2019年5月7日火曜日

令和元年5月7日

[炎の弾丸出張米国編]

 令和への御代替わり当日1日から昨日6日まで、4泊で米国に出張しました。

 ワシントン到着後ホテルに寄ることなく連邦教育省のザイス副長官と、これからの初等中等段階を含む科学技術教育のあり方について中身の濃い議論をした後、駐米日本大使公邸へ。「AIサロン」と名付けた討論会が開催され、平井科学技術担当大臣、クラティオス大統領副補佐官と私がパネリストとなり、FOXのジョン・ロバーツ氏がモデレーターとなって、これからのAIの進む方向やデータ戦略などについて全編英語で討論。多くの日米産官学関係者が参加した有意義なひと時となりました。

 翌2日にはホワイトハウス隣接の国際会議場アイゼンハワービルへ。前日のAIサロン出席メンバーに加え、ドログマイヤー大統領府科学技術政策局長など科学技術分野の各政府責任者とともに、第14回日米科学技術協力合同高級委員会に出席しました。ここでもこれからの日米におけるAIに関する教育改革を柱の一つとした人工知能戦略が話し合われたほか、野心的なムーンショット型研究開発、量子技術分野での実務者を含む協力関係を推進することで一致し、報道でも取り上げられました。理化学研究所などの活用を進めます。

 その後、NASA(米国航空宇宙局)を訪れ、ブライデンスタイン長官と会談するとともに、Gateway(月近傍有人拠点)への参加検討加速など、双方の研究開発協力推進に向けた共同声明を発表し、こちらも報道されました。続いて国家宇宙会議ペース事務局長とも宇宙協力について会談。スペースデブリ(宇宙ゴミ)の処理や法的対応などにも話が及びましたが、日本が価値観を共有でき、かつ「言ったことをやる」信頼できるパートナーであることが先方から強調されたのは特筆できると思います。

 翌3日にはMIT(マサチューセッツ工科大学)を訪問。
 世界中を対象としたオープンラーニングについてサルマ副学長に説明を受け、知的創造物は共有財産であるという教授陣の使命感と、先端的なビジネスモデルが参考になりました。同大学宮川教授とは、日本における課題解決型ブートキャンプや日米オンライン教育協力などを、レズニック教授とはメディアラボという創造的施設においてプログラミング「スクラッチ」教育などを、それぞれ議論させていただき、是非今後の日本の教育政策に活かしたいと思います。

 その後にボストン美術館を訪問。有名な歌麿や写楽の浮世絵の原画などが所蔵されており、来年の日本博開催に向けてコラボを図っていきたいと美術館側に申し入れました。

 4日から5日にかけてはハワイ島で国立天文台ハワイ観測所を訪問・視察。

 前線が通過して雨天となる悪条件でしたが、夜には南十字星や天の川が見える状況となり、標高4200mのマウナケア山中腹にて天体望遠鏡でイータカリーナ星雲、M87星雲などを観測することができました。
 一旦ホテルに戻って翌日には、こちらも前日の雨で道が凍結して訪問が危ぶまれた山頂のすばる望遠鏡の視察が好天に恵まれ奇跡的に氷が溶けて実現。当該望遠鏡は設置後20年が経ちますが、8.2mの口径で、世界唯一の超広視野観測が可能な貴重な設備。ブラックホール探査に貢献するなど成果も出しており、これからも人的・物的支援をしていきます。隣接地には口径30mという超大型望遠鏡TMT計画が進行しており、日本も先端技術で応援していくことになります。

 今回の出張が日本の国力につながることを期待しています。

2019年5月1日水曜日

令和元年5月1日

[明るい未来を]

 いよいよ令和元年が始まりました。

 昨日4月30日には明仁天皇最後の国事行為となる退位礼正殿の儀に出席。平成の30年間はバブル崩壊後、日本の成長が低迷し、GDP世界2位の座を中国に明け渡したのみならず、日本企業の時価総額が世界のトップ100からほとんど姿を消した時期となりました。若者は将来への不安から内向き志向となりチャレンジ精神は影を潜め、首相が毎年変わる存在感の薄い国になっていったのです。

 戦争がなかったのは特筆すべきことでしたが、阪神淡路大震災や東日本大震災をはじめ大きな災害が相次ぎました。

 私は政治の世界に飛び込み、日本を何とか改革し、正直者が報われる活力のある社会、危機管理のできる社会を目指して懸命に努力してきたと自負しています。

 しかし最近何かが変わってきました。

 先進国で相次いで社会の分断・格差の増大により政権が不安定化し、規律や治安が脅かされるようになりました。日本型の和や伝統に多くの注目が集まりました。安倍政権のもと日本の経済は復活し、政治も今のところは安定しています。言わば、周回遅れとなったことで相対的に先頭ランナーに躍り出たような感覚です。

 文部科学大臣を拝命してつくづく感じるのです。これはわが国の教育・文化という永年にわたって培ってきたアセット(資産)によるものなのだと。そして皇室が日本社会の象徴であり、天皇陛下が常に国民に寄り添ってこられたことが、国民統合の非常に大きな要因の一つであるということを。

 これから否応なしにグローバル化が進む中で、私が改革を目指す姿勢は変わりませんし、若者には大いにチャレンジスピリットを磨いて欲しいと思っています。
 しかしその中で日本の精神やコミュニティを守り、世界にその尊さを広げ、日本型のコーポレートガバナンスを築いていくことが私のもう一つのテーマになることでしょう。もちろん、世界の温暖化防止とエネルギー改革も。

 現在はこの欄で何度も紹介した柴山イニシアティブ法案に加え、ロースクールに学ぶ学生たちの時間的・経済的負担を軽減する法科大学院法改正案・司法試験法改正案を審議していただいています。また、東京福祉大学などの大学や、都道府県が所管する専門学校等で、留学生の在籍管理に疑問が出ている件についてはしっかり調査し、就労の隠れ蓑として利用されたり、外国人学生に日本人学生より手厚い保護がなされていると批判されたりすることがないようにしていきます。

 令和はもう世界でなく、宇宙が舞台となる時代となるでしょう。明るく平和な未来を切り拓いていくべく、これからも全力を尽くして参ります。

2019年4月5日金曜日

平成31年4月5日

[平成のその先へ]

 4月1日、新元号が「令和」となることが発表されました。

 30年ぶりの改元。前回は学生でしたが、今回は閣僚の一員としてその瞬間を迎えることができ、感無量です。明るい未来を創ることに全力を尽くす決意です。
 新元号への社会の反応も好意的で、しかも新商品やツアーの企画など、経済効果もかなりあるようです。最近中国情勢などの不透明感から、景気の先行きに悲観的な見方が出てきていましたが、こうした前向きな動きが続けば、来年のオリンピック・パラリンピックに向けて好景気を維持できるのでないかと期待しています。

 私がツイッターで、新しい元号の年数に「れいわ(018)」を足すと西暦の年数になると指摘したこともかなり話題を呼んでいるようです。元号は時代の鏡であり、日本の伝統でもありますので、これからも公文書や社会で生き続けることを期待しています。

 文部科学省では4月1日に新規採用職員の入省式が行われました。一連の文科省不祥事で逆風が吹いているにもかかわらず、あえて文科省を選んでくれた貴重な人材です。私の大臣挨拶では心から歓迎の意を表するとともに、気概を持って未来を切り拓いていきましょうと激励させていただきました。
 先般、私を長として立ち上げた文部科学省創生実行本部がとりまとめた改革案では、省内の意識改革、コンプライアンス室をはじめとしたガバナンス改革、採用区分や再就職のあり方等天下り批判のあった人事面での改革など、網羅的かつ意欲的なメニューがまとまりました。これを不断に実行・検証していくことで、私は文科省が行政改革のフロントランナーに一躍躍り出ると確信しています。後ろ向きの仕事が減れば、当然前向きに業務に取り組むエネルギーが強まり、時代の大きな節目にある教育・科学技術・文化・スポーツそれぞれにしっかり成果を残せるでしょう。

 3月23日に平成最後となる春の選抜高校野球が開幕し、私が始球式でストライクを投じたことが話題となりましたが、それに先立つ挨拶で「この中から次の世代のイチロー選手が誕生することを願ってやみません」とコメントしたこともニュースになりました。
 そして大会優勝校は愛知東邦高校。平成元年に続き、平成最後の大会で有終の美を飾ったのですが、元年当時のエース石川投手のご子息昂弥主将が投打で活躍し、まさに新しい時代を予感させる終わり方だったと思います。

 平成の、その先へ。希望にあふれる未来が私たちを待っています。

2019年3月18日月曜日

平成31年3月18日

[柴山イニシアティブ推進に向けて]

 3月14日、衆議院本会議で私が所管するところの、大学等における修学の支援に関する法律案と、学校教育法等の一部を改正する法律案が審議入りしました。
 1月2日のこの欄でも紹介しましたが、教育に親の所得により格差が生じることがあってはなりません。今年10月の消費増税に合わせて幼児教育無償化が実施されますが、来年4月から住民税非課税世帯、あるいはそれに準じる世帯の学生たちを対象に、大学や高等専門学校などの授業料を減免し、合わせて生活費を賄えるよう給付型奨学金もお渡しします。金額は例えば自宅外の私立大生は、最大で授業料減額が年間約70万円、奨学金が約91万円となる見込みです。

 予算面でも大学の研究力向上に向けて支援を拡大します。若手研究者を中心としてポスト重点化や研究資金・設備などを強化したり、共同研究・海外研究などを後押ししていきます。

 しかし、質の確保のための改革も同時に進めなければいけません。支援対象となる学生は高校の成績だけでなくレポートや面談で学習意欲のある方が受けられるようにしますが、大学等に入学した後は、学習条件について厳しい要件を付し、これに満たない場合は支援を打ち切ることとします。
 対象となる大学も、実務教員による授業科目が一定割合の単位になっていることや、法人の理事に産業界等の外部人材が複数任命されていること、厳格かつ適正な成績管理・財務管理などが行われていることを要件とします。学生が社会で自立するのを導ける大学とするためです。

 大学改革は待ったなしです。評価の厳格化・合理化、経営と教学の分離の可能化、国立大学の1法人複数大学制の可能化、監事の権限強化など、今回の法制によりガバナンス改革が進みます。国立大学と私立大学の連携なども進めます。

 予算も、国公立大学の一部運営費交付金を(短期的な目標ということではありませんが)客観的指標に基づく再配分をしたり、私立大補助金を経営の状況を見てメリハリを付けて配分したりすることを進めていきます。

 こうした「手厚い支援」と「厳しい改革」を車の両輪としたパッケージとしたのが、私が主張している「柴山イニシアティブ」です。
 もちろん、世界的にトップを担う大学の育成のみならず、地方創生や特殊分野に通じた教育機関の育成にもしっかり努めて参ります。是非今国会、皆様のご支援をお願い致します。

[著作権法改正は丁寧に]

 今国会提出を予定していた、動画以外のコンテンツの違法ダウンロード規制などを内容とする著作権法改正案につき、クリエーターである日本漫画家協会などから表現活動への影響を心配する意見が多数出されたことに鑑み、自民党は閣議決定を見送るよう求めました。

 この問題はそもそも海賊版対策としてサイトブロッキング規制が有効であることから、その導入を巡って有識者たちと大激論し、その代替案としてリーチサイト規制と違法ダウンロード規制を当面は行うという整理となっていました。しかしこの議論が必ずしもオープンになっておらず、今後は懸念を持つ方々も含めてきちんと手続をし直す必要があると感じます。政府全体で進めて参ります。

2019年2月21日木曜日

平成31年2月21日

[時代を見据えた取組み支援を]

 2月19日、赤羽にあるJSC(日本スポーツ振興センター)のハイパフォーマンスセンターと、東洋大学情報連携学部を視察しました。

 ハイパフォーマンスセンターでは、中核となる国立スポーツ科学センターにて、最先端の医学やスポーツ科学・情報などを活用した体操の内村航平選手やバドミントン・卓球の日本代表選手たちのトレーニング風景を視察し、トップアスリートが国際基準・競技環境に沿った施設で集中的かつ継続的に強化活動を行うことの重要性、そしてそれを多面的に支援することの重要性を認識することができました。
 また、パラリンピックのトレーニングを視野に入れたNTC(ナショナルトレーニングセンター)拡充棟の建設状況も視察し、その完成がオリンピック・パラリンピックの一体的な支援に資することを期待しています。国としてしっかりバックアップしていきます。

 東洋大学情報連携学部では、坂村学部長の強力なリーダーシップで平成29年に開設した最先端のキャンパスに感銘を受けました。施錠・照明・掲示板などのハード設備やカリキュラム・マネジメントなどのソフトが徹底的にIT化・IC化されており、建物のデザインも隈研吾氏の非常にモダンなものです。
 授業における実践的なプログラミング教育や少人数によるディベート、イノベーション・コンテストなどの先進的カリキュラム、自動走行実験などの現場、三井住友海上火災保険と連携したリカレント教育の現場などを視察し、時代を見据えた人材育成に取り組んでいる私立大学を支援していくことの意義を感じました。また、施設で学ぶ海外からの留学生についての日本語支援や試験の仕組みについて要望をいただいたのでしっかりと対応して参ります。

[一石を投じた会見の波紋]

 昨年の地震で子供の安否確認の必要性に立脚し、大阪府教育庁が今年4月から府内の公立小中学校で児童が携帯電話を持ち込むためのガイドライン素案を検討しています。

 今から10年前に文科省は小中学校への携帯電話持ち込みを原則禁止する通知を発出していますが、その後の子供の所持率も飛躍的に上昇し、緊急連絡や安否確認などの手段として親御さんが携帯を持たせたいと要望されることも増えています。医学的な影響や弊害などにも慎重に目配りし、有識者や現場の先生方、保護者たちからの意見も伺って、上記した通知の見直しについて議論していきたいと私が記者会見で申し上げたところ、大きな反響を呼びました。

 今月は各学校に児童虐待事案の調査もお願いしているところで、色々負担をおかけしますが、是非子供たちの未来のためにお力をいただければ幸いです。

2019年1月25日金曜日

平成31年1月25日

[日ロ関係の前進に向けて]

 去る1月22日、モスクワで安倍総理とプーチン大統領による25回目の首脳会談が行われました。

 人的交流の拡大をはじめ幅広い分野での協力の推進とともに、平和条約締結問題に関しても、両首脳間で率直な意見交換が行われました。

 それぞれの国民の思いを考えると、交渉は決して容易ではありませんが、双方の交流を深めることで環境整備ができてくるものと思います。

 23日にはガルージン駐日ロシア大使が私の大臣室を訪問され、今後の協力関係についてお話ししました。

 昨年は「日本におけるロシア年」「ロシアにおける日本年」であり、関連事業として、プーシキン美術館において、9月から10月まで「江戸絵画名品展」が開催されました。文化庁及び東京国立博物館等から135件の作品が出品され、約12万人が来場する大盛況となったとのことです。
 また、言うまでもなくサッカーワールドカップ・ロシア大会での日ロ両国の活躍も記憶に鮮明です。

 今年日本で開催されるラグビーワールドカップ開幕戦では、日ロ代表の対戦が予定されており、こうした関係を通じても両国の交流が進むことを期待しています。

[改革の方向を示す重要な視察]

 昨日24日、東京工業大学大岡山キャンパスと東京シューレ葛飾中学校を訪問し、これから進めようとする教育改革の重要なヒントを得ることができました。

(東京工業大学)

 指定国立大学法人として日本の最先端の研究開発を求められている同大学では、2012年から大胆なガバナンス改革が進んでいます。
 学部卒業生の9割が修士課程に進むことも活かし、学部と大学院を「学院」に統合するとともに、学長によるそれぞれの責任者(部局長)の指名制や、教員ポストの全学管理などにより、トップマネジメントによる研究組織の統合・再編を通じた研究力強化、国際連携が促進されています。

 科学技術創成研究院は、World Research Hub Initiativeとして、地球生命研究所(ELSI)など、外国人研究者との共同研究の推進を進めています。ガラス張りの教室やロビーで当たり前のように英語で国際的な議論が交わされているのを頼もしく感じました。

 文理融合の観点からリベラルアーツ(人文・社会科目)に力を入れていることも印象的でした。リベラルアーツ研究教育院を設け、これまでの学士課程の教養科目としての位置付けでなく、学部修了後も必修科目としてリベラルアーツを学んでいます。
 しかも学部1年生で名だたる外部講師を呼んで講義を聴くだけでなく少人数のグループワークで検証するという「立志プロジェクト」を実施したり、学部3年生で「教養卒論」を提出させるにあたり、再度グループワークや修士課程の学生によるピアレビューなどをしたり、濃密な議論を要求しています。私も学生たちと議論させていただきましたが、社会における科学の実証や「いかに授業を面白くするか」など、多岐にわたるテーマが取り上げられているのに感銘を受けました。

(東京シューレ葛飾中学校)

 2007年開校の本校は、構造改革特区制度を活用して、校地校舎を賃借し、学習指導要領の内容も緩和された、不登校支援の私立中学校です。

 「靴に合わない足をしかるのでなく、足に合う靴を用意する」というコンセプトのもと、不登校の子供たちの様々な声を聞き、それを制度面や設備面で最大限に活かしているのが非常に印象的でした。明るいトイレや、子供たち専用の階段など、なるほどと思う工夫が見て取れました。

 各学年40人弱の学生がいるのですが、学年を横断した4つの「ホーム」という生活単位を設け、担任をそれぞれ2名配置しています。年間授業時間数は8割程度に抑え、英数国理社のような学年ごとの授業以外はホームごとに、またやりたいことを適宜実践する総合学習の「いろいろタイム」や「プロジェクト」という時間ではさらに自由にグループが構成されます。

 私も「いろいろタイム」で、体育館のドッジビー(痛くないフリスビーでのドッジボール)やお菓子作りの現場などを見ましたが、本当に皆さん生き生きと普通に楽しんでおられ、暖かい気持ちになりました。

 印象的だったのは卒業生やそのご家族が学校を頻繁に訪れ、授業に協力して下さっていることです。職業体験や「ようこそ先輩」という社会の各分野の最先端で活躍しているOB・OGの話を聞くことで、これまで不登校という体験から喪失していた自己肯定感が復活し、未来を前向きに考えられるようになるというのです。

 今後、視察で得られた知見も十分に活かし、その支援や横展開に努めて参ります。

2019年1月10日木曜日

平成31年1月10日

[神奈川での濃密なプログラム]

 昨日9日、日帰りで4つの施設を連続視察し、貴重な知見を得ることができました。

(横浜市立北山田小学校)

 平成8年創立の学校でしたが、学校や市教育委員会の高い意識により、授業のIT化や働き方改革が大変進んでいました。

 授業においては、デジタル教科書の活用や、ICT支援員を伴った高学年でのプログラミング学習などの他、算数でどのレベルの子も充実した学びができるコース別学習の推進が印象的でした。

 働き方改革においては、ICカードによる出退勤管理、教職員間の情報共有のためのグループウェアの導入、ペーパーレス職員会議を進めているほか、残業や休日出勤を減らすための留守番電話や日直なき閉庁日の導入、通知表の簡素化やプール清掃等の外部委託、各種契約のオンライン化、教科担任制を活用して計画的な年次休暇の取得を進めるなどの工夫が印象に残りました。

 その結果同校では先生方のストレスチェックが良好で、健康リスクも全国の健康リスク平均を100とすると54と好成績(昨年は64)となっていることから、こうした取組みをさらに全国展開していくよう、各地の取組みの指標化を進めたりするなど後押しをしていきたいと思います。

(筑波大学附属久里浜特別支援学校)

 昭和48年創設当時は重度・重複障害児教育のメッカとしての役割を担っていましたが、現在は知的障害を伴う自閉症のある幼児・児童に対する教育、教育課程の改善に関する研究を行っています。

 早期からの、かつ的確なアセスメント・根拠に基づく指導が行われ、現場を見て沢山の驚きがありました。障害の態様が個別的で対処法も様々あること、福祉や医療との連携など、しっかり横展開していく必要があります。

(国立特別支援教育総合研究所)

 上記久里浜校に隣接し、わが国唯一の特別支援教育のナショナルセンターとして、国内外の情勢の変化も踏まえ、国の政策課題や教育現場の課題に対応する専門的な研究や、久里浜校での実習を含めた研修を実施しています。

 この日は2ヶ月にわたる研修プログラムの初日で、私から激励の挨拶をさせていただきました。所内では全く音のない「無響室」の体験をはじめ、数々の教材(市販・学校現場での開発)などを見させていただきました。役員との意見交換では、差別解消という意味での健常者と一体のインクルーシブ教育は大事だが、これからは障害の個別性に即した教育の推進が求められるということ、そうしたノウハウの共有のために教員研修の遠隔実施などを適宜活用できるという話をさせていただきました。

(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

 略称JAMSTECのこの施設は海洋分野の研究開発の中核機関で、温暖化・酸性雨やプラスチック廃棄物など大きく注目されている海洋・地球環境の把握と予測、地震や火山活動の研究、海洋資源の持続的有効活用に資する研究などが進められています。

 保有する深海調査研究船「かいれい」に乗船して説明を受け、無人探査機「かいこう」、有人潜水調査船「しんかい6500」、深海巡航探査機「うらしま」や無人探査機「ゆめいるか」も見てきました。

 昨年末、資源探査のための競技会である、Shell Ocean Discovery XPRIZEには、当機構からTeam KUROSHIOが出場しましたが、今年の3月に結果が発表されるとのことで、今から楽しみです。

 実利とロマン、美しい地球を追求すべく、これからも努力を重ねて参ります。

2019年1月2日水曜日

平成31年1月2日

[大胆な改革と果実を]

 平成31年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。国民の皆様と日本社会が繁栄する年となるよう祈念致します。

 昨年は文部科学大臣に就任して以降、まさに激動の日々でした。年末には厚労省とも調整し、一部大学の医学部医学科の不適切入試判明による追加合格に伴い、今度の受験生のための減員緩和措置を発表するなど、最後まで無我夢中でした。さらに様々な大胆な改革に着手する年でもありました。

 昨年を「種をまく時期」とすると、今年はその種が大きく芽を出し、そして伸びる1年になるよう、年頭に当たり、決意を新たにしております。

 まず、文部科学省の改革については、若手職員も参画する「文部科学省未来検討タスクフォース」が昨年12月に省改革に関する提言を取りまとめたところであり、私が本部長の「文部科学省創生実行本部」における議論に反映するとともに、今後、文部科学省一丸となって文部科学省の再生に向けて一つ一つの取組みを真摯に積み重ねて、皆様の信頼回復に向けて全力を挙げて参ります。

教育について]

 今、教育は大きな転換点にあります。次の4点について特に力を入れて取り組んで参ります。

 1点目は、新時代の学びを支える先端技術の活用です。「ソサエティ5.0」の時代こそ、学校は人間としての強みを伸ばしながら、人生や社会を見据えて学び合う場となることが求められます。昨年11月に「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて~柴山・学びの革新プラン~」をまとめたところですが、児童生徒の学びの質を高めるため、教師を支援するツールとして、遠隔教育を含めた先端技術の活用を進めて参ります。具体的には、2020年代の早期に全ての小中高校で遠隔教育を活用できるようにすること、先端技術の導入による教師の授業支援、学校のICT環境整備などに取り組んで参ります。

 2点目は、学校における働き方改革の推進です。安倍内閣が「働き方改革」を実行する中で、教職の専門職としての教師にふさわしい勤務環境を確保し、わが国の義務教育の高い成果を支える持続可能な体制を確立するため、本年を「学校における働き方改革」を加速する年と位置づけ、その実現に向けて全力で取り組んで参ります。
 これを実現すべく、昨年末、中央教育審議会において答申素案が示され、意見募集においても多くのご意見をいただきました。これらを踏まえて、勤務時間管理の徹底や業務の明確化・適正化、教師の勤務のあり方を踏まえた勤務時間制度の改革、小学校における質の高い英語教育のための専科指導等に必要な教職員定数の改善充実、部活動指導員やスクール・サポート・スタッフ等の外部人材の配置拡充などを総合的に推進します。

 3点目は、家庭の経済事情に左右されることなく、誰もが希望する質の高い教育を受けられるよう、教育の無償化・負担軽減を推進することです。1昨年12月に閣議決定された新しい経済政策パッケージ及び昨年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」に基づき、関係府省と十分に連携を図りつつ、幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育の無償化・負担軽減の施策の具体化に向けた検討を進めてきたところです。
 幼児教育の無償化については、本年10月からの実施に向けて、地方自治体とも連携しながら、しっかりと準備を進めて参ります。
 高等教育については、2020年度から、大学、短期大学、高等専門学校及び専門学校の全ての意欲ある住民税非課税世帯の学生等について、授業料減免措置を講ずるとともに、支援を受けた学生等が学業に専念できるよう、学生生活を送るのに必要な生活費を賄うため、給付型奨学金の支給額を大幅に増やします。また、住民税非課税世帯に準ずる世帯の子供たちについても、必要な支援を行います。
 さらに、2020年度までに年収590万円未満世帯を対象とした私立高等学校授業料の実質無償化を実現します。また、高校生等の奨学給付金の充実にも取り組みます。

 4点目は、大学改革の推進です。18歳人口の減少が予想される中で、国の知的基盤である大学がわが国の成長・発展を牽引し、新たなイノベーションを創出する人材を育成できるよう、高等教育全体の構造転換が必要です。このため、変化に対応した人材育成、全ての人が活躍し続けられる社会をつくるための人材への投資、大学改革の推進と教育研究力の強化を一体的に進めて参ります。
 具体的には、大学入学者選抜改革や文系・理系にとらわれない新しいリテラシーに対応した教育など、ソサエティ5.0に対応した大学教育改革を進めます。また、教学マネジメントに係る指針の策定、学生が身に付けた能力・付加価値の見える化など、教育の質の保証に取り組んでまいります。大学の基盤強化、連携・統合については、国立大学の一法人複数大学制度の導入や大学ガバナンスコードの策定、学校法人の自律的なガバナンスの改善・強化、国公私立の枠を越えた連携を可能とする「大学等連携推進法人(仮称)」の制度創設の検討などに取り組んで参ります。併せて、リカレント教育を抜本的に拡充し、生涯にわたって学び続け、チャレンジし続けられる機会の確保を目指します。これらのことをパッケージとして進めて参ります。

科学技術について]

 昨年、本庶佑(ほんじょたすく)京都大学特別教授が、ノーベル生理学・医学賞を受賞されました。本庶先生の受賞は、わが国の高い研究水準を世界に示し、がんに苦しむ世界中の人たちに大きな希望を与えるものであり、先生の業績に心からの敬意を表したいと思います。
 一方、わが国の研究力は、諸外国に比べ相対的に低下傾向にあります。このような現状を一刻も早く打破するため、科学技術イノベ―ションについては、次の3点に特に力を入れて取り組んで参ります。

 1点目は、研究「人材」「資金」「環境」の改革を、「大学改革」と一体的に進め、科学技術イノベーションシステム改革を加速することです。具体的には、研究「人材」の改革として、若手研究員のポストの確保や、キャリア形成に資する流動性確保と支援強化などに取り組みます。研究「資金」の改革については、若手研究者への重点支援、科研費改革の実行・検証、新興・融合領域への取組みや国際共同研究の強化などに取り組みます。また、研究「環境」の改革については、研究施設・設備の共用の促進や研究者の事務負担の軽減などに取り組みます。

 2点目は、オープンイノベーションの加速による官民投資の拡大です。昨年6月閣議決定された「統合イノベーション戦略」において示された、「2025年までに民間投資3倍」の実現に向けて、大学等におけるオープンイノベーションを強化する体制の構築支援など民間投資を誘発する施策を加速致します。具体的には、大学等において優れた研究者を部局を超えて組織化し、事業家・知財等の専門人材により企業の事業戦略に深く関わる大型共同研究を集中的にマネジメントする体制の構築を支援(「組織」対「組織」の産学官連携)して参ります。また、起業に挑戦しイノベーションを起こす人材の育成、創業前段階からの経営人材との連携等を通じて、大企業、大学、ベンチャーキャピタルとベンチャー企業との間での知、人材、資金の好循環を起こし、ベンチャー・エコシステムの創出に取り組んで参ります。

 3点目は、大規模研究開発プロジェクトの推進です。具体的には、次世代放射光施設など物質科学等を支える最先端の研究基盤をはじめとする大型研究施設等の整備・共用を促進するとともに、2020年度に初号機打上げを目指したH3ロケットの開発や、同時期に地球への帰還が予定されている「はやぶさ2」に代表される宇宙探査の推進など、国内外で大きな期待と関心が寄せられている宇宙・航空分野の研究開発や、海洋・極域、原子力(世界の状況を見つつ)に関する研究開発など、国主導で取り組むべき基幹技術を推進します。

スポーツ・文化]

 本年は、わが国でラグビーワールドカップが開催されます。そして、来年はいよいよ2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。これらの大会に向けた取組みを強力に進めるとともに、草の根レベルのスポーツもしっかりと底上げをしていく必要があり、スポーツの実施率の向上、障害者スポーツの振興、学校体育の充実等に取り組みます。
 また、スポーツ団体のガバナンスの問題などについても大きな目が注がれている中、スポーツ活動が公正かつ適切に実施されるよう、昨年12月に策定した「スポーツ・インテグリティの確保に向けたアクションプラン」に基づき統括スポーツ団体等との緊密な連携の下、スポーツ・インテグリティ確保のための取組みを進めて参ります。

 文化については、2020年東京大会の成功に向け、「日本博」等の「文化プログラム」を全国で展開し、日本遺産等の様々な文化資源を活用しながら、伝統文化から現代芸術まで幅広い文化による国づくりをオールジャパンで推進します。また、文化芸術の振興に加えて、世界に誇れるわが国の文化資源を付加価値を付けてより魅力あるものに磨き上げ、文化資源を活かしたまちづくり・観光拠点形成への支援など、文化を通じた観光振興・地域活性化にしっかりと取り組んで参ります。

[終わりに]

 以上、年頭に当たり、特に力を入れて取り組んで参りたい点を中心に所感を申し上げました。
 私としては、復興の加速化をはじめ、文部科学行政全般にわたり、信頼の回復に努めつつ、「人づくり」をはじめとした諸課題の解決に着実に取り組む考えです。引き続き国民の皆様のご理解、ご支援をよろしくお願い申し上げます。