2017年3月31日金曜日

平成29年3月31日

[危機感を持って]

 3月22日、北朝鮮は失敗に終わったもののまたもミサイルを発射しました。そして同日、イギリスの国会前でテロリストが車両を暴走させたうえ警官を刺し、多くの死傷者が発生。後にISが犯行声明を発表しました。

 しかしながら翌日の日本の国会では、終日森友学園に関する証人喚問・・・本当にこれでよいのでしょうか?

 昨日30日、自民党の安全保障調査会の検討チーム(座長・小野寺五典元防衛大臣)が中心として取りまとめた弾道ミサイル防衛に関する提言を、安倍総理とともに官邸でお受けしました。
 北朝鮮の核・ミサイル開発技術の進展は、同時多数発射や正確性などの観点から新たな脅威に達していると認められます。これに対する日本の対応は、迅速かつより実効性の高いものであることが明らかであり、提言は
1.弾道ミサイル防衛能力強化のための新規アセットの導入
2.わが国独自の敵基地反撃能力の保有
3.排他的経済水域に飛来する弾道ミサイルへの対処
などを内容としています。

 新規アセット(装備品)の導入について、イージスアショア(陸上配備型イージスシステム)や、現在韓国でも検討されているTHADD(終末段階高高度地域防衛)の導入の可否を直ちに検討するよう求められていますし、また、EEZ(排他的経済水域)に飛来する弾道ミサイルへの対処として、わが国船舶などに航行警報を迅速に発出できるよう検討を求められています。
 今後の早期警戒衛星の展開など、米国との間で調整が必要であったり、予算措置が必要であったりするものが多く、また、敵基地反撃についても法的・物的なハードルが高いことは予想されますが、総理は真摯に検討する旨応じておられました。

 折しも弁護士の有志で、ミサイル攻撃への対処や憲法問題を議論する動きもあり、こうした流れが危機感をもって広がることを期待しています。

[地元のイベント続々]

 応援して下さっている女性の会「しばざくら会」の春の集いや、地元の国政報告会などを開催していただいています。私の日頃の活動報告のみならず、皆様の声を伺う貴重な機会です。開催にご尽力をいただいた方々に心から感謝申し上げます。

2017年3月12日日曜日

平成29年3月12日

[南スーダンの新たな時代]

 昨日3月11日、昨年に続く2度目の南スーダン首都ジュバへの訪問を終えて帰国しました。

 今回の訪問で、キール大統領とシアラーUNMISS(国連南スーダン共和国ミッション)特別代表にお会いして、日本の自衛隊によるPKO施設部隊の活動終了をお伝えするという重い役目を果たしました。

 そもそも昨年10月末に、現在派遣中の第11次隊を送る決定をした際には、任務とされた国連施設の整備が作業途上であったうえ、自衛隊には邦人保護のための駆け付け警護の権限も付与されていませんでした。
 しかしながら、そうした権限を付与された今回の11次隊の派遣期間も今度の3月末をもって期限を迎えることから、これからどうするか検討したところ、

1.作業の途上だった国連施設の整備は4月末に、また現在首都ジュバで行っている道路整備も5月末には完了の見込みであること

2.自衛隊のPKO施設部隊の活動としては過去最長となる5年を超え、かつ道路補修は延べ約210㎞、用地造成は延べ約50万㎥、施設構築等の箇所は94箇所と、いずれも過去最大規模となったこと

3.南スーダンの国造りプロセスが、国連による治安改善のための地域保護部隊の4000人規模での増強や、政府による民族融和を進めるための国民対話が予定されるなど、安定に向けた新たな段階を迎えており、イギリスの施設部隊も展開を開始していること

4.日本や自衛隊を取り巻く環境が、北朝鮮の核実験・ミサイル発射などに見られるように厳しくなりつつあること

 以上のような状況であることを踏まえ、現在仕掛かり中の案件の終了の5月末を目処として終了することに決したものです。

 以上を9日の国家安全保障会議で方針として決定してすぐに、キール大統領とシアラーUNMISS特別代表にお伝えすべく、特にキール大統領には安倍総理からの親書を持参してお会いしました。

 キール大統領は親書を熟読し、じっと私の話を聞いたうえで、これまで自衛隊が果たしてきた役割及び日本政府の支援に対する高い評価と謝意を示され、また今回の活動終了に対する理解を示して下さいました。また、今後も南スーダンの国造りには日本の協力が不可欠であるとして、日本が手がけて中断しているフリーダム・ブリッジ(ナイル川架橋建設計画)やジュバ市水供給改善計画などの民生支援への期待を口にされました。
 シアラーUNMISS特別代表も、日本の施設部隊の多大な貢献を高く評価し感謝して下さるとともに、わが国の方針に対する理解を示され、今後日本と任務調整を行っていく旨確認できてとても穏やかな会談となりました。

 こうした暖かい反応は日頃自衛隊や日本の大使館・国連の職員の方々が現地で尽力されていることの成果だと思います。

 なお、今回の自衛隊の撤収は一部で言われているような治安の悪化によるものではありません。
 南スーダンは部族衝突などが依然報告され、確かに厳しい治安状況が続いていますが、民族浄化などの事態が発生しているとは認識していませんし、自衛隊が展開している首都ジュバにおいては、昨年7月の武力衝突を起こした反対派のマシャール氏が国外脱出して以降、平穏を取り戻しつつあります。今回私はナイル川を渡った先のグンボ・マーケットや市内最大のコニョコニョ・マーケットなどに足を運び、車で市内を見て回りましたが、女性や子供を含む市民が普通に出歩いていました。また、自衛隊などが道路整備をしたことから車の往来が活発となり、日本製のトラックが行き交う様も見て取れました。ジュバ大学のキャンパス用地も自衛隊によって整地され、学生たちがそこで集会をしたりスポーツに興じる姿も見ることができましたし、何より10月末に訪れた時には治安維持のためにあちこちで見かけた政府軍の姿もかなり少なくなった印象です。これを裏付けるように、日本の紀谷大使や現地の邦人職員も、凶悪犯罪のジュバでの発生件数が減少傾向であると教えてくれました。

 折しも10日は国民対話の開始に先立つ「祈りの日」として国民の祝日となって大きなイベントが催されており、南スーダン政府が進めようとしている部族間の国民対話に向けた機運の高まりが見て取れました。

 今後日本は、衝突解決合意の監視活動や国民対話の支援、人材育成、飢饉対応を含む人道支援などの継続ないし強化を行っていきます(近々追加対策を発表する予定です)。また、自衛隊のPKO司令部要員については引き続き現地にとどまってUNMISSの企画・立案・治安情勢整理・物資の輸送や航空運航支援などに携わっていただきます。JICAなどわが国の国際協力関係者の復帰については、こうした取組みや南スーダンその他関係者の尽力で治安情勢がさらに好転することを見極めたうえで検討していきます。

 現地を出発する10日には、私自ら自衛隊宿営地を訪問し、隊員の皆さんに今回の方針を直接説明するとともに、現在従事している道路整備が終わる5月末に向けて引き続き安全確保に細心の注意を払い、無事任務を完遂していただきたいと激励を行いました。隊員の方々は休暇や外せない用事をしている方以外の約300人が集合して下さり、身じろぎすることなく耳を傾けて下さいました。
 これからもしっかり対処して参ります。