2018年1月2日火曜日

平成30年1月2日

[新しい年の門出に]

 皆様におかれましては新しい年をご清祥にてお迎えのことと存じます。
おかげさまで昨年10月に6期目の当選を果たすことができ、直後から特別国会に臨みました。選挙直前に野党が分裂し、混乱するかと思われた国会ですが、質疑時間の配分で若干与野党の意見の相違が見られたものの、総じて落ち着いた展開となったのではないかと思います。

これまでの経緯があるとはいえ、また確かに疑惑追及を中心とした野党の質疑も大切だとはいえ、重要な政策論議を行って与党としての問題意識を反映し、議事録に残すことの意義を考えると、総議席の3分の2を占める与党の質問時間を全体の2割に抑えるという運営はやはり極端ではないかと考えます。また、質疑時間に限らず、党首討論の実施ルールや閣僚の海外出張との調整など国会全体のあり方をこの機会に見直していくべきであり、今年は国会改革を超党派で進めていきたいと考えております。

[これからの方向①]
 
 政策においては選挙戦で取り上げられた「人づくり革命」がやはり注目されました。人材育成にとって極めて重要な幼児教育について、質を高めつつ諸外国のように原則無償化する方向には概ね支持をいただいていますが、特に待機児童の9割となっている0歳から2歳までの子供については、保育の受け皿を整備する子育て安心プランを来年度から前倒し実施することと併せて、当面住民税非課税世帯を対象として無償化を進めます。また、保育士さんたちの処遇改善にも引き続き取り組みます。学童保育など「放課後子ども総合プラン」に基づく2019年度末までの約30万人分の新たな受け皿確保については、来年度までに前倒しします。

大学・短大・専門学校等における高等教育についても、住民税非課税世帯やそれに準じる世帯の方々に対し、授業料免除や給付型奨学金の拡大をしつつ、いつも主張することですが大学改革で国際社会に通用する教育機関を作り出します。また、年収590万円未満世帯を対象とした私立高校授業料の無償化に向けた措置については、消費税使途変更による活用が可能な財源を確保していきます。

[これからの方向②]
 
 もう一つの政策の柱が「生産性革命」です。超高齢化が進む日本が活力を失わないために、2020年度までに日本の設備投資額を2016年度比で10パーセント増やし、労働生産性を年2パーセント向上させるとともに、来年度から3パーセントの賃上げを目指すべく、あらゆる手段を総動員します。

具体的には、特に中小企業・小規模事業者に対し、「ものづくり・商業・サービス補助金」等の予算措置を拡充・重点支援するとともに、賃上げや人的投資等に取り組む中小企業に対して法人税の負担を軽減します。全ての中小企業の特許料金を半減することとし、そのための法案を次期通常国会に提出します。IT・クラウド導入を強力に支援し、3年間で全中小企業・小規模事業者の約3割に当たる約100万社のITツール導入促進を目指します。また、2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者約245万人のうち、約半数の127万人が後継者未定であることから、円滑な事業承継・経営革新のための税制などの抜本的措置も講じます。

私が再選後に改革に取り組むと宣言したコーポレートガバナンス(企業統治)については、度重なる不祥事による海外投資家の信頼失墜を回復すべく、独立した社外取締役による実効的な監督・助言ができるようにし、有効な資産活用や研究開発投資などが行われるよう促します。

規制を一時凍結する「サンドボックス(砂場)」制度を創設するための法案を次期通常国会に提出するなどの改革や、私が会長を務める議員連盟で力を入れ、おそらく今年の大きな注目となる、地域の資源を生かした再エネ供給や、5G(第5世代移動通信システム)の実現・活用も進めます。

保険医療データプラットフォームについては、来年度から詳細なシステム設計に着手し、データ利活用基盤の2020年からの本格稼働を目指します。遠隔医療も必要なルールを検討し、介護においてもロボット・センサー等の活用やICTを活用したサービス提供システムの2020年構築を目指します。

農林水産分野・物流についても、情報通信技術の活用などにより生産者の所得向上と消費者ニーズへの対応を実現することが検討されていますが、市場の機能や実態をしっかり見据えて改革を進めていきます。 

[不透明さが増す外交関係]
 
 11月29日未明に北朝鮮からわが国のEEZ(排他的経済水域)に向けて発射された弾道ミサイルは、4,000キロメートルを大きく超える高度に達し、北朝鮮が米国本土を射程として核兵器を用いた攻撃能力開発を今後とも進める意思を改めて明確にしたと言えます。

日本は迅速に米国・韓国と連携し、国連安保理の緊急会合を実施してより強力な経済制裁を講じることを確認するとともに、中国やロシアを含めた国際社会が北朝鮮に対して毅然と対応することを求めています。拉致・核・ミサイル問題の解決に向けた努力を引き続き重ねるとともに、ミサイル防衛システムの強化、北朝鮮への送金ルートなどのチェック、警報・避難・在外邦人の保護など、できる対応をしっかり行っていきます。

米国は先般、イスラエルの首都をエルサレムと認定して大使館をテルアビブから移動するよう指示しましたが、これがアラブ諸国の反発を招き、情勢不安が世界に広がっています。日本にとって米国は重要な同盟国ですが、自民党高村副総裁がコメントしたとおり日本が「和して同ぜず」の姿勢をしっかり持って、事態収拾に向けた取り組みを河野外務大臣を先頭にしっかり行っていきます。

米国抜きのTPPイレブンに向けた大筋合意、日・EUEPA(経済連携協定)の妥結など、これから経済もグローバル化が進み、私たちの暮らしが海外の活力をさらに取り込むこととなりますが、外交関係の不透明さを乗り切るためにはやはり日本の政権が安定し、国際社会で指導力を発揮することが不可欠だと考えます。
 
[立ち位置を明らかに]

 これからの政治は、それぞれの政党が国の目指す方向を明確に示すとともに、それを実現するための具体案を出して国民の前でオープンかつわかりやすく議論することが不可欠です。

政界の状況は予断を許しませんが、これからは自民党・公明党の与党と、対外保守で経済も小さな政府を目指す希望・維新のグループと、経済を犠牲にしてでも平等を目指すとともに軍備も敵視する立憲民主・共産のグループに政界が再編されることでしょう。私は諸外国で見られる理念本位の政党政治(保守二党などではない)が持論であり、こうした動きを歓迎しています。また、憲法改正については、私が党で事務局次長を務める憲法改正推進本部で年末に論点整理を行ったところであり、今後は党での条文化の作業と並行して、衆参の公式機関である憲法審査会において各党がその考えを国民にきちんと示していくことが大事です。私たちは自助・共助・公助の理念を大事にし、正直者が馬鹿を見ない社会を目指していきます。

防衛省の日報問題や森友・加計問題で傷ついた政治の信頼回復も急務です。行政文書の保存・公開ルールをきちんと定め、その公正性に疑いが生じることを防がなければいけません。

難題山積ですがこれからも全力を尽くします。引き続きのご支援を心からお願い致します。