2020年1月30日木曜日

令和2年1月30日

[世界水準の危機管理体制を]

 中国武漢市から広がったと伝えられる新型コロナウイルスは世界中に感染を広げており、日本でも既に8人の発症が確認されています。

 自民党本部でも対策本部を設置し、田村憲久元厚労大臣を本部長として対応策を検討するとともに、政府に対して様々な要望をしています。
 私も昨日29日の会議では、東京五輪のある今年、日本の危機対応を世界が注視していること、他国が本件についてしていることを「日本ではできない」と言わずに政治のリーダーシップをもって実行し、国民の不安を払拭すべきことを訴えました。

 フランスではウイルスの潜伏期間を考慮し、武漢から帰国する人を14日隔離すると発表し、フィリピンでは武漢からの観光客634人を送還しています。
 感染症に関しては水際対策が重要であり、政府は28日公布の政令で、新型コロナウイルスを指定感染症、検疫感染症に指定しました。これにより患者に対する入院措置や公費による適切な医療の提供がなされることになります。医師は迅速な届出により患者の把握ができるようにし、患者への質問、診察・検査、消毒などが可能となります。

 しかし隔離などの強制措置は現時点ではできず、しかも政令には罰則規定があることから公布から施行まで10日の期間を要します。こうした限界を党派を超えて解消すべきではないでしょうか。

 何より深刻なのは、発症すれば政令の適用がありますが、サーモグラフィーをすり抜け、面談などもすり抜けた観光客などが日本国内で感染源となってしまうことです。現に、武漢からの観光客を乗せた観光バスの運転手が発症しています。
 上記党の会議では、なるべく政令の適用を実効化させるための簡易キットによる迅速な検査をできるようにすることや、観光客に過去2週間の滞在履歴を明らかにしてもらうこと、入国後のトレースを徹底することなどの要望も出されました。

 さらに私からは、旅館がそうした潜伏期間の対象者の宿泊拒否ができるのか、指定病院との連携体制が充分できているのか、風評対策やインバウンド需要への影響にどう対応するのかなど、政府の姿勢を質問しました。政府からはしっかり対応するとの答弁を得ました。

 昨日29日、政府から派遣されたチャーター機で、武漢の在留邦人206名が帰国され、検査を受けているところです。現時点において新型コロナウイルス陽性反応の方はいないとのことですが、結果が判明するまで宿泊を引き受けて下さっているホテルには心から感謝します。在留邦人の輸送は2便以降も検討されているとのことですが、政府には帰国後も含め万全の対応をして欲しいと思います。

 岸田政調会長は感染症対策のための新組織を政府に設置するよう提案しましたが、省庁横断で感染症の医学的対応も含め、的確かつ迅速な対応をできるようにすべきです。まだかつて猛威をふるったサーズなどのワクチンもできていないのです。

[始まった国会]

 20日に通常国会が開会し、予算委員会が連日開催されています。令和元年度の補正予算、令和2年度の本予算をしっかり成立させることが、災害対応や経済成長、全世代型社会保障改革につながります。

 私は憲法改正や教育改革などをテーマとした講演に各地で呼ばれ、また、党の文部科学部会大学入試英語の適正実施ワーキングチームでのヒアリング、政調会長代理としての法案審査など、連日激務に取り組んでいます。体調に留意して引き続き精進する所存です。

2020年1月2日木曜日

令和2年1月2日

[最〇限の努力で最大限の効果を]

 皆様におかれましては令和初の新年をご清祥にてお迎えのこととお慶び申し上げます。

 いよいよ今年は56年ぶりの東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。しかし多くの識者が「今年は海外情勢が不透明だ」「オリンピック後の景気が心配だ」などと悲観的な観測を立てています。

 ただ、私が昨年、日経新聞「リーダーの本棚」に紹介した中谷彰宏さんの「不器用な人ほど成功する」には、「観測に希望的観測以外いらない」と書かれています。確かにボーイスカウトのモットーには「備えよ常に」とあり、いかなることも想定しておかなければならないとは思いますが、それが絶望的な未来を強調するものであってはならないと思うのです。むしろ、リスクや変化への対応を成長へのチャンスだと前向きに受け止めるべきです。

 私が新入社員だった30年前、新人研修で講師が「最〇限の努力で最大限の効果を」の〇には何が入るかと質問したことがありました。多くの同僚が「小」という字を入れましたが、私は「大」と入れ、講師の答えも私と同じだったのです。
 仕事の効率を高めるのは無論必要なことです。しかし真に最大限の効果をもたらそうとするならば、その高い効率をもって最大限の努力をするべきであり、決して高効率が手を抜く口実となってはいけない・・・特にバブル期の猛烈社員にはそうした姿が求められたのでした。

 上記書籍では「ガラス細工は光の少ない北国で発達する」とも書かれています。太陽のありがたみがわかる地域でこそ、光の芸術が生まれるのであり、逆境を乗り越えてこそ次の高いステージに立てるのです。

 昨年のラグビーワールドカップでは、日本は事前の予想を覆し、見事ベスト8に進出しました。強豪国に体格が劣っても、最後まで頑張り抜くという精神力、高いレベルの戦術、そして流行語にもなった「ONE TEAM」としての組織プレーが奇跡を呼んだのです。

 今年も日本は、少子高齢化や環境・官民ガバナンスの問題、北東アジア・中東情勢の不安など、様々な危機に直面することでしょう。ちなみに私は2年前の2月13日、NHKで生中継された衆議院予算委員会の経済問題に関する集中質疑にて登壇し、役所から何も要請はありませんでしたが、自らの判断で、「外国人労働者の規制見直し」「コーポレートガバナンスにかかる会社法の改正」「公益通報者保護制度改革」「環境問題を乗り越えるための再生可能エネルギーの劇的な普及」について質問しました。何とその後現在に至るまで、前2者については法改正に結実しています。

 今年は何としても上記質問でまだ対応されていない、公益通報者保護制度改革と、世界的な重要課題である再エネ普及の前提としてのFIT法見直しについて、しっかり議論の先導役をしていきたいと思います。

 ゴーン被告の出国もそうですが、これから急速に進むグローバル化や高度な技術革新は多くの想定外の事態を生み、制度改革を必要とするでしょう。セキュリティーを含む安全保障の改革、ひいては憲法改正や、今年始まる大学等や私立高校の負担軽減とともに求められる学びの質の向上、高度技術を用いた社会保障改革など、皆様と力を合わせて、最大限の努力をし、結果を出していきますので、本年もどうぞよろしくお願い致します。