2018年12月19日水曜日

平成30年12月19日

[成果に向けて]

 17日月曜日、平成31年度予算について財務大臣と折衝を行いました。

1.外国人受入れ拡大に対応した日本語教育・外国人児童生徒等への教育の充実

 臨時国会でも取り上げられましたが、地域の日本語教育の総合的な体制作りや、学校における日本語指導体制の充実のため、対前年比およそ3倍の14億円を確保しました。

2.次世代放射光施設の整備着手

 わが国の産・学・官の研究力強化と生産性向上に貢献する東北地方の上記施設について、民間企業や自治体等からも費用負担について一定の確約をいただくことを前提に、13億円をお認めいただき、2023年の施設運転開始を目指して参ります。

3.防災・減災・国土強靱化のための3か年緊急対策

 災害時には地域住民の避難所ともなる公立学校施設の耐震化やトイレの整備など、臨時・特別の措置として2084億円を確保しました。

4.幼児教育の無償化

 来年10月からの実施を目指し、関係府省や市町村と協議をしてきましたが、財源負担の役割分担について基本的に合意がまとまり、子ども・子育て支援新制度の対象とならない私立幼稚園については、現行の段階的無償化にかかる負担割合を含め、国1/2、都道府県1/4、市町村1/4としていただきました(現行の国の負担1/3)。

 初めての予算折衝ですが満額確保となり、関係の皆様には心から感謝しております。

[医学部入試の公正確保等にかかる緊急調査最終まとめ]

 14日の閣議後会見で上記取りまとめについて報告しました。私たちとしては全力を尽くしましたが、時間を要したことにより不安に思われた受験生にお詫び申し上げます。

 東京医大の入学者選抜において「女性差別」「年齢差別」とも言うべき不適切な取扱いが明らかになったことを受け、文部科学省が医学部医学科を置く国公私立全ての大学の入学者選抜を調査した上記最終まとめにおいては、適正手続を重んじ、AJMC(全国医学部長病院長会議)で先月出された規範も参考にしつつ、不適切な入学者選抜についての考え方と、そのような事案が判明した場合の対応、書面・訪問調査の結果を明らかにするとともに、今後の課題を記しています。

 その結果、当初は全ての大学で不適切な入試はないとの回答があったにもかかわらず、9校の国・私立大学(神戸大・岩手医大・順天堂大・昭和大・東京医大・日大・北里大・金沢医大・福岡大)の入学者選抜において「不適切な事案」が判明したことは大変遺憾です。

 これらの大学では既に自ら不適切であったと認めて公表のうえ、過去に不利益を受けた方への対応を進めようとしていますが、追加合格の措置に伴い、今度の入試での募集人員を減らさざるを得ないといった事態が生じています。

 非のない受験生に影響が生じていることは大変遺憾です。速やかな情報提供に努めるなど、各大学には受験生の立場に立って、迅速かつ丁寧に対応して欲しいと思います。

 また、聖マリアンナ医科大学については、文科省としては不適切であると認識しつつも、大学との間で見解の相違があり、「不適切である可能性の高い事案」として記載しています。同大には、第三者委員会を設置し、文科省が指摘した事項について調査を行うよう求めています。

 さらに、最終まとめにおいては、「疑惑を招きかねない事案」を具体的に示して改善を促すとともに、「好事例」を紹介することにより、公正性の向上を図っています。

 今回の調査結果を踏まえ、今後、大学関係者や法曹関係者等からなる検討の場を設け、他の学部も含めた公正な入学者選抜のあり方について議論をしていく予定です。

 なお、文科省に対して医学部定員を臨時増員するなどして受験生の不安を払拭すべきでないかとのご意見もいただいております。

 しかし、医学部の入学定員増については、医師の需給推計に基づき、全体として過剰を招かないよう配慮するとの閣議決定等が行われており、これら政府全体の方針を踏まえ、原則として認めないこととされています。

 このため、特例的にであってもこの短期間に定員増を行うことは困難ですが、受験生の不安を少しでも緩和するよう取り組むことが重要と考えており、
①不適切な事案があった9大学に対して、相談窓口を設けるなど、受験生への丁寧な対応を求める
②各大学の募集人員等にかかる情報の速やかな提供を図る
など、できる限りの対応を取るよう、私から事務方に指示致しました。

2018年12月13日木曜日

平成30年12月13日

[未来型の教育へ]

 昨日12日、つくば市に伺い、非常に有意義な視察を行うことができました。

 近隣小中学校の統廃合により今年4月に開校した市立みどりの学園義務教育学校は、小中一貫校で、発達段階に応じて系統的に、ICT教育、プログラミング教育、遠隔教育、外国語教育などを実践していました。

 中学1年生の教室では、生徒たちがデジタル顕微鏡で拡大した火山灰の映像を大型画面に映し、その成分の分析などをしていました。
 また、小学4年生のロボットの車を動かす授業では、インターネットでつながった大学の研究室から、生徒たちがタブレット端末の画面を通じてアドバイスを受けていました。
 職員室でも先生がパソコンとLANを使って校務を効率化し、職場環境の整理や働き方改革に向けて大いなる成果をあげている様子がわかりました。

 先月22日にはこのブログで紹介したとおり、新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて「柴山・学びの革新プラン」を打ち出したところです。今回の視察を参考にしつつ、教育の質の向上のための先端技術の活用を、国レベルで積極的に進めていきます。

 JAXA(宇宙航空研究開発機構)筑波宇宙センターも訪れました。

 展示館では宇宙環境利用について若田宇宙飛行士から説明を受けたり、ロケットや輸送システムについての展示を布野理事に案内していただいたりしました。
 宇宙ステーション試験棟では先般無事帰還したこうのとりの小型カプセルの実物を見せていただき、高温で黒く変色した外表と、4℃の低温でしっかり守られた内部ボックスに日本の技術の高さを実感しました。
 他にも宇宙ステーション運用棟の管制室を視察したり、これからのスペースデブリ(宇宙ゴミ)についての解析について説明を伺ったりして、今後の宇宙政策にしっかりリーダーシップを取っていかなければならないと改めて決意した次第です。

最後の視察は筑波大学でした。

 学園都市として恵まれた環境のもと、人文社会・先端技術・体育や芸術など、多様なカリキュラムを有し、外国人留学生数も国立大では東大に次ぎ2位となる2400人を超える学生が学んでいます。
 東京教育大学を前身とし、国内的にも国際的にも、また学際的にも「開かれた大学」として柔軟な教育・研究を目指す取組みには感銘を受けました。
 エンパワースタジオでは世界最大のVRシステムや大型ロボット、高齢者医療の取組みなどの展示を見させていただくなど、貴重な体験もさせていただきました。

 未来に向け教育・研究を切り拓くべく、今後とも尽力致します。

2018年12月5日水曜日

平成30年12月5日

[節目の1日]

 おかげさまで今日、53回目の誕生日を無事迎えることができました。激動の中、信念と感謝の気持ちを大切にこれからも一歩一歩進んで行きたいと思います。

 中国などの新興国が急速に力を付けてきています。ノーベル生理学・医学賞を受賞された本庶佑京都大学特別教授が指摘されるとおり、人材育成のために日本はもっと力を入れなければいけません。文科省は「研究力向上加速化プラン」として、
・科研費等における、若手研究者を中心としたリソースの重点投下・制度改革
・若手研究者が海外で研鑚を積み、挑戦する機会の抜本的拡充
・新興・融合領域の開拓に資する取組みの強化
及びこれらを支える
・共同利用・共同研究体制の強化
等に関して総合的に取り組みます。
 科研費の不正利用はあってはなりませんが、その使い勝手をよくし、第5期科学技術基本計画(H28~32)にある政府研究開発投資対GDP比1%、総額約26兆円の目標達成に向けて全力を尽くします。

 そうした中で、11月22日、「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて~柴山・学びの革新プラン~」を提示し、大きな反響をいただきました。
 技術革新の時代に、学校が人と人との関わり合いの中で、人間としての強みを伸ばしながら、人生や社会を見据えて学び合う場となるよう、その担い手の中核となる教師を支え、質を高めるツールとして先端技術を学校教育にも積極的に取り入れていくとともに、外部人材の活用も行います。
・2020年代早期(しかもなるべく早く)に全ての小・中・高等学校で遠隔教育などを活用できるよう全国の取組みの普及や民間・大学等のノウハウの活用を促進
・ビッグデータの活用による指導の充実や、指導力の分析などによる教師の資質向上に向けた取組みなどを促進
・先端技術活用のため、学校のICT環境の整備などを促進
以上、教育再生実行会議における議論の結果も踏まえ、年度内に中間取りまとめ、6月頃までにとりまとめを行い、必要な措置を講じていきます。

 本日、参議院本会議にて、所管である原子力損害賠償法の改正案について可決していただき、成立を見ました。今後万が一原子力事故が発生した場合、原子力損害の被害者が迅速かつ適切に保護を受けられることを目的としています。具体的には
・原子力事業者に対して、損害賠償の実施のための方針の作成及び公表を義務付け
・原子力事業者による被害者への迅速な賠償の仮払いのための資金を国が貸し付ける制度を創設
・原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続について、和解の仲介が打ち切られた場合における時効の中断にかかる特例(1ヶ月以内の提訴で中断)を措置
・原子力損害賠償補償契約の新規締結及び原子力事業者に対する政府の援助にかかる期限を10年間延長
というもので、明日6日には、議員立法の高額チケット転売防止法案や研究開発力強化法改正案の参議院文教科学委員会での審議をしていただく予定です。

 重要案件に引き続き全力で取り組んでいきますので、どうぞよろしくお願い致します。