2018年12月13日木曜日

平成30年12月13日

[未来型の教育へ]

 昨日12日、つくば市に伺い、非常に有意義な視察を行うことができました。

 近隣小中学校の統廃合により今年4月に開校した市立みどりの学園義務教育学校は、小中一貫校で、発達段階に応じて系統的に、ICT教育、プログラミング教育、遠隔教育、外国語教育などを実践していました。

 中学1年生の教室では、生徒たちがデジタル顕微鏡で拡大した火山灰の映像を大型画面に映し、その成分の分析などをしていました。
 また、小学4年生のロボットの車を動かす授業では、インターネットでつながった大学の研究室から、生徒たちがタブレット端末の画面を通じてアドバイスを受けていました。
 職員室でも先生がパソコンとLANを使って校務を効率化し、職場環境の整理や働き方改革に向けて大いなる成果をあげている様子がわかりました。

 先月22日にはこのブログで紹介したとおり、新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて「柴山・学びの革新プラン」を打ち出したところです。今回の視察を参考にしつつ、教育の質の向上のための先端技術の活用を、国レベルで積極的に進めていきます。

 JAXA(宇宙航空研究開発機構)筑波宇宙センターも訪れました。

 展示館では宇宙環境利用について若田宇宙飛行士から説明を受けたり、ロケットや輸送システムについての展示を布野理事に案内していただいたりしました。
 宇宙ステーション試験棟では先般無事帰還したこうのとりの小型カプセルの実物を見せていただき、高温で黒く変色した外表と、4℃の低温でしっかり守られた内部ボックスに日本の技術の高さを実感しました。
 他にも宇宙ステーション運用棟の管制室を視察したり、これからのスペースデブリ(宇宙ゴミ)についての解析について説明を伺ったりして、今後の宇宙政策にしっかりリーダーシップを取っていかなければならないと改めて決意した次第です。

最後の視察は筑波大学でした。

 学園都市として恵まれた環境のもと、人文社会・先端技術・体育や芸術など、多様なカリキュラムを有し、外国人留学生数も国立大では東大に次ぎ2位となる2400人を超える学生が学んでいます。
 東京教育大学を前身とし、国内的にも国際的にも、また学際的にも「開かれた大学」として柔軟な教育・研究を目指す取組みには感銘を受けました。
 エンパワースタジオでは世界最大のVRシステムや大型ロボット、高齢者医療の取組みなどの展示を見させていただくなど、貴重な体験もさせていただきました。

 未来に向け教育・研究を切り拓くべく、今後とも尽力致します。

2018年12月5日水曜日

平成30年12月5日

[節目の1日]

 おかげさまで今日、53回目の誕生日を無事迎えることができました。激動の中、信念と感謝の気持ちを大切にこれからも一歩一歩進んで行きたいと思います。

 中国などの新興国が急速に力を付けてきています。ノーベル生理学・医学賞を受賞された本庶佑京都大学特別教授が指摘されるとおり、人材育成のために日本はもっと力を入れなければいけません。文科省は「研究力向上加速化プラン」として、
・科研費等における、若手研究者を中心としたリソースの重点投下・制度改革
・若手研究者が海外で研鑚を積み、挑戦する機会の抜本的拡充
・新興・融合領域の開拓に資する取組みの強化
及びこれらを支える
・共同利用・共同研究体制の強化
等に関して総合的に取り組みます。
 科研費の不正利用はあってはなりませんが、その使い勝手をよくし、第5期科学技術基本計画(H28~32)にある政府研究開発投資対GDP比1%、総額約26兆円の目標達成に向けて全力を尽くします。

 そうした中で、11月22日、「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて~柴山・学びの革新プラン~」を提示し、大きな反響をいただきました。
 技術革新の時代に、学校が人と人との関わり合いの中で、人間としての強みを伸ばしながら、人生や社会を見据えて学び合う場となるよう、その担い手の中核となる教師を支え、質を高めるツールとして先端技術を学校教育にも積極的に取り入れていくとともに、外部人材の活用も行います。
・2020年代早期(しかもなるべく早く)に全ての小・中・高等学校で遠隔教育などを活用できるよう全国の取組みの普及や民間・大学等のノウハウの活用を促進
・ビッグデータの活用による指導の充実や、指導力の分析などによる教師の資質向上に向けた取組みなどを促進
・先端技術活用のため、学校のICT環境の整備などを促進
以上、教育再生実行会議における議論の結果も踏まえ、年度内に中間取りまとめ、6月頃までにとりまとめを行い、必要な措置を講じていきます。

 本日、参議院本会議にて、所管である原子力損害賠償法の改正案について可決していただき、成立を見ました。今後万が一原子力事故が発生した場合、原子力損害の被害者が迅速かつ適切に保護を受けられることを目的としています。具体的には
・原子力事業者に対して、損害賠償の実施のための方針の作成及び公表を義務付け
・原子力事業者による被害者への迅速な賠償の仮払いのための資金を国が貸し付ける制度を創設
・原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続について、和解の仲介が打ち切られた場合における時効の中断にかかる特例(1ヶ月以内の提訴で中断)を措置
・原子力損害賠償補償契約の新規締結及び原子力事業者に対する政府の援助にかかる期限を10年間延長
というもので、明日6日には、議員立法の高額チケット転売防止法案や研究開発力強化法改正案の参議院文教科学委員会での審議をしていただく予定です。

 重要案件に引き続き全力で取り組んでいきますので、どうぞよろしくお願い致します。

2018年10月27日土曜日

平成30年10月27日

[炎の弾丸出張ベルリン編]

 25日から26日まで、総理の中国出張と時を同じくしてベルリンで開催された第2回北極科学大臣会合に日本を代表して出席しました。

 あまり知られていませんが、北極の温暖化は地球全体の2~3倍の速度で進展しています。20年前から氷河や北極海の氷が劇的に溶け出し、凍土からメタンガスが発生するなど生態系が大きく変化しています。
 先の冬が日本において記録的な低温・豪雪だった背景には、北極から強い寒波が押し出されたことが原因にあると言われており、また、グリーンランドの氷床が融解すると地球全体の海面が6メートル上昇して多くの都市や島が水没するなど、放置した場合の人類への影響は計り知れません。

 こうした危機感から2016年に米国で開催されてから1年おいての今回の2回目会議では、
①北極域における観測ネットワークの連携や研究インフラの国際的なアクセス容易化に向けた協力
②北極の変化に伴う地域的・全地球的なダイナミクスの理解に向けた世界各国の協働
③北極の環境と社会(地域の先住民族などは特に)の脆弱性評価及び回復力構築に向けた多国間の科学協力の促進
 などを盛り込んだ共同声明を採択し、次回第3回会合を日本に誘致することを決定していただきました。アジアでは初めての開催で、来年から北極評議会議長国となるアイスランドと2020年の共催となる見込みです。

 日本には豊富な観測データや、それを北極地域の方々にフィードバックしてきた実績があります。準備は大変ですが、人類の叡智を結集する有意義な会議を目指して参ります。

[いよいよ国会開幕]

 24日には臨時国会が開会となりました。総理の所信表明演説を、本会議場の雛壇で閣僚として聞き、身の引き締まる思いです。今回の出張から帰ったら早速29日月曜日から各党の代表質問となります。その後は補正予算の予算委員会の質疑。おかげさまで公立小中学校の空調整備やブロック塀の安全対策などに1000億円近く計上されるなど、予想以上の成果が出つつあります。今後とも全力を尽くすことをお誓い致します。

2018年10月24日水曜日

平成30年10月24日

[百聞は一見に如かず]

 10月22日、浮島副大臣とともに、7年ぶりに授業を再開した福島県富岡町立小中学校を視察しました。若い世帯の帰還が進まず、生徒が各学年に1人から2人という厳しい環境で、避難先の三春校とライブ中継で連携した授業をするなど創意工夫を凝らし、また地域の方々にも参加いただいている旨伺って感動しました。
 同県広野町に開校したふたば未来学園高校でも、被災した地域の高校生が復興に向けて実践的・主体的に課題解決を目指すプログラムや、海外に出かけて現地の学生と交流したり、外部の芸術家などから新しい知見を取り入れている様子を生徒たちから直に窺うことができ、今後他地域に横展開していきたいと同行記者にコメントしました。

 福島第一原発も訪れ、廃炉に向けた取組みの進捗を確認するとともに、廃炉国際共同研究センターの研究棟や楢葉遠隔技術開発センターを訪れ、シビアアクシデントの状況究明やロボットを使った溶融燃料取出し技術について学びました。まだ道は厳しいですが、しっかり進捗を後押ししていきます。

[信頼回復への第一歩]

 接待などをめぐる文部科学省の不祥事を受け、次官をはじめ人事を刷新するとともに、職員の懲戒処分を追加で行いました。また、私の就任前の事案であるとはいえ、率先して綱紀粛正に対する姿勢を示すべく、大臣給与2ヶ月分と年末の期末手当を返上する旨発表したところです。今後も職員と積極的にコミュニケーションを取りながら、文部科学行政の信頼回復を目指して共に尽力する所存です。

[医学部受験生に安心を]

 東京医科大学で、入試の際女子学生に不利な採点が行われていたことが発覚したことを受け、文部科学省で全ての医学部医学科を対象に調査を進めています。
 昨日23日、私から、事前の告知なく男子学生や現役生を優遇したり、同窓生の子供を不合格の成績にもかかわらず合格させている事例が複数見られたことを公表し、各大学に今度実施される入試における公正な対応を強く求めました。AJMC(全国医学部長病院長会議)の報告が来月まとまり、また文部科学省の調査も途上なので、具体的な校名の発表は控えましたが、年末の最終報告に向けてしっかり対応して参ります。

2018年10月3日水曜日

平成30年10月3日

[閣内から危機突破を]

 昨日10月2日、第4次安倍改造内閣の文部科学大臣を拝命しました。今回の閣僚では最年少となります。

 総理からは「教育行政は非常に大切であり、文科省の信頼回復に柴山さんの知見を発揮して欲しい」と言われました。

 記者会見でも申し上げましたが、世論調査の関心度を見ても景気・社会保障という2大テーマに教育問題が迫りつつあることが見て取れ、国家100年の計である教育行政は少子高齢化・人口減少社会にあってその重要度を増していることは明らかです。

 統合的ないじめ対策を行い、子供たちの個性を伸ばすとともに道徳教育にも力を入れます。「人作り革命」を断行し、2019年10月からの消費税率引き上げに合わせて3歳から5歳までの幼児教育を無償化します。2020年4月からは真に必要な子供たちについて、高等教育の無償化を行います。無論大学改革も並行して進めていきます。

 生涯にわたる学び直しと新しいチャレンジの機会確保・子供の貧困対策にしっかり取り組みます。

 グローバル化に対応した英語教育の充実、2020年に予定されている「日本博」の開催に向けた河野外務大臣との連携も強めていきます。

 国策として重要なのが科学技術・イノベーション推進です。平井特命担当大臣とも連携して、科学技術基盤の予算充実・官民連携などを通じた強化を進めます。

 原子力についても所管問題があります。東京電力福島原子力発電所事故による損害の迅速な賠償についての対応、高速増殖炉もんじゅの廃炉などを進めます。

 スポーツ立国の実現のため、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて桜田担当大臣と連携し、準備を進めますし、ラグビーワールドカップ2019にも遺漏なきよう備えます。また、各種団体の不祥事に対し、スポーツインテグリティ(高潔性)の浸透を目指します。

 今日的な課題として、防災や気候変動対策として、学校のブロック塀等の安全対策、子供の教室へのエアコン早期設置などを進めます。
 また、総理からの指示にあるとおり、逮捕・起訴された者まで出た文部科学省の信頼回復について、ガバナンス回復に向けた取組みを全力で進めていきます。

 沖縄知事選での与党推薦候補が苦杯をなめ、地方選とはいえ政府与党の信頼回復が強く求められています。改革マインドをしっかり持って頑張ることをここにお誓いします。

2018年9月21日金曜日

平成30年9月21日

[厳しい時にこそ]

 昨日20日、自民党総裁選の開票が行われ、安倍晋三総裁の3期目の続投が決まりました。

 メディアの方々からは「石破さんが、議員票でも各派閥の推薦を得た安倍さんの329票に対して73票と善戦し、党員票に至っては全体の4割を超える181票を取ったということをどう思いますか?」と口々に尋ねられました。

 まずは党員票についてですが、確かに一般の世論調査では総理にふさわしい方として、安倍さんと石破さんがほぼ同数なのに対し、自民党を支持する方を対象にした調査はかなり安倍さんの支持が高いという傾向がありました。
 しかし、安倍圧勝の報道が続く中、党員投票率は6割台とさほど高くなく、このままでよいのかというバランス感覚が働いたと言えます。また、私の地元埼玉では、選挙戦開始当初の調査ではほぼ安倍2対石破1の割合だったということですが、石破陣営の度重なるオートコールやご当地動画の作成、安倍総理が公務に忙殺される間の必死の地方遊説が報道されるなど、懸命の選挙戦がやはりじわじわと効いてきたといえるでしょう。最終的には埼玉の党員票は安倍12,177対石破10,257とかなり追い上げられました。

 齋藤農水大臣へ安倍選対幹部から圧力があったという報道なども、「安倍さんのもとでは自由に物が言えない」というイメージを醸したと言えます。

 しかし、議員票の状況を見れば、「派閥の方針は安倍支持なのに石破さんに投票した」という議員は、青木幹雄元自民党参議院議員会長が石破支持を訴えかけた平成研究会(旧田中派)の衆議院側の対応が分かれていたことなどに鑑みれば、また派閥の締め付けが現在の小選挙区制度であまり機能せず、投票も無記名であることを考えれば、それほど大きな波乱ではなかったとも言えます(全体の議員母数が405ですから、説明のつかない石破票は5パーセント程度です)。

 私は(おそらく他の多くの議員も同じだと思いますが)、本心から、災害への迅速的確な対応、少子高齢化社会における生産性革命、極めて困難を極める外交・安全保障への取組みは、実績とリーダーシップがあり、海外からも評価の高い安倍総理に引き続き任せるしかないと確信しています。党内議論が活発でないというのは事実と異なります(確かにおとなしい若手議員が増えたとは思いますが、それは政界に固有のことではないと思います)。

 ただし、リーダーシップの強化と役所のガバナンスを両立させるのに問題が生じるなど、批判をいただいた部分にはしっかり対応していく必要があります。私自身、どんな難題だったり迅速な解決が求められたりしても、「結論ありき」でプロセスをないがしろにしてはいけないと官邸に意見したりもしました。

 よくメディアに聞かれるのが、同じ筆頭副幹事長であり、いつも役員会などで一緒に仕事をしている小泉進次郎議員の対応です。私は総裁選の対応について小泉さんに尋ねることはありませんでしたし、小泉さんが私にそれを話すこともありませんでした。
 小泉さんは、党の幹部として組織運営がどうあるべきか、いつも議論に参画し、私もそうですが、活発に意見を言い続けてきました。ですから、彼が本心から「物を言えぬ自民党だ」と危機感を持っているということはないと思いますし、もし本当にそう思っていたら、もっと早く石破支持を打ち出していたでしょう。

 彼はかつて石破地方創生大臣のもとで政務官を務めていたこともあるし、今回は、安倍さんと石破さんの両方に顔を立てたが故のこの時期の対外意思表明だったのではないでしょうか。ずっと黙っていて世論が「小泉さんは高みの見物か」と批判することにも配慮したと思います。いずれにせよ、それほど大きく取り上げるまでのことではないでしょう。ただ彼のしたたかさは、私のようなまっすぐな人間からすると、勉強する部分があるなと率直に思います。

 戦いは終わりました。これから非常に重要な沖縄知事選、日米会談など各種案件が山積しています。しっかりノーサイドで結束して力を尽くさなければいけません。

[災害対応と今後の進む道]

 台風21号が関西空港をはじめ各地に甚大な被害をもたらしたと思ったら、北海道胆振東部を震源地とする震度7の大地震が発生しました。被害にあわれた方々には心よりお見舞い申し上げます。

 道路・鉄道・電気・水道などインフラの迅速な復旧、産業などの被害回復の為に迅速かつ万全な対応をしなければいけません。しかしこの機に日本の今後の進む道を真剣に検討すべきではないでしょうか。

 温暖化対策、また北海道に見られたような分散型エネルギーの未整備への対処、太陽光パネルも含んだ構築物の強化、防災情報の精度向上と住民の方々の対応促進など、課題は山積しています。私も意見を述べていますが、予算措置も含めて抜本的な対策を取っていかなければなりません。各省庁や地方自治体にまたがって対応する運用の問題であって、防災省という屋上屋の役所を作れば解決することではないのです。

2018年8月16日木曜日

平成30年8月16日

[平和への祈り]

 昨日8月15日、平成としては最後の終戦の日を迎えました。全国戦没者追悼式に臨まれる天皇皇后両陛下のお姿には、格段の思いが込められているように思いました。

 私は自民党安倍総裁の名代として、総裁特別補佐の立場で靖国神社に参拝し、先の大戦で尊い命を失われた方々の御霊に謹んで哀悼の誠を捧げるとともに、恒久平和の誓いを致しました。マスメディア各社のインタビューで、これが諸般の事情による私的参拝であること、そして総裁からは、先人の御霊にしっかりお参りをして欲しい、本日参拝に行けずに申し訳ないとのメッセージを預かったことを紹介致しました。

 また、先日8月9日には、自民党を代表して長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に出席し、心を込めて献花させていただきました。その機会に原爆資料館を訪問しましたが、多くの悲惨な被害に関する展示を見るにつけ、改めて絶対に戦争は回避しなくてはいけないと強く感じた次第です。

 しかしながら世界に目を転じれば、国益と国益のぶつかり合い、権力闘争や弾圧、宗教や民族の対立など、様々な理由による武力衝突は後を絶ちません。
 そして日本も、隣国から、領土や資源をめぐり、また日米同盟への挑発などにより、朝鮮半島の情勢の不透明化も手伝ってまだまだ軍事的な脅威にさらされている状況は変わっていないのです。

 悲劇を二度と繰り返さないために国際社会は、外交交渉に加え、国連の取組みや多国間での条約などによる、話し合いでの問題解決を少しずつではありますが重ねています。
 私も外務大臣政務官時代に、ニューヨーク国連本部で開催されたNPT(核不拡散条約)運用検討会議準備委員会に出席し、北朝鮮問題やイラン問題に加え、NPT加盟国の拡大や保有国の核軍縮を行うよう強く世界に訴えました。

 しかし核保有国は脅威に対する抑止力を理由に、他国も核縮減を行うことやその検証がなされることを担保しない限り、自分から先に核を廃棄するということにはなかなか応じられません(安全保障の観点からは無理からぬ部分があります)。ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が尽力して締結にこぎつけた核兵器禁止条約については、締結国が率先して核の廃絶に取り組むというもののその具体的な道筋は明らかでなく、締結に非協力的な保有国ないし保有に向けて取り組む国と、非保有国の溝をかえって深くするものです。犯人が現に拳銃を持っているのに、警官に先に銃を捨てろ、他の人は銃を持つなというのが無理なのと同じです。

 日本がこの条約に加盟できないのは、こうした原理的な疑問によるもので、日本が核の傘に守られているからということと別の理由があるのです。

 その意味では北朝鮮が半島の非核化について同意をしているというのは画期的ですが、これが自らはこっそり隠れて核を持ちながら、韓国には米国の核兵器を持ち込ませないという話にならないよう、しっかり目に見える査察を伴わなければ、現在国連決議に基づき行っている経済制裁をおいそれと解除するわけにはいかないわけです。また、日本の防衛予算も引き続きとても重要な意味を持ちます。

 道は険しいですが、真の平和に向けての努力を真摯に少しずつ重ねていくことをお誓い致します。