2020年6月3日水曜日

令和2年6月3日

[秋季入学制度の議論の成果]

 昨日2日、首相官邸に安倍総理を訪ね、私が座長を務める自民党秋季入学制度検討ワーキングチームの提言をお渡ししました。

 5月4日の本ブログで書かせていただいたとおり、元々は高校生のツイッターに一部知事や有識者が賛意を示し、世論の過半数も支持する形で広がった9月入学でした。
 官邸も前向きと報じられ、党内で上記ワーキングチームが立ち上げられて岸田政調会長から前文部科学大臣の私が座長を命じられたのです。

 前記ブログでも書いたとおり、私個人としては導入に必ずしも反対ではなかったものの、導入するとなれば膨大な法改正と予算を伴い、社会全体の仕組みも変えるような覚悟と国民全般にわたる熱意が必要だと直感していました。関係者のヒアリングでも慎重論が多く、座長としては「学校休業に伴う学びの保障」は喫緊の課題としても、「秋季入学制度」は、国民的合意やその実施に一定の期間を要するものと考え、この両者を切り離すこととして下記のとおり提言をまとめたのです。


 まずは子供たちの学びを保障するため、オンライン学習の推進と共に、①教育活動の重点化、②長期休業期間や土曜日の活用等が必要となる。そのため、教育課程等の取扱方針や具体的取組例の提示等を行うべきである。

 また、設置者の判断で、令和2年度を2週間~1か月など一定期間延長する特例措置を検討すべき。その場合、翌令和3年度は遅れて開始となるが、長期休業の活用等の学びを保障するための取組を継続することで、例年通り3月までの学校年度への回復が可能となる。

 第2波、第3波が生じた場合は、延長期間の延伸など柔軟に対応する。大学等については、第一学年の始期のみ遅らせることを検討すべき。また、就職・資格試験受験者への対応にも留意すべき。

 そして、入試に対する不安への対応として、政府は早急に方針を決定・公表すべき。当該方針においては、①大学入学共通テストを含め、大学入学者選抜の日程は、2週間から1か月程度の後ろ倒しを検討すべき、②大学、高等学校、中学校の入学者選抜については、最終学年の学習状況の影響等への対応を要請すべき(例:出題範囲の限定、選択問題の導入、実施時期の一定期間の繰り下げ等)である。

 一方、秋季入学制度については、①教育改革・社会変革の重要な契機、②国際化への寄与といった意義があると考えられる。しかしながら主な課題として、①教育制度を始め多くの制度・慣行の変更に伴う心理的・経済的負担、②在校生・浪人生の就業時期の遅れと諸経費の増加、③人数が増加する学年への対応(待機児童の発生等)、④幼稚園・保育園の在園児の学年分断の発生がある。

 秋季入学制度は、幅広い制度改革についての国民的合意や実施に一定の期間を要するため、今年度・来年度のような直近の導入は困難である。

 政府は、秋季入学制度について、総理の下の会議体において、各省庁一体となって、広く国民各界各層の声を丁寧に聴きつつ、検討すべき。

 以上です。

 総理は私たちの提言に対し、「確かに法律改正を伴う制度変更をこのタイミングで行うのは困難だ」「でもじっくりと検討していく機会を設けてくれたことはよいと思う」とおっしゃってくれました。
 また、「既に知見が蓄積されたので、今後の休校対応はまた別の方法が考えられるかもしれない」と、全国一斉休校以外の方法の検討を示唆されました。

 「色々な学校行事もあるから大変だよね」と学びの保障について重要性を認識して下さった総理の言葉を受け、その足で萩生田文部科学大臣を訪問。同じく提言をお渡しするとともに、学生の授業の遅れや入試への不安を払拭するための万全の体制を取って欲しいと要望しました。
 大臣からは現在各地の実態をアンケート調査しており、適切な対応を取りたいとの言葉をいただきました。

 提言によりワーキングチームの活動はひと段落となりますが、引き続きしっかり政策をチェックしていきます。ご協力いただいた座長代理の松本剛明議員、事務局長の村井英樹議員、文科省はじめ各省庁の皆様、議論に参加して下さった議員諸氏、ご意見をいただいた方々ほか多くの関係の皆様に心から感謝申し上げます。