2019年12月18日水曜日

令和元年12月18日

[一点刻みの入試・卒業が易しい大学との決別を]

 17日、萩生田大臣が来年度から始まる大学入学共通テストにおける国語・数学の記述式試験の導入を見送ることを表明しました。
 大量の答案を採点する中でのミスの可能性や、特に国語における自己採点の難しさなど、指摘されてきた問題への不安の払拭に至らなかったということです。

 党の文部科学部会では、とにかく現場の状況をしっかり精査して受験生に不利益の生じないようにして欲しいと申し入れをしていたので、その結果このような方針となったことは受け入れざるを得ないと思いますが、これまで中教審をはじめ有識者を交えて長きにわたって進めてきたプロセスがとん挫し、英語の民間試験の大学入学共通テストの見送りと共に改革の柱が失われてしまったことは残念でなりません。

 私が大臣の会見を聞いて疑問に思うのは、いかなる改革も絶対に不都合が生じないように行うということはそもそも不可能だということです。不都合が生じないようにベストを尽くし、それでも何かが起きた時にはきちんとフォローする体制を整えるという姿勢が大切ではないでしょうか。

 同じく17日に英語教育に熱心に取り組まれている昭和女子大学附属昭和小学校にヒアリングに伺ったのですが、同大学の坂東眞理子総長が、「記述式問題も取り入れた入学試験を行う代わりに入学者は多めに取り、進級の過程で単位の付与は厳しい基準として卒業が難しい大学としていかないといけない。」とおっしゃっていました。大学改革の視点からも素晴らしいご意見だと思います。
 「記述式問題の導入は二次試験で考えればよいことだ」とおっしゃる方もいるでしょう。しかし二次試験で記述式・小論文などを課す大学は減り続けているうえ、3日に3年ぶりに発表されたPISA(国際学力到達度調査)において、日本の15歳の生徒の読解力が前回の8位から過去最低の15位に低下し、論理的に意見を構成する力も不振だったことを深刻に受け止めなければいけません。使える英語もそうですが、中国などアジアの国々が国家をあげて教育全体の底上げをして上位にランクされていることは危機感を持って受け止めるべきであり、日本も今後記述式試験や論理的思考力・表現力をどうトータルとして充実させていくかについて速やかに検討すべきです。

 その過程においては今回の大学入試改革について異論を唱えていた方々の意見にも耳を傾け、また議論のプロセスを極力オープンにし、誤りなき対策を導いていただくよう切に希望します。

[重要な経済対策]

 今年度の税収が景気減速を背景として3年ぶりに前年度を下回り、60.2兆円となる見通しです。

 一方、政府は災害復旧や経済対策などのため、補正予算で追加歳出を4.5兆円計上し、赤字国債・建設国債をそれぞれ2.2兆円ずつ発行することとしました。

 財政再建はもちろん大切ですが、消費増税や海外情勢不安などで弱含みの景気が腰折れになってしまうのは何としても避けなければいけません。将来しっかり経済成長につながり、財政再建をも実現できる投資を進めるべきであり、その意味で私も進めてきた「20年代初頭の小中学校における一人一台タブレットの実現」など未来への投資が盛り込まれたことは評価したいと思います。

 来年度予算についても費用対効果を考えたメリハリのある内容になるよう政府に働きかけていきます。

 そのような中で12日、来年度の税制改正大綱が与党の合意のもと決定しました。今回は目玉がないと言われていましたが、ベンチャーや5G設備への投資の促進や未婚のひとり親家庭の所得控除の充実など、重要な内容を含んでいます。一方で資本取引で赤字を出す節税策に対応したり富裕層の資産把握を厳しくするなど、課税の適正を図る措置も取っており、バランスの取れたものとなっています。党の文部科学部会が主張していたゴルフ場利用税の引き下げ年齢要件の緩和などは見送られましたが、是非成立を急ぎたいと思います。