仕事そのものであり、決して付随的な業務ではない。また、国家公務員は、主権者たる国民の信託を受けた国政の行政事務を遂行するものであり、公文書は国家公務員のみの所有物ではなく、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資産であることも自覚すべきである。

一連の問題の背景には、こうした公文書に対する基本的認識が決定的に欠落していたと断じざるを得ず、改めて、公文書は、国家の行政運営の土台、国民共有の資産であることを確認するとともに、今般の一連の事案による行政・政治に対する国民の不信を払拭する決意をもって検討を進めた。

 

その上で、今後政府の隅々まで的確な公文書管理を徹底していくためには、PDCAサイクルの徹底と反映が不可欠であり、以下の二つの視点が大切であるとの結論に至った。

①一般的・抽象的な理念を示すのではなく、日常業務の遂行が自然と的確な公文書 の作成・保存につながるような具体的仕組みを早急に構築すること。

②政府全体、各府省それぞれに、あるべき姿を明示し、出来ることから順次進め、常に運用状況をチェックし、不備があれば改善を求める体制を構築すること。

こうした改革には、一定の期間を要する。だからこそ、一刻も早く具体的な対応方策を決定し、その実行に着手しなければならない。改めて、政府には危機感と責任感をもって早急に改革を断行することを求める。

 

2.最終報告のポイント

 

Ⅱ~Ⅳに記載の内容を簡潔にまとめれば以下のとおり。

 

(1)中間報告後公表された財務省・防衛省の調査結果を厳しく検証したが、財務省の報告書については、前代未聞の決裁文書改ざんが何故止められなかったのか、組織全体のガバナンスのあり方も含めた再発防止策の十分な対応が必要であり、財務省は真摯な反省に基づく抜本的・具体的な再発防止策を速やかに講ずべきである。

 

(2)中間報告【要請事項】で要請した、新たなルールに基づく各府省の文書管理の徹底と内閣府・公文書管理委員会による実態把握については、実態把握が各府省からの報告を受けるだけの受動的なものに止まっており、実地調査等も含めた詳細な調査を早急に行うべきである。

また、中間報告【要請事項】については、eラーニング研修の導入など政府において一定程度対応が取られているものがある一方、未だ検討段階にあるものが多々見受けられる。電子文書共有フォルダの体系的管理などについては、内閣府において早急にマニュアル等の作成を行うよう改めて厳しく求める。

 

(3)中間報告で引き続きの検討事項とした項目についての当WTとしての検討結果は以下のとおりである。

 

《政府CROの設置等、公文書管理の実効性ある体制強化》

①政府全体の公文書管理の適正の確保を統括する責任者として、内閣府に公文書管理法に定める内閣総理大臣のチェック権限(報告・資料提出の求め、実地調査)を担い行使する独立のハイレベルの責任者(政府CRO(Chief Record Officer))を新設し、各府省に対する調査・監督などを行わせるとともに、下記②の各府省CROを統率させるべきである。なお、政府CROは、効率的・効果的な電子的文書管理等を推進していくため、政府CIO等関係機関と連携していく必要がある。

また、既に決定されている新国立公文書館の建設にあわせて人的・質的な充実を図ることによって、国立公文書館の体制を強化し、文書管理に関する専門的知見の集積機能を向上させるべきである。その一環として、アーキビスト養成の取組みを一層充実させ、資格化することを検討するとともに、政府CROの指揮の下、権限を付与したアーキビストを各府省に派遣し、各府省の公文書管理の適正化を支援させる枠組みも検討する必要がある。

②各府省における公文書管理の体制を強化するため、文書管理の責任者である官房長等を実務面からサポートするとともに、政府CROと連携して各府省の文書管理状況をチェックする各府省CROを新設すべきである。

 

③公文書管理の違反等に関する公益通報を実効あるものとするため、政府CRO及び各府省CROを中心とした公文書管理に関する公益通報専属の窓口を各府省及び内閣府にそれぞれ新設すべきである。

 

《電子的手法による体系的、効率的文書管理の充実》

④行政機関は、組織として用いた公文書について国民に対する説明責任を果たすことが必要であり、その際、組織的な確認、検討を経ない職員個人限りの文書が混在していると、政府の組織的な意思決定過程等の理解をミスリードすることになりかねず、組織的に用いられた公文書と職員個人限りの資料が混在した状態は厳に避けるとともに文書の実態と形態を揃えて、適切な場所に保存しなければならない。そのためには、電子文書について体系的で分かりやすい共有フォルダ構造を構築する必要があり、各府省の文書管理者(各課長等)が責任をもって業務の実情を踏まえた検討を行い、決定すべきである。また、新たな共有フォルダ構造の構築にあたっては、既存のフォルダの改築ではなく、新規にフォルダを作成し順次移行する「新築、順次引っ越し」方式とすべきである。内閣府は、今後のフォルダ整理のあり方に関して、本年度中に各府省共通マニュアルを整理・発出すべきである。

 

⑤行政文書を共有する方法を適正化することで文書の所在を所管課が確実に把握するため、特に厳格な管理が必要な行政文書については他部署へコピー供与はせず閲覧権限を付与することとする一方、コピーを供与する場合には、所管課において供与履歴を管理し、供与先の保有・廃棄状況を把握する等の対応を取るべきである。また、共有が広く可能な情報については、府省内掲示板の活用を検討すべきである。

 

⑥電子メールの保存・保管について、先ずは、内閣府において、どのような電子メールが意思決定過程等の跡付け等に必要なものとして共有フォルダ等に保存すべき電子メールであるかについて具体例を示し明確にすべきである。また、内閣府においては、諸外国の例も研究の上、例えば、一定期間経過時に、作成者や第一取得者等の職員に分類整理を促し、その整理に従って電子メールが共用の保存場所に保存されることとなる等の仕組みについても検討すべきである。

 

《各府省における情報公開体制の整備》

⑦各府省における情報公開対応の体制を強化するためには、各部局に対する指導・助言等の機能強化が不可欠であり、公文書管理徹底のための各府省CROの体制は、情報公開に関する指導・助言等も一体的に行う体制として構築すべきである。

また、各府省の実情に応じ、開示請求対応に経験・知見を持つ者(再任用職員を含む)を官房等に確保し、各部局の作業を補助させることも検討すべきである。

 

《電子決裁システムへの移行の加速》

⑧電子決裁システムへの移行について、業務プロセス全体の見直しと電子化と併せて移行を加速化すべきである。その際、総務省は業務改革(BPR)を推進する立場から、業務プロセスの見直しを各省任せにせず、必要な助言等を行うとともに、速やかに、電子決裁への移行についての政府方針を取りまとめ、電子決裁への移行進捗状況を継続的にフォローすべきである。また、総務省及び各府省は、文書管理システムの処理能力の向上を含め、電子決裁の使い勝手が向上するようシステム改修を行うべきである。併せて、会計事務についても、会計検査の際の証拠書類、検査資料提出を電子的に行うことを含め、業務を効率化するため、電子化を進めるべきである。これに資するよう、官庁会計システム(ADAMS)の次期更改の際に電子決裁機能を追加すべきである。

 

 《刑法犯罪に至らない不正・不当な行為への対応策》

⑨刑法犯罪に至らない不正・不当行為への対応として、人事管理の中で、適切な文書の作成・保存を慫慂し、評価することにより、組織全体としての「文化」を築き上げていく仕組みをビルトインすべきである。その上で、人事評価において、公文書管理への取組を明確に評価項目の一つとして位置づけ、処遇に反映することとし、内閣人事局において早急に検討し、実施に移すべき。更に、懲戒処分について、各府省の指針となる人事院の「懲戒処分の指針」では、不適切な公文書管理を行った場合の扱いが具体的に明示されていないことから、人事院において、同指針に「公文書に関する不適切な取り扱い」を重大な非違行為として明記するとともに、適正な公文書管理を求める国民の意識の高まりを十分反映した厳しい処分基準を定めることを求める。

 

 《外交・防衛機密に関する情報公開のあり方》

⑩外交・防衛機密に関する情報公開については、国民の関心も高く、国民に状況を的確に説明する責任がある一方で、その特殊性から、国の安全や利益を損わないよう、特に慎重な判断が必要であり、多くの時間とマンパワーを要する状況になっている。この点、そもそも防衛機密などを厳格に管理する観点からは、何が公開してはいけない情報なのか、業務遂行過程において常に意識しておくべきものであり、先ずは、外務・防衛両省において、機微情報を含む文書について、作成・保存の段階において、何が公開すべき種類の情報で、何が不開示とすべき種類の情報であるかを考え、できるかぎり両者を区分した書式・様式とすることを早急に検討すべきである。その上で、外務省・防衛省を中心に、必要な説明責任を果たすことを前提に、各国の制度の下での特例法や運用実態などの把握により一層努め、引き続き研究を深めていくこととする。併せて、国の安全の確保等から公開を控えるべき情報を除き、Webサイト等での積極的な情報提供に努めるべきである。



Ⅱ.「中間報告」後における財務省・防衛省の調査結果の評価

 

1.森友学園問題

(1)本年6月4日、財務省は、調査報告書を公表。

(2)改ざんした決裁文書を国会に提出、国会で存否が問題になっている応接録の廃棄を行ったことは、国会に対する冒涜であり、国民の共有資産である公文書を私物化する言語道断の行為であり、財務省は猛省すべき。

(3)報告書では、改ざんや廃棄に至った経緯・事実関係について一定の整理がされているが、十分な再発防止策がとられる必要がある。なぜこうした前代未聞の行為を進めることができ、また、誰も止めることができなかったのか、組織全体のガバナンスのあり方も含め、真摯な反省に基づく抜本的かつ具体的な再発防止の取組みを速やかに行うことが必要である。

 

2.自衛隊日報問題

(1)本年5月23日、防衛省は、イラク日報の問題について調査報告書を公表。

(2)大臣からの探索指示を受け、現場では日報の存在を確認しながらなぜ1年以上も大臣に報告をしていなかったのか。報告書によれば、防衛大臣の指示を組織内に徹底できなかった、部局における普段からの意思疎通が不十分で、探索をした担当者と文書の存在を認知していた者との情報共有ができていなかったこと等が指摘されている。「隠蔽」の意図がなかったとしても、公文書管理に対する意識が不十分であり、シビリアン・コントロールにも関わりかねない重大な問題をはらんでおり、こうした事務処理は不適切と言わざるを得ない。

(3)防衛省では、防衛大臣の指示・命令を履行する体制の強化、監察組織の新設など公文書管理・情報公開のチェック体制の強化、電子行政文書を一元的に保有・把握するための体制の検討や、統幕における専属体制の強化等などを進めることとしており、こうした再発防止策を確実に実施することが求められる。

 

Ⅲ.中間報告での「要請事項」に対する政府の対応と評価

 

「中間報告」における【要請事項】への政府の対応状況について検証したところ、以下のとおり、取組みが進められているものも多々ある一方、未だ検討途上の事項が多く見られる結果となった。改めて、政府に対し、速やかに具体的な対応を行うよう求める。

 

1.【要請

  ①内閣府から新たなルールに基づく各府省の文書管理の状況について報告を受けたが、各府省からの報告を前提とした、受動的で未だ概括的なものに過ぎず、各府省の現場の実態を確認するものとはなっていない。

 

②内閣府においては、新たなルールに基づく各府省の文書管理の具体的な運用レベルの実態について、実地調査等も含めて詳細な調査を行い、公文書管理委員会に報告するとともに、各府省の管理の実態を継続的に把握すること。

③また、文書管理担当者については、新たなルールの下では、各課に一人の設置が求められているが、各課必ずしも1名に限ることなく、実態に応じて各係や各班の状況を把握できる複数の担当補佐を文書管理担当者として指名すべきである。

④行政文書の判断として、1年未満保存文書の判断基準は外形的に示すことができるレベルは提示されたが、運用する中で、さらに精度をあげるよう努めること。

 

2.【要請】 

①電子文書の共有フォルダ等での体系的管理等、他部署・他課等との文書共有ルールについては、未だ具体的なものとなっていないのは遺憾。早急に、考え方や留意点をガイドライン等で明確に示すこと。内閣府は、システム整備を要せず実現可能なものについて、速やかに結論を出し、各府省に指示を行うべきである。なお、自衛隊日報のように掲示板へのアクセス履歴が残らない仕組みのため、組織内に文書が散在するようなことが今後なきよう、適切にアクセス権を付与できるようシステム改修も含めた改善を行うべきである。

②文書の位置付けや確度明示の全府省共通の「ひな型」については、内閣府において、各府省に具体的な提示を行なったが、今後、各府省が共通の「ひな型」に沿って文書管理を始めるよう、内閣府は、各府省に指導すること。

 ③電子決裁の推進については、業務プロセスやシステム見直しが必要であり、総務省において、各府省の実態把握結果を踏まえつつ、速やかに政府方針をまとめるべき。 

④決裁後の修正の範囲、修正手続の明確化については、決裁後の修正は禁止であることを再確認するとともに、必要な場合は取り直しを行うこととし、明らかな誤字脱字など例外的に修正を行う場合には、決裁権者の了解の下、修正権限を与えられた者だけが修正等を行うべきである。内閣府において、速やかに詳細を整理して各府省にルールを提示し、各府省はこれを、「文書取扱規定」等に反映すべきである。

また、総務省は、文書管理システムについて、ルールを踏まえた改修を早急に実施すべきである。

さらに、各府省は、それぞれ決裁文書に記述する内容や編綴する資料の在り方の考え方を明確化し、速やかに内閣府・公文書管理委員会に報告することとする。

e-ラーニング研修については、内閣府において、研修の拡充に向けた対応が進められており、その効果を検証しながら、実施すること。また、公文書管理者向けの対人の「特別な研修」は年内に実施し、遅くとも、平成31年度から新たな研修体系を稼動させるべき。 

 


 

Ⅳ.今後の検討事項の検討結果と政府への新たな申入れ事項

 

1.公文書管理の実効性ある体制強化

 

(1)公文書管理の専門官やアーキビスト含む内閣府、国立公文書館の体制整備

①内閣府は、公文書管理制度を所管し、政府全体の文書管理を監督・統率する立場にあるが、専任の幹部が不在で、官房業務を多く抱える官房長や官房審議官の兼務となっている。十分な体制を整備してきているとは言えず、政府全体の公文書管理の適正化を図るため、公文書管理法に定める内閣総理大臣のチェック権限(報告・資料提出の求め、実地調査)を担い行使する独立のハイレベルの責任者(政府CROChief Record Officer)を内閣府に速やかに新設すべきである。

②政府CROには、各府省のCROと密に連携しつつ、各府省の文書管理の状況を一元的に把握し、各府省に対する監視、助言・指導、監査・実地調査等を行うための強い権限を付与すべきである。同時に、政府CROを支えるスタッフ(公文書管理課)の体制を大幅に強化する必要がある。

③既に決定されている新国立公文書館の建設にあわせて人的・質的な充実を図ることによって、国立公文書館の体制を強化し、文書管理に関する専門的知見の集積機能を向上させ、政府CROがその知見や人材を活用できるようにすべきである。そうした取組みの一環として、アーキビスト養成の取組みを一層充実させ、歴史的文書のみならず、日常の公文書管理についての専門的知見も備える者とし、求められる能力の種類や水準、職務、キャリアパス等を明確にし、資格化することについても検討する。政府CROの指揮の下、権限を付与したアーキビストを各府省に派遣し、各府省の公文書管理の適正化を支援させる枠組みも検討する必要がある。更に、将来的には、各府省においてもアーキビストを育成することを検討する。

④なお、政府CROにおいては、効率的・効果的な電子的文書管理等を推進していくため、政府全体のIT化を統轄する政府CIO等関係機関との連携体制を構築すべきである。

 

(2)文書管理を専門的・客観的にチェックする各府省のガバナンス体制の構築

 ①政策の経緯等を保存するところまでが政策形成活動であることを踏まえれば、公文書管理は業務遂行そのものである。各府省の公文書管理は、業務とあわせて統率することが不可欠であり、引き続き、各府省の政策、業務遂行全体を管理し、責任を持つ官房長等が、府省全体の文書管理を統率する役割を担う必要がある。

②他方で、官房長等は多様で広範な官房業務を抱えていることから、上述政府CROとも連携しつつより実務的・詳細なコントロールを確保するため、文書管理の総括を主たる業務とする実質の統括官としてハイレベルの各府省CROを各府省に新設すべきである。各府省CROは、政府方針を踏まえた各府省内の対応方針の整理、官房長が持つ文書管理権限(管理状況の報告聴取および資料提出、各部局への助言・指導、監査・実地調査)に基づく実務を担うこととし、厳正な管理体制を構築する。

今年度、内閣府において試行運用されているアーキビストの派遣について、効果を検証した上で、全省に展開するかどうか検討すること。その上で、前述の各府省CROと各府省に派遣されるアーキビストによる第三者的な点検・監査によって、適正な管理・保存・廃棄を行うこと。特に、今回問題のあった財務省と防衛省については、その要否を検討した上で、必要であれば今年度中にも実施すべきである。

併せて、各府省CROを支える体制や実質的な廃棄協議を行うためにも公文書管理課の体制を整備し、強化すべきである。

③なおCRO設置の後も、文書管理の主体は、府省内の各部局、とりわけ各府省の業務遂行の基本単位としての課であり、各課長等(文書管理者)が責任感を持って取り組まなければならない。また、各部局の局長等が十分に監督責任を果たすべきは言うまでもない。こうした各部局の体制について、新たなガイドラインでは、各課に文書管理担当者(補佐級)を置くこととされているが、総括補佐等必ずしも各課1名に限ることなく、実態に応じて各係や各班の個別の業務分野の内容や状況を詳細に把握できる複数の担当補佐を文書管理担当者として指名すべきである。

 

(3)公益通報者を保護する仕組み

①国の行政機関に対する内部の職員等からの通報については、公益通報者保護法を踏まえ、ガイドラインに基づき、既に、各府省に通報窓口が設けられ、通報者等の保護を徹底することとされている。しかしながら、今回こうした既存の枠組みが機能しなかったことを踏まえ、公文書管理に関する事案については、別途、各府省のCROの下に公文書管理専門の通報窓口を設け、省内の職員からの通報・相談を受け付けられるようにすべきである。なお、職員が通報を行ったことにより不利益な取扱いを受けることがないことを明確にするなど、通報窓口の信頼性及び独立性を確保すべきである。

②併せて、新設する政府CROの下に、公文書管理に関わる問題の各府省共通の通報窓口を設置することとし、各省内部での通報・相談では迅速・的確な対応が困難な案件など、各府省の職員が直接内閣府に通報・相談することも可能とし、政府CROの各府省に対する調査・指導等により、法令等の遵守を徹底する必要がある。

 

(4)適正な廃棄を担保する業務サイクルの構築と運用

 ①電子・紙の媒体に関わらず、業務サイクルとして廃棄を明確化すること。例えば、月末や四半期・半年ごとに廃棄を促す日や週間を設定し、通常廃棄の文書と、機密性が高く溶解等の処理を行う必要のある文書を適切に分別廃棄するよう全府省で構築し徹底して運用するべき。

 ②1年未満文書に該当する文書であっても、重要・特異な情報や合理的跡付け検証に必要な場合は1年以上保存となるが、どのような文書が該当するのか、今後の運用の中で事例集をまとめて公表すること。

 

2.電子的手法による体系的、効率的文書管理の充実

公文書について、検索性の向上、適切な履歴等を確保するためには、電子的作成・管理を原則化することが効果的。今後、デジタル・ガバメント実行計画やデジタル・ファースト法案も踏まえ、電子管理を前提とした業務プロセスに見直しを行っていく必要がある。なお、紙管理の時代に作成したもの、紙で国民から申請されたもの等については、スキャン作業等を行うことは非現実的であり、紙媒体での適切な管理が適当である。

こうした見直しをスピード感を持って迅速に進めていくためには、二段階のアプローチで望むことが必要である。第一段階は、システム整備等の手段から議論するのではなく、まずは何を実現すべきかを考えることである。そして、その実現のために直ちに行える手段(現行のシステムやソフトウェアの機能の活用や、職員の判断や作業を介在させる等)を検討し、速やかに実行に移すべきである。その上で、第二段階として、作業の正確性向上・効率化、職員の負担軽減、不正アクセス防止、機密の確保等の観点から、ルールの変更等より抜本的な取組みについて内閣府において検討を進め、システム上の対応をする方が望ましいものがあれば、総務省とともに検討するべきである。

この二段階アプローチの下で、以下の(1)~(4)の諸点について、各府省は、現行の各省LANシステムの下でも実施可能なものから取り組むこととし、具体的な取組み状況を内閣府に報告し確認を受けることとする。内閣府は、各府省が速やかに着手できるよう、必要な指示、助言等を行う。その上で、内閣府においては、以上の取組みを確実、容易に行えるよう、抜本的な電子文書化の推進について検討し、本年度中にその方針をとりまとめ、それに関連するシステムの整備を総務省とともに検討すべきである。

 

(1)体系的な共有フォルダ構成

①行政機関は、組織としての意思決定等の過程や実績について、組織として用いた公文書の開示等を通じて、現在、将来の国民に対する説明責任を果たしていくことが求められている。その際、組織的な確認、検討を経ない職員個人限りの文書が混在していると、政府の組織的な意思決定過程等の理解をミスリードすることになりかねない。したがって、組織的に用いられた公文書と職員個人限りの資料が混在する状態を厳に避けることが重要であり、文書の実態と形態を揃えて、電子文書であれば、意思決定過程の跡付け等に必要なものは所定の業務フォルダに、組織的な検討や内容確認等を経て随時その内容が更新されるものは検討中フォルダに、個人の参考資料や検討資料等は個人フォルダに保存し、厳格な公文書管理を担保する必要がある。そのためには、相互に密接な関連を有するものを行政文書ファイルにまとめ、分かりやすい名称を付し、事務・事業の性質や内容等に応じて系統的に分類しなければならない。電子文書管理のための共有フォルダについても体系的なものとして構築し、意思決定過程の跡付け等に必要なファイルを保存する必要がある。

②共有フォルダ構築にあたっては、現在の行政文書ファイル管理簿の分類を所与として、それに共有フォルダの構造を合わせるだけでは意味がない。

まずは、体系的な電子文書の管理の観点から望ましい共有フォルダの構造について、組織内の業務全体を管理し、その業務遂行に責任を有する文書管理者(各課長等)が責任を持って検討し決定することから始めるべきである。

なお、こうした作業の結果、行政文書ファイル管理簿と構築したフォルダ構造に齟齬が生じた場合は、フォルダ構造を反映した見直しを速やかに行う。行政文書ファイル管理簿上の分類、名称等を内容が理解しやすいものとすることにより、情報公開請求をする国民が、自分が希望する情報が記載されている行政文書ファイルを特定しやすくなる効果もあり、行政機関、国民双方の負担軽減にもなる。

③行政機関が保有する全ての文書について、一度に新たなフォルダ構造に移行させようとすると、短期間に膨大な作業が必要となるほか、作業の際にファイルが散逸するリスク等がある。このため、一つの方法として、従来のフォルダ構造下でのファイル管理を継続しながら、別途新たに、正しく構成し直した行政文書ファイル管理簿に沿ってフォルダ構造を作り、新規に作成する文書や、利用した文書などから移行する「新築、順次引っ越し」方式を採用すべきである。

この方法においても、完全移行には数年以上かかると考えられる。内閣府は、各府省が作業に着手するよう直ちに指示を行うとともに、今後のフォルダの整理のあり方に関して、本年度中に各府省共通のマニュアルを整理すべきである。

④なお、一度フォルダ構造を改めたとしても、個々の職員が自由にフォルダを追加し、検討中の文書と決定済みの文書、個人メモ等を混在させては意味がない。文書管理者は、文書管理担当者を活用しつつ、個々の文書を保存する際の確認を確実に行うとともに、フォルダの状況について、自ら定期的に確認する必要がある。

 

(2)文書の所在を所管課が確実に把握する仕組み


②今後は、所管課において「原本」を確実に保存・管理するとともに、省内におけるコピーの所在を確実に把握できるよう、以下の対応とすべきである。なお、府省内で広く共有する文書については、府省内掲示板の活用等を検討すべきである。その上で、他部署・他課等と共有する場合の留意点や考え方をガイドライン等に明記すること。

a)特に厳格な管理が必要なものについては、他部署へコピー供与せず、閲覧権限を付与する、

b)コピーを供与する場合には、所管課において供与履歴を管理し、供与先の保有・廃棄状況を把握する、

c)コピー文書には、ファイル名に、コピーである旨、所管課、廃棄期限を記載することで、コピー文書としての適正な保管、廃棄を行う。

(3)標準書式の作成

①現在は、文書の位置づけをファイル名や文書内の記載等により確認することができないものが多いため、体系的な整理を進めていく上で支障となっているほか、発見された文書がどのような位置づけのものであるか(最終結果か検討中段階か等どの段階か、個人メモか等)が議論になる例もみられる。

②公文書管理を効率的、確実に行えるよう、また、情報公開請求等にも的確に対応できるよう、ファイル名や文書内において、作成時点、文書の段階(検討中等)、保存期限、不開示情報の有無等の必要事項を明示することで位置づけや確度を明らかにできるよう、内閣府において、速やかに標準的な書式を定め、各府省に通知する。

 

(4)電子メールの保存・保管に関するシステムの見直し


②このため、内閣府において、どのような電子メールが行政文書として意思決定過程等の跡付け等に必要なものとして共有フォルダ等に保存すべき電子メールであるかについて具体例をガイドライン等に示すことにより明確にすべきである。その上で、判断に迷うメールは一時保存フォルダに移して、後からまとめて点検できるようなシステムを整備すること。なお、一定時期がきたら自動で廃棄するシステムは今後使用しないこと。

また、内閣府において、諸外国の例も研究の上、例えば、一定期間経過時に、作成者や第一取得者等の職員に分類整理を促し、その整理に従って電子メールが共用の保存場所に保存されることとなる等の仕組みについても検討すべきである。

 

3.各府省における情報公開への対応体制の整備

①情報公開は、政府の説明責任を全うするための重要な業務であるが、各府省の実務においては、対象文書の特定・探索と開示・不開示の判断に時間・労力を要している。情報公開対応において、請求対象文書の特定・探索事務を的確かつ迅速に行う観点からも、公文書の検索・利用が容易な形で体系的に管理することが必須である、先ずは、上記の電子的管理への移行を早急かつ具体的に進める必要がある。

②その上で、情報公開制度は、説明責任の要請と、個人や法人、国の安全確保などの権利・利益の保護の要請とのバランスの上で成り立つものであり、開示・不開示の判断が困難な場合も多々あることから、各部局の判断が迅速・的確に行えるよう、各部局に対する指導・助言等の機能を強化する必要がある。

③そのため、公文書管理の徹底のための各府省CROの体制は、省内の対応事例、審査会答申・判例の提供等、情報公開に関する指導・助言等も一体的に行う体制として構築すべきである。また、各府省の実情に応じ、大量の文書請求に対応する等のため、開示請求対応に経験・知見を持つ者(再任用職員を含む)を官房等に確保し、各部局の作業を補助させることも検討する必要がある。

        

4.電子決裁システムへの移行の加速

①総務省による実態把握の結果、困難のないものは既に電子決裁が行われており、電子決裁がなされていないものについては、何らかの「業務上の困難」が存在している。例えば、現在、国民からの申請が紙でなされるもの、膨大な紙の添付資料や大きなサイズの添付図面がある決裁は、原本が紙である以上、紙をベースに意思決定を行うこととなる。決裁の場面だけで原本を電子化することは、そのための作業に時間を費やし、国民へのレスポンスが遅くなるなどの問題があるほか、そのためだけに機器を導入するのも非効率である。

②したがって、業務プロセス全体を見直して、入り口(申請等)から出口(許可等)までを一貫して電子化する中で、電子決裁を実現することが必要である。政府は、デジタル・ガバメント実行計画に基づき、6月末に各府省が中長期計画をまとめるなど、申請から、その審査・決裁・通知までを一貫して電子で行うという発想の下、「手続オンライン化」「添付書類の撤廃」の検討を進めている。各府省は、これとあわせ、業務プロセス全体の電子化の中で電子決裁を行うことについて検討し、結論を得るべきである。

③その際、総務省は業務改革(BPR)を推進する立場から、業務プロセスの見直しを各省任せにせず、必要な助言等を行うとともに、各府省の検討を踏まえ、電子決裁への移行についての政府方針を速やかに取りまとめる、電子決裁への移行進捗状況を継続的にフォローすべきである。

④併せて、総務省及び各府省は、文書管理システムの処理能力向上を含め、電子決裁の使い勝手が向上するようシステム改修を行うべきである。総務省は、文書管理システムについて、決裁終了後文書の修正について内閣府が定めるルールを速やかに反映するほか、各府省の意見を聴きながら、秘匿性の高い決裁についての閲覧者制限機能の導入、府省をまたぐ電子決裁を可能にするなど、使い勝手の向上に取り組むべきである。改修に当たっては、現行のシステム構成の下で対応可能なものについては、直ちに着手、システム構成自体の見直しが必要となるものも、文書管理システム及び連携するシステムの更改時期などを踏まえ計画的に進めるべきである。

 ⑤なお、従来、電子決裁率(平成28年度91.4%)の調査対象に入っていなかった、「業務環境上の制約」があるものの中には、セキュリティ等の観点から、文書管理システムに接続せず、また、独自の電子決裁機能も有しない業務システムがある。これらについても、各府省は、セキュリティ確保を優先しつつも、文書管理システムへの接続又は独自の電子決裁システムの搭載を検討すべきである。

併せて、会計事務についても、会計検査の際の証拠書類、検査資料提出を電子的に行うことを含め、業務を効率化するため、電子化を進めるべき。これに資するよう、官庁会計システム(ADAMS)の次期更改の際に電子決裁機能を追加すべきである。

 

5.刑法犯罪に至らない不正・不当な行為への対応策のさらなる検討

 ①民主主義の土台を成し、国民共有の資産である公文書について、決裁文書の改ざんなど不適正な取扱いがなされないようにするためには、厳正かつ体系的な内部統制が行われる必要がある。内部統制の土台は、「公文書の意義を心から理解し、大切にする組織文化」を政府全体に確実に根付かせることであり、そのために、当WTでは既述のとおり、日常の業務遂行が自然と的確な公文書の作成・保存につながる具体的仕組みとガバナンス体制の構築を図る中で、常にPDCAを回していくことを提言するものである。

②その上で、不正・不当な行為を抑止していく観点からは、公文書管理に関する仕事ぶりを人事により的確に反映させることが必要である。国家公務員法上、職員の任用、給与等の人事管理は、毎年度の人事評価に基づいて行わなければならないこととされており、職員の昇進、昇給、逆に降任や降給を左右することとなるなど、個々の職員にとって、長い公務員生活の全ての局面で人事評価は極めて重要な意味を持つ。人事評価は、公務員の意識や行動を具体的に変革させ、定着させていく上でも有効なツールといえる。したがって、今後は、職員の公文書管理への取組を明確に評価項目の一つとして位置づけ、職員の取組状況を処遇に反映すべきであり、内閣人事局において早急に検討し、実施に移すべきである。 

③更に、国家公務員法においては、職員に職務上の義務への違反、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行等の非違行為があった場合には、これに対する行政上の秩序罰として、免職、停職、減給、戒告といった懲戒処分を課すことによって公務員関係における秩序を維持するとともに、非違行為を抑止する効果を持たせている。 懲戒処分については、実行者のみならず監督責任を問うことも可能であり、責任の軽重に応じて関係者をすべて処分することができることから、内部統制上の重要な手段としてその統制力が十分に発揮されるよう整備する必要がある。

この点、公文書管理法上の違反行為についても、財務省の決裁文書改ざん等に関連して当時の担当局長等が処分されたとおり、職務上の義務違反として懲戒処分の対象となる一方で、これまで、各府省が懲戒処分を検討する際の指針となる人事院の「懲戒処分の指針」では、秘密漏洩、入札談合関与、横領等について具体的記載があるものの、不適正な公文書管理を行った場合の扱いは具体的に示されておらず、こうした行為の非違行為としての評価や具体的な処分の基準などが明らかではなかった。

   職員に対して、公文書の不適切な取扱いは重大な非違行為であることを明示して、適切な文書管理への自覚を求めるとともに、今後、万一不適切な行為があった場合に、各府省が速やかに厳正な処分を行えるよう、人事院において、「懲戒処分の指針」に、適正な公文書管理を求める国民の意識の高まりを十分反映した厳しい処分基準を定めることを求める。

 

6.外交・防衛機密に関する情報公開のあり方

①防衛や外交は国民の関心も高く、政府として国民に状況を的確に説明する責任がある。一方で、防衛・外交の特殊性から、国の安全や利益を損わないよう、開示・不開示の判断を含め情報公開にあたっては特に慎重な判断が必要となる。その結果、一つ一つ不開示情報を特定していく際、マンパワーが必要となり、現場の負荷が大きく、他の業務に支障が生じている状況。実際、統計上も、防衛省や外務省については、原則30日以内の開示決定期限を延長して対応している割合や、不服申立てが行われる件数・割合が他府省と比べて著しく高くなっている。このため、例えば、部隊の運用等に関わる文書は「行政文書」から除外する、オペレーション中は開示請求への対応を停止する等の特別な取り扱いが必要との指摘がある。

②こうした点も踏まえ、現行の情報公開法は、外交・防衛情報について、他の不開示事由とは異なり、大臣の判断を一定程度尊重する規定ぶりとしている。また、諸外国の一般的な情報公開法制においても、開示請求自体の対象から除外としているのは、諜報活動、対テロリズム対策等であり、外交・防衛情報について、司法判断を抑制的に行う例などがあるが、開示請求の対象にはなっている。諸外国における枠組みも基本的にわが国と大きな違いはないが、特例法の状況や運用実態については必ずしも十分に明らかではない。

③したがって、先ずは、外交・防衛情報の情報公開のあり方について、外務省・防衛省を中心に、必要な説明責任を果たすことを前提に、各国の制度の下での特例法や運用実態などの把握により一層努め、ルールの在り方について引き続き研究を深めていく必要がある。

④また、そもそも防衛機密などを厳格に管理する観点からは、何が公開してはいけない情報なのか、業務遂行過程において常に意識しておくべきものであり、外務省・防衛省においては、機微情報を含む文書について、作成・保存の段階において、何が公開すべき種類の情報で、何が不開示とすべき種類の情報であるかを考え、できるかぎり両者を区分した書式・様式とすることを早急に検討。

なお、国民の関心の高い情報を提供することは、国民への説明責任を果たす観点から重要であり、結果として、国民の開示請求負担の軽減、行政機関の開示請求対応の負担の軽減にもつながることになる。このため、国の安全の確保等から公開を控えるべき情報を除き、Webサイト等での積極的な情報提供に努めるべきである。

 


 

Ⅴ.おわりに

 

一連の問題を受けて、かつてないほど公文書管理の在り方について国民的関心が高まっている。公文書管理は、民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であり、国家の行政運営の土台となるものであり、公文書の適正な管理を徹底することが、一連の問題に対する再発防止策であるとともに、国民への説明責任の充実、的確・効率的な行政運営にも資することになるものである。

こうした流れの中で、政府において公文書管理の充実に向けた真摯な取組みを速やかに行うべきであり、また、内閣府及び総務省は、スピード感を持って、公文書管理の向上のための具体的方策を取りまとめ、速やかに実行に移し、各府省の職員の意識を改革し、実務を実際に変えさせることが重要である。そして、各府省においても、内閣府の方針等を踏まえて、幹部自らが責任をもって、府省内の公文書管理の在り方を変革すべきである。

今後とも、「与党公文書管理の改革に関するWT」を存置し、政府の公文書管理の取組みを厳しくフォローアップしていくとともに、必要があれば更なる改革についても検討して行くものとする。
 
以上

2018年6月20日水曜日

平成30年6月20日

[迅速な震災対応を]

 18日朝に発生した大阪府北部を中心とした最大震度6弱の地震で多くの被害が発生しました。亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された全ての皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 政府は即座に対策室を設置し、私たち自民党も今村雅弘災害対策特別委員長をリーダーとした現地選出議員などのチームを即座に編成し、現地で情報収集などに当たっています。総理が表明されているとおり、熊本地震などの教訓に基づき、ニーズを先手先手で把握して対応するとともに、ガスなどのインフラ復旧に総力をあげる所存です。

[米朝対話の着実なフォローを]

 歴史的な米朝首脳会談により、北朝鮮をめぐる状況は大きく動き出しました。総理がトランプ大統領と綿密に打ち合わせたとおり、会談の中で拉致問題についても言及があり、これから日朝首脳会談の実現に向けて関係者が努力していくステージとなります。

 大事なことは、「拉致」「核」「(中距離を含む)ミサイル」を一体として解決に導くことであり、北朝鮮がこれまでのように国際社会を裏切って外国からの支援だけを食い逃げすることのないよう、交渉中も進展のない限り制裁を緩めないという姿勢を堅持することです。
 日米韓、そして中ロとしっかり足並みを揃えていけるようにしていきます。

[エネルギー基本計画の変更と更なる提言へ]

 自民党で政府のエネルギー基本計画が了承されました。当初は、これまで掲げてきた2030年の再生可能エネルギー導入目標22~24パーセントを「着実に実現する」という記載だったのを、私が会長を務める再生可能エネルギー普及拡大議員連盟所属議員の方々の力強い活動などにより、「再生可能エネルギーの2030年エネルギーミックスの実現とそれに止まらない導入を追求」と修正してもらいました。温暖化ガスを排出しないゼロエミッション電源を44パーセントにすると宣言していることや、原発の再稼働がほとんど進んでいないことからすれば、省エネと、経済に負担をかけない形での再エネ導入をさらに行わなければいけないことは明らかです。
 議員連盟事務局長の秋本真利国土交通政務官をはじめとして仲間たちと議論し、下記のとおりこれからの更なる政府の取組みを促す提言をまとめ、菅官房長官、中川環境大臣、世耕経産大臣たちに申し入れることとなりました。これからもしっかり活動を進めていきます。



再生可能エネルギー普及拡大のための提言(第四次)

 

自 由 民 主 党

再生可能エネルギー普及拡大議員連盟

 

 パリ協定を契機とする脱炭素化社会の構築に向けた動きは、世界中で活発になっている。わが国では、2030年までに26%、2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を達成する必要がある。その一方で、現在計画中の石炭火力発電が全て稼働すれば、2030年の温室効果ガスの削減目標の達成は難しい。国際公約である温室効果ガスの排出削減目標を達成するためにも、二酸化炭素を排出しない国産エネルギー源である再生可能エネルギーを主力電源として位置づけていくことは必須である。

現時点では再生可能エネルギーの導入には固定価格買取制度(FIT)が利用されているが、仮に2030年以降はFITによる新規の買取りを終了するとの前提に立てば、買取費用総額は2030年頃に4兆円となった後は減少する見通しである。このFITの適用が終了した電気については限りなく限界費用は0円であり、こうした電気は、円安による資源価格上昇の影響を受けず、また発電期間中のインフレによる価格上昇が原則としては生じないため、円安やインフレによるリスクの小さいエネルギーとして経済効率性にかなう。また、再生可能エネルギーは、わが国のエネルギー自給率の向上に貢献し、エネルギー安全保障にも資するものであり、かつ、産業競争力の強化にも繋がる。したがって、再生可能エネルギーは、長期的な視点をもって普及拡大に努めなければならず、政府はこうした見通しを示すことにより、再生可能エネルギーに対する国民各層の正しい理解を深めながら導入を進めていくことが重要である。民間でも再生可能エネルギーを主力として活用していく動きが広がっている。グローバル企業だけでなく、わが国の企業も7社が「RE100」に加盟し、事業で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指している。また、SDGsの達成に貢献するための取組が活発化するとともに、ESG投資も欧米を中心として拡大の一途をたどり、機関投資家が化石燃料など環境への負荷が高い企業からのダイベストメントを表明している。既に、再生可能エネルギー発電への世界の投資額は、火力発電への投資額を上回っており、2016年の火力及び原子力の投資額は合計14兆円に対し、再生可能エネルギーへの投資額は30兆円と2倍以上の差がある。わが国でも2016年の火力及び原子力の投資額は合計0.4兆円であるのに対し、再生可能エネルギーへの投資額は2.2兆円と5倍以上の差がひらいている。さらに、わが国では、産業連関表に未だ再生可能エネルギー部門が創設されていないため、早急に創設すべきであるが、既存の産業連関表を用いた推計では、再生可能エネルギー設備への投資による経済波及効果は55兆円に上るという試算も存在する。再生可能エネルギーの普及を後押しすることは、わが国の国際的な経済競争力の強化にも繋がる。

脱炭素化社会の構築に向け、主要国は野心的な導入目標を掲げ、目標達成のための取組を進めている。主要国の総電力に占める再生可能エネルギー導入目標は、イギリスは2020年に31%、フランスは2030年に40%、スペインは2020年に40%、ドイツは2030年に50%以上となっている。わが国は、エネルギー基本計画においても、2030年に2224%という再生可能エネルギー導入見通しを維持する方向となっているが、他国の目標と比較してもあまりに低い数値と言わざるを得ない。

 当議連では、平成29914日付「再生可能エネルギー普及拡大のための提言(第三次)」において、「引き続き再生可能エネルギーの最大限の導入を推進していく必要があり、エネルギー基本計画の見直しやパリ協定に基づく長期戦略においては、現時点で原子力発電所の再稼働が5基にとどまること、及び、上記のような再生可能エネルギーの導入状況を踏まえ、高度化法(エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律)で定める非化石電源比率44%を確実に達成するための検討をしつつ、長期的に再生可能エネルギーの更に高い導入水準を目指すべきである。」ことを提言した。

その後の再稼働した原子力発電所は5基と変わらないが、再生可能エネルギーの導入は拡大を続けている。平成299月末時点におけるFITの設備認定容量では、太陽光発電が7168.3万kW、バイオマス発電は1274.9万kWとなっており、長期エネルギー需給見通しで参考として示された2030年度の容量を上回っている。風力発電においては、平成303月末の時点で約340kWの風力発電が導入済みであり、約503万kWが既に環境アセスメント手続きを完了し、さらに約1,161万kWの計画について環境アセスメント手続きが進行中となっており、これらの合計約2,004万kWは、長期エネルギー需給見通しで参考として示された2030年度の容量1000万kW2倍に上っている。

平成305月には非化石価値取引市場の初入札が実施された。二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの価値が取引可能となり、これにより高度化法の非化石電源比率の達成に活用でき、環境価値の高い電気として消費者に訴求できる。非化石価値市場の取引については、国際的な位置付けが定まっていないことや価値の評価について課題を指摘する声もあるが、再生可能エネルギーのより一層の普及に資するようになることが期待される。

こうした状況を踏まえ、第5次エネルギー基本計画の策定にあたっては、高度化法で2030年度に小売電気事業者が調達する非化石電源比率44%を確実に達成するようにするため、中間目標を早期に定めるとともに、再生可能エネルギーの導入について、長期エネルギー需給見通しで示された導入目標にとらわれることなく、最大限の導入が可能となるよう努めるべきである。また、投資判断には長期見通しが必須であり、安定した市場形成のためにも、シナリオ等も含めて2030年以降の長期の導入量の目標を速やかに出すべきである。

 上記目標を達成するために、解決すべき政策課題を、以下の通り指摘する。

 

<全電源共通の政策課題>

●系統接続の制約は、再エネの普及拡大にとって大きな障害となっている。系統情報の公開を徹底し、空き容量算定にあたっての透明性を確保した上で、現行の先着優先ルールや出力抑制の在り方の再検討や、「日本版コネクト&マネージ」を含めた系統制約対策を早急に導入すべきである。また、系統設備の増強、地域内送電線での間接オークション導入の検討、地域間連系線を最大限活用するなど、系統制約を早急に克服すべきである。

●比較的規模の小さい再エネ設備に関しては、系統増強費用の負担が過大となることで、発電を断念する例もある。系統増強費用の増大による負担が過大となるような小規模な発電設備について、負担軽減のための方策を検討すべきである。

●託送制度の見直しにより、発電事業者に対して発電側基本料金が課金される予定である。FIT制度の下で稼働している発電設備では買取価格の算定において託送料金の負担は想定されていないため、FIT買取期間中の負担分の回収など発電事業者に実質的な負担が生じないような調整措置の検討をすべきである。

●再生可能エネルギーは、FIT制度に由来する国民負担を上回る大きな便益が期待されると考えられる。再生可能エネルギー導入による便益の定量的な評価を十分検討すべきである。

●自治体や地域が主導する小売電気事業者や発電事業者は、地域インフラ維持や地域経済の活性化にも貢献する。地域及び自治体が提供するユニバーサルサービス維持に貢献できるような仕組み(収益の寄付を条件とした無利子融資等)を整備するなど、事業をより普及促進するための支援策を検討すべきである。

10W未満の住宅用太陽光発電や風力発電では、201911月以降、FIT買取期間を終了した電源が順次出現することが想定されている。こうした電源を活用するために、リプレース・リパワリングが円滑に進むような支援措置、小売事業者やアグリゲータ―が競って買取期間終了後の余剰電力を買い取る競争環境の整備、買取期間終了後の余剰電力の環境価値を活かすことのできる仕組みの整備、自立消費型へのシフトやEVや蓄電池等と連携したスマート化による価値創出を促す仕組みなどを検討すべきである。

●海洋エネルギーや宇宙エネルギー等の新しい発電技術の実用化に向けて継続的な支援をすべきである。

●ドローン(無人小型飛行体)等を活用した安価な再生可能エネルギー発電施設の点検システムの普及に対する支援策を検討すべきである。

 

<風力発電の政策課題>

●洋上風力発電が導入推進すれば、風車基礎・タワーブレード等の製造、工事用船舶の新造、風車スペアパーツの製造といった現時点では国内企業が殆ど存在しないような新しい産業が創出されるとともに、大幅なコスト低減が期待される。そのためには、一般海域における利用ルールを定めた「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」を早急に成立・施行すべきである。

●上記法律に基づく事業者の選定にあたっては、既に相当程度事業が進捗している先行開発事業者に対しては一定程度の配慮をするとともに、法施行当初は特に、事業計画の熟度・確実性、地元への貢献等、価格以外の要素も適切に評価するような方式とすべきである。

●洋上風力発電の導入促進に向け、一般的にセントラル方式と呼ばれているオランダ政府等が採用したオークションシステムの早期導入に向けた検討をすべきである。

●洋上風力発電の大量導入を確実に実現するためには、基地港湾の整備が必要不可欠である。事業者の意見を反映し、かつ、洋上風力発電の事業計画に整合したスケジュールで、基地港湾を着実に整備すべきであり、これらを着実に実行するための支援策を検討すべきである。

●風力発電所のより一層の導入を進めるためにも、環境アセスメント期間半減の実現や風力発電設備に関する第1種事業の規模要件緩和の検討をすべきである。

 

<太陽光発電の政策課題>

●非住宅用太陽光発電は、市場規模の維持・拡大のために系統制約を克服するだけでなく、ゾーニング等による耕作放棄地等の活用や用地確保のための自治体の促進策を検討すべきである。

●非FIT認定設備からの逆潮流が可能となるよう、計量方法を含めた運用の見直しを速やかに行い、確実に実施すべきである。

 

<中小水力発電の政策課題>

●地域活性化に貢献する小水力発電について、特に推進すべき小水力発電の要件を明確にした上で、当該小水力発電の開発を促進するような支援策を検討すべきである。

●小水力電力の地産地消を促進するためにも、基幹系統と配電系統等のローカルな系統の役割や責任を区分するための検討をすべきである。

●既存ダムの運用の変更や、ダムの嵩上げ等によるダム再開発によって、ダムの発電能力を高めるといった方法により水力発電の増強も検討すべきである。

 

<バイオマス発電の政策課題>

●バイオマス活用事業を持続的に発展させるためには、電気・熱エネルギーの活用だけでなく、原料となる資源の安定供給から副産物等の利用に至るまでの総合的な施策の検討及び、林業・木材業、農畜産業等の健全経営が前提となる。電気・熱エネルギーの利用の観点だけでなく、バイオマスの普及啓発、人材育成や技術開発も含めた総合的な産業振興について、関係する関係省庁が強力に連携を図り、実効性のある総合的な支援策を検討する場を設けるべきである。

●木質バイオマス発電の健全な発展のために国産材を安定的に供給することは必要不可欠である。エネルギーミックスにおけるバイオマスの目標数値を達成するには国産材だけでは十分な供給体制を賄うことができない現状がある。将来的に輸入材から国産材への転換を目指すためにも、国産材の供給体制の強化のための戦略的取組を講じるべきである。また、河川の公募伐採による木材をバイオマスの燃料として活用するための取組も強化すべきである。

FIT買取期間終了後の木質バイオマス発電については市場価格に応じて取引されることになっている。木質バイオマスはFIT終了後も燃料費が大幅にかかるため、バイオマス発電の取引価格の低下により、国産木材消費の縮小や雇用の衰退、地域経済への悪影響が懸念されている。こうした懸念を解消するような方策の検討を始めるべきである。

●バイオガス発電は、更なる導入の推進策が必要である。バイオガス発電を行うには、FIT制度の対補助対象とならない、原料の前処理設備、廃水設備、脱臭設備等多くの施設が必要となる。こうした設備に対する施設整備の補助制度を検討するなど設備導入コストに関する支援を検討すべきである。また、消化液等の利活用について、関係府省の総合的な支援策を検討すべきである。

 

<地熱発電の政策課題>

●地熱発電は、開発初期段階では掘削成功率が低く、事業リスクが高い。こうした事業リスク低減のため、国立・国定公園内において実施されている「地熱ポテンシャル調査」の継続と充実が図られるようにすべきである。また、国(JOGMEC)が現在行っている助成事業等が継続されるとともに、更なる充実を図ることも検討すべきである。

●また、調査から運転開始までのリードタイムが10年以上と非常に長いという課題がある。そのため、国(JOGMEC)が実施している地下の探査精度の向上や効率の良い掘削機材に関する技術開発を継続すべきである。発電所の運転開始後の維持管理コストの低減のため、地下の蒸気量の維持管理に関する技術開発や発電設備の効率化に関する技術開発を継続すべきである。

●地熱分野における人材不足解消のため、国(JOGMEC)の研修制度や、大学と連携した教育の場の提供による人材育成支援の継続をすべきである。

●地熱開発にあたっては、自然保護や温泉資源保護等の地元理解が必要不可欠である。地熱発電に関する正しい知識の共有や、地域における熱利用事業との連携を支援する補助金制度などを継続し拡充すべきである。

以上 


 
 サッカーワールドカップロシア大会で日本がコロンビアを破る大金星からスタートしました。是非これからも頑張って欲しいと思います。