2017年12月21日木曜日

平成29年12月21日

[幅広く憲法論議を]

 昨日12月20日、私が事務局次長を務める自民党憲法改正推進本部の総会が開催され、現状における論点整理が了承されました。

 自民党は結党以来、現行憲法の自主的改正を党是とし、これまで数度の試案を提示してきましたが、北朝鮮情勢などわが国を取り巻く安全保障環境の緊迫化、東日本大震災などで経験した緊急事態への対応、過疎と過密による人工偏在がもたらす選挙制度の変容、家庭の経済事情のいかんに関わらずより高い教育を受けることのできる環境の整備の必要性など、日本が直面する国内外の情勢に鑑み、次の4項目について集中的に議論して以下のような方向性を示すに至りました。

1.自衛隊について

 自衛隊がわが国の平和と独立・国の安全、国民の生命と財産を守る上で必要不可欠な存在であるとの見解に異論はなく、その上で改正の方向性として以下の二通りが述べられました。
 ① 「9条1項・2項を維持した上で、自衛隊を憲法に明記するにとどめるべき」との意見
 ② 「9条2項を削除し、自衛隊の目的・性格をより明確化する改正を行うべき」との意見
 なお、①及び②に共通する問題意識として、「シビリアンコントロール」も憲法に明記すべきとの意見が述べられました。

2.緊急事態について

 国民の生命と財産を守るため、何らかの緊急事態に関する条項を憲法上設けることについて、以下の二通りが述べられました。
 ①選挙ができない事態に備え、「国会議員の任期延長や選挙期日の特例等を憲法に規定すべき」との意見
 ②諸外国の憲法に見られるように、「政府への権限集中や私権制限を含めた緊急事態条項を憲法に規定すべき」との意見
 今後、現行憲法及び法律でどこまで対応できるのかという整理を行った上で、現行憲法体系で対応できない事項について憲法改正の是非を問うといった発想が必要と考えられます。

3.合区解消・地方公共団体について

 両院議員の選挙について、一票の格差(人口比例)への対応により行政区画と選挙区のずれが一層拡大し、地方であれ都市部であれ今後地域住民の声が適切に反映されなくなる懸念があります。このため47条を改正し、①両院議員の選挙区及び定数配分は、人口を基本としながら、行政区画、地勢等を総合勘案する、とりわけ、②政治的・社会的に重要な意義を持つ都道府県をまたがる合区を解消し、都道府県を基本とする選挙制度を維持するため、参議院議員選挙においては、半数改選ごとに各広域地方公共団体(都道府県)から少なくとも一人が選出可能となるように規定する方向で概ね意見は一致しています。同時に、その基盤となる基礎的地方公共団体(市町村)と広域地方公共団体(都道府県)を92条に明記する方向で検討しています。

4.教育充実について

 教育の重要性を理念として憲法上明らかにするため、26条3項を新設し、教育が国民一人一人にとっての幸福の追求や人格の形成を基礎付け、国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑みて、国が教育環境の整備を不断に推進すべき旨を規定する方向で概ね意見は一致しています。
 89条は私学助成が禁止されていると読めることから、条文改正を行うべきとの意見も出されています。

 憲法改正は、国民の幅広い支持が必要であることに鑑み、以上4テーマを含め、各党各会派から具体的な意見・提案があれば真剣に検討するなど、建設的な議論を行っていく所存です。是非ご関心をお寄せいただければ幸いです。

2017年12月1日金曜日

平成29年12月1日

[始まった国会論戦]

 短い特別国会ですが、衆参各委員会で論戦が始まりました。

 私は衆議院予算委員会の自民党理事を拝命しており、27、28両日のテレビ中継入り総括審議に最前列で臨みました。

 今国会では、2日間の与党質疑時間は5時間、野党が9時間となり、これが今後の先例に必ずしもならないとはいえ、これまでの与党2対野党8の配分に比べて与党にかなり大きな責任が生じたことになります。
 そもそも与党の議席数が多いにもかかわらず、過去の経緯から野党がほとんどの質疑を行い、ともすると不祥事の追及ばかりで政策論議が深まらなかったことから、野党に重きをおいた形ではあってもこうした修正が国会で合意されたことは意味があったと思います。

 衆議院の予算委員会では、特に新しくできた野党について言えば希望の党が前向きな政策提案を多くされていた印象を受けました。

 いずれにせよ、与党野党を問わず、先日の選挙で取り上げられた人づくり革命(特に待機児童解消と教育無償化の関係)、29日にもミサイルを発射した北朝鮮の問題、森友・加計問題など、内容ある審議がなされたことはよかったと思います。

 この質疑に関し、私は27日のBSフジ「プライムニュース」、28日BS日テレ「深層ニュース」にそれぞれ生出演し、野党代表と議論しました。特に28日の番組で、会計検査院に杜撰さを指摘された森友学園を対象とする土地取引については、真摯に指摘を受け止め、国会での説明とともにこれから行政文書の保管や透明化などに尽力する旨発言してニュースになったところです。

 それ以外にも衆議院憲法審査会の幹事を拝命し、党での憲法改正推進本部での議論とともにしっかり仕事をしていきますし、財務金融委員会の委員も務めます。

 党では他にも事業承継税制の拡大などが課題となっている税制調査会、所有者不明土地や空き家対策の処理を検討する会議、慰安婦問題などを取り上げる日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会などで積極的な活動を展開しています。これから年末で忙しくなりますがしっかり頑張っていきます。

2017年10月23日月曜日

平成29年10月23日

[6期目の旅立ち]

 昨日投開票の総選挙で、おかげさまで6期目の当選を果たすことができました。急に決まった解散、そして雨の中での選挙戦に、本当に多くの方々にお手伝いやご激励をいただいたことに心から感謝申し上げます。

 自民党は東京都議選では都民ファーストの会と互角と報じられながら惨敗しており、今回の総選挙当初各メディアが優勢と報じた時に「これはまずい」と感じました。しかし選対の皆さんが身内の緩みを戒め、他陣営の必死の活動に劣らない選挙戦を展開して下さいました。また、事務所スタッフのみんなも本当に頑張ってくれたと思います。

 今回は希望の党、立憲民主党の結党が大きく注目され、これほど予測不可能な選挙戦はありませんでした。しかし結果は自公で再び3分の2を確保することができ、多くの「与党が数十議席は減らす」という見通しを覆しました。

 多くの方々がその原因として、小池さんの「排除の論理」による希望の党の失速を挙げていますが、私は違うと思います。

 前回のブログで触れたとおり、あの2005年の郵政民営化をめぐる解散で、時の小泉総理は法案に反対した議員のいる全ての選挙区に自民党の対抗馬を立てました。これは究極の排除の論理でしたが、「殺されてもいい」とまで口にして、自民党の分裂による苦戦を予想されながらも覚悟を示した小泉さんの政策にかける信念と、そうした戦況を知りながら立候補した多くの議員たちに、有権者の方々は熱い支持を示したのでした。

 小池さんはメディアを扱う天才であり、この小泉劇場を十分意識していたと思います。また、元々彼女は安全保障担当の首相補佐官という、この8月まで私がしていたのと同じ役職を第一次安倍政権で務め、さらに防衛大臣まで経験し、日本版NSC(国家安全保障会議)の立ち上げに尽力された方で、平和安全法制に賛成して憲法改正を行うということは極めて当然の方針です。それと相容れない、いわば新党の根幹にそぐわない方々を受け入れないとすることはむしろ当然のことと言えるでしょう。

 しかし小泉さんの時と異なり、希望の党に合流したのはついこの前まで「平和安全法制は戦争法案だ」「安倍政権のもとでは改憲を阻止する」と訴えていた民進党議員たちだったのです。彼らはこれまでの自らの政策との矛盾について何ら党内議論もせず、有権者への説明も当初行いませんでした。そこに見えたのは覚悟ではなく、看板の掛け替えによる保身だったのです。
 しかも、森友・加計問題でお友達政治や安倍独裁などと批判しながら、自分たちについては小池さんの言うことを100パーセント忖度しているというこの矛盾を覆い隠すことはできませんでした。

 この選挙戦のさなか、民進党の幹部から「選挙が終わったらまた再合流すればよい」という発言があったことは、政党政治や公約の根幹に対する信頼を失わせるものでしたし、終盤になってようやく希望の党の各候補者から「小池代表の方針には異議がある」という発言が出てきても、それも批判を逃れるための方便だしそれならなぜ希望の党に合流するのだという疑問を呼んでしまいました。

 こうした「覚悟や筋」を考えると、別に立ち上がった立憲民主党が希望の党を上回る健闘を見せたのはうなずけます。ただ、彼らにせよそのほとんどは民進党一括で希望の党への合流を求めていて、行き場がないから身を寄せたというのが実態です。また、その多くの選挙区で事実上共闘していた共産党とは、実はこれまで採決で多くの案件について投票行動を異にしていた議員たちであることを指摘したいと思います。本当に彼らは左の路線を突き進むのでしょうか。それが日本の未来をよくするのでしょうか。

 小池さんの今回果たした役割は実は多大です。何も野党を分断させて与党の勝利を導いたからではありません。寄せ集めの民進党を、とりあえず理念の違うグループに再編したからです。
 これからは自民党・公明党の与党と、対外保守で経済も小さな政府を目指す希望・維新のグループと、経済を犠牲にしてでも平等を目指すとともに軍備も敵視する立憲民主・共産のグループに政界が再編されます。私は常日頃から「諸外国でも見られるような理念本位の二大政党制を実現する(保守二党などではない)」ということが持論であり、その意味では日本もようやくその方向に踏み出したということが言えましょう。また、私が党で事務局次長として進めている憲法改正推進本部の議論についても、それに理解を示す勢力が多数を占めたということは歓迎すべきだと思います。
 私は今回の選挙で安倍政権が信任されたと評価してよいと思いますが、選挙期間中いただいた厳しいご指摘はしっかり受け止めるべきだと思います。政策形成過程の透明化を図り、不公正や私腹を肥やしているとか私の信条である「正直者が馬鹿を見ない」という理念に逆行しているとかいう疑問をいささかでも持たれないようにすることが大事です。

 当選後のインタビューで、私がこれから何をしたいか尋ねられた際、これまで取り組んできた北朝鮮情勢を含む安全保障問題、今回の公約の柱である人づくり革命を挙げたほか、メディアで企業不祥事が沢山報じられる中で私がかつて手がけていたコーポレートガバナンス改革もテーマとさせていただきました。真面目な努力が報われる社会、そして官民問わず改革を進める政治を目指していくことをお約束します。
 またこれから原発やエネルギー政策をどうするかは喫緊の課題です。自民党再生可能エネルギー普及拡大議員連盟の会長としてベストを尽くします。もちろん、地元からいただいている様々な要望についても、それが国益と公正さにそぐうものであれば徹底して応援していきます。

 皆様の引き続きのご支援を心よりお願い申し上げます!

2017年10月10日火曜日

平成29年10月10日

[絶対に負けられない戦い]

 いよいよ本日10日、衆議院選挙が公示となります。

 突然の選挙戦ではありますが、これからますます緊迫するであろう北朝鮮動向や、超少子高齢化など、内外を取り巻く難局を考えれば、このタイミングの選挙によってしっかり政治を安定させることが重要です。株価など市場を見ても、経済界でもそうした期待が強いことは明らかだと思います。
 「疑惑隠し解散だ」などと批判を受けることをあえて承知で衆議院を解散した総理の決断を受け、政治に対する信頼の回復に真摯に取り組むことを誓いつつ、この選挙戦を全力で戦う決意です。

 今回の選挙の最大の特徴は、選挙戦に至るまで一体どのような政党の枠組みになるかがわからなかったことです。
 私が衆議院解散の日の夜に出演したテレビの討論番組において、希望の党の議員と民進党の議員にそれぞれ今後の戦略を尋ねたところ、希望の党側は「理念重視の再編」、民進党側は「丸ごと希望の党への移行」を主張していてかみ合いませんでした。

 しかしその後のいわゆる「小池劇場」を見ていると、あの2005年の「郵政民営化是か非か」をめぐる政局とは似て非なる構図であることがわかります。
 2005年の総選挙で、当時の小泉総理は郵政民営化関連法案に反対した議員にもれなく自民党公認候補の対抗馬を立てました。しかし今回小池さんは、平和安全法制についてプラカードを掲げてまで反対していたほとんどの民進党の議員について、「実は賛成でした」と表明すれば希望の党に受け入れています。
 平和安全法制について賛同が広がることはありがたいのですが、国会議員の活動や有権者への説明はどれだけ軽いものなのか、そこまでして議員の地位を守ることが大事なのか、首をかしげざるを得ません。

 さらに不可解なのは「アベ政治を許さない」とその手法を独裁的と批判していた人たちが、小池さんや一部の執行部が決めたこうした方針を、何の議論もしないで黙って受け入れていることです。
 小泉元総理の郵政民営化関連法案についても、今年安倍総裁が示した憲法改正項目も、その後何時間も党内で議論していますし、後者についてはまだ結論が出ていません。多様化した現代社会にあって、重大な問題をきちんと様々な観点から議論して決めていくのは民主主義の基本ではないでしょうか。

 希望の党が一体誰を総理大臣にするのか、これからの政権の枠組みをどうするのか、急ごしらえの「消費税増税ゼロ」の代替財源や「2030年原発ゼロ」に伴うエネルギー価格など、わからないことが多過ぎて、とても私たちの未来を託す政権に値しないと感じるのは私だけではないはずです。
 一方の立憲民主党についても、筋を通したというより行き場のなくなった民進党の議員の互助会的な側面が否めず、しかもこの国難にあっていまだに平和安全法制はじめ様々な重要案件に反対しているところから、やはり未来を託すわけにはいきません。

 安倍政権になってから、雇用は200万人増え、正社員の求人倍率も調査開始以来初めて1倍を超えました。私たちはこの選挙を、自公連立政権の確かな実績を訴え、地域との絆を大事にして地に足をつけながら着実に改革を進め、国難突破をするための選挙と位置付けて全力を尽くして参ります。是非私のホームページにて詳細な政策をご覧いただき( http://www.shibamasa.net/seisaku.html )、最後の最後までご支援の輪を広げて下さるよう、心からお願い申し上げます!!

2017年8月30日水曜日

平成29年8月30日

[炎の弾丸出張韓国編]

 8月28日からソウルにて重要な日程に臨んでいます。

 到着の夜、7日に河野外務大臣との外相会談を行った康京和外交部長官が主催する晩餐会に出席。同じテーブルには岡田克也元外務大臣や山本一太元国務大臣たちがいらっしゃいました。
 私から長官に、戦時中の韓国における徴用工が当時雇っていた現地日本企業に個別的損害賠償を求めることは排除されないと文大統領が発言したのは、日韓請求権協定に反するのみならず、韓国で活動する日本企業にとっても予測可能性を失わせる大問題で、日韓経済関係ひいては韓国の安定にも影響する重大事象であることや、自分が河野外務大臣と近い関係にあるがしっかり交渉をする人物であるということをお話ししました。これに対し康長官は、この問題は司法プロセスが進行中でそれを待って対応する、河野大臣とは馬が合うのできっと良好な関係が築けると思う、とコメントされました。

 歓迎の席ではいささか立ち入った話題でしたが、友好関係を確立しつつ懸案事項もきちんと解決すべきというのが私のスタンスです。

 政治家・有識者・経済人・メディア関係者などが集う日韓フォーラムでは、2日間にわたって政治・経済問題について活発な議論を交わしました。

 折しも28日に北朝鮮のさらなる核実験準備が報じられるとともに、29日の朝には日本を横断する形での弾道ミサイルが発射され、安全保障の議論は大変盛り上がりました。

 韓国側出席者の中には、日本や米国が厳しい対応をしつつ韓国が北朝鮮の対話窓口となって役割分担をすべきだと意見を述べる方もいましたが、今は対話の時期でなく、文大統領は現実問題として日米と結束して厳しい圧力をかけるべきだという姿勢だという意見が大勢でした。
 私も、今回のミサイル発射の手法は日本だけに危険を及ぼし、米国や韓国との分断を狙う卑劣なものだが、ここは日韓が結束するとともに国際社会、特に中国にもきちんと北朝鮮への圧力に向けた行動をしてもらわないといけない。中国が本気で対応するには日本も韓国も米国も盤石の政治力を発揮しないといけない。ただし中国がこの要求を自らの勢力伸長の交渉カードに用いようとする動きには注意が必要だと発言しました。

 もちろん日本の独自のミサイル対応能力、敵基地反撃も視野に入れた法律上・装備上の準備を加速しなければなりません。

 政治問題のセッションや経済問題のセッションでも発言しました。TPPに関して、米国の参加はかなり厳しくなっているがまずは高い水準のTPPイレブン(残存国)での妥結、そして日EUのEPA(経済連携協定)を固めたうえで、韓国とも協議してRCEP(東アジア地域包括的経済協定)に向かっていくべきと発言。韓国の放射能を理由とする日本からの水産物輸入制限の撤廃についてもプロセスを加速するよう訴えました。
 他の日本側参加者から慰安婦に関する日韓合意の着実な実施の主張がなされたことは心強かったですし、懸案事項解決と将来にわたる日韓協力はともに進めるべきだが、タイムスケジュールを分けてツートラックで臨むべきだとの韓国側の主張にも、それが着実に見て取れるのであれば首肯しうるものがあるなと感じました。

 各界、日韓の与野党の政治家がこうしたセッションを通じて共通の理解を増進することはとても重要だと思います。これからも全力を尽くして結果を出していきます。

2017年8月16日水曜日

平成29年8月16日

[平和への祈り]

 8月9日、自民党を代表して長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に出席したのに続き、終戦の日15日には安倍自民党総裁の代理で靖国神社に参拝し、先の大戦で尊い犠牲となられた先人の御霊に謹んで哀悼の誠を捧げ、恒久平和への思いを新たにしました。

 それぞれの行事で戦争の悲惨さを体が震える程に感じ、こうした悲劇を二度と繰り返してはならないと強く思いました。今年核兵器禁止条約が採択されたのも、世界でこうした思いが広がったからでしょう。

 そのこと自体は素晴らしいことだと思います。しかし現実には北朝鮮等一方的にこの理念に背を向けて核開発を進めている国があり、そのような中で民主的先進国のみが条約に参加して核放棄をするということにはあまりにも無理があります。日本が核兵器国の核の傘に守られているからではなく、そのようなことが世界平和や核廃絶にかえって逆行するからです。

 私たちは核保有国・非保有国・核保有を目指している国も巻き込む形でいかに核軍縮を実効的に進めるかを考えていくべきです。私が外務大臣政務官を務めていた2009年、ニューヨークの国連本部で開催されたNPT(核不拡散条約)運用検討会議の準備委員会に日本を代表して出席した際、そのような趣旨のスピーチを行って評価されましたが、その後の国際情勢は依然として厳しいものがあります。
 今回の条約プロセスには日本は参加しませんでしたけれども、今後とも日本が唯一の被爆国としてどのように世界をリードしていけるか真摯に考えていきたいと思います。

 北朝鮮が米国へのミサイル攻撃を示唆する動きを見せていますが、諸外国と連携して自制を働きかけるとともに、日本に万一の被害が及ぶことがないようPAC3配備など万全の態勢を取っていきます。

 今年の靖国神社には、総理も閣僚も参拝をされませんでした。近隣諸国に対する配慮があったと思われ、私も「自由民主党総裁 安倍晋三 同総裁特別補佐 柴山昌彦」という肩書きで私費による玉串料奉納をした次第です。

 先人の国を思う気持ちを決して忘れず、またその思いに恥ずかしくない日本を築き上げるために、これからも全力を尽くすことをここに誓います。

2017年8月4日金曜日

平成29年8月4日

[心機一転]

 昨日3日、第3次安倍政権は内閣と党主要ポストの人事を刷新しました。

 私は一部メディアで法務大臣との報道が流れましたが、結論としては2年近く務めた内閣総理大臣補佐官を離れ、総裁特別補佐かつ筆頭副幹事長として党務にまい進することになります。同じ筆頭副幹事長に小泉進次郎議員が就任するという異例の体制ですが、これまで内閣委員会など様々な場面で共に仕事をし、改革を目指してきた同志だと思っています。色々学ばせていただく所存です。
 早速二階幹事長とお話をしましたら「思い切ってやって下さい」とのこと。これまでの様々な場面で私が本気になったらどうなるかよくご存じのうえでそうおっしゃったと思うので、そのとおり全力を尽くして参ります。相当汗をかくことになるでしょう・・・

 今回の人事は「心機一転と安定の両立」をいかに図るかが最大のポイントでした。国会で議論が白熱した問題に上川・小野寺・林大臣など、実力派の閣僚経験者でありながら外部の目で解決や説明に取り組むことのできる人事としています。また、党内融和に一定の配慮をしながらも、外務に河野大臣、農水に斎藤大臣など、適材適所の能力主義に基づく抜擢も行っています。閣僚のメンバーは全員私より年上ですが、年齢のバランスも取れています。
 色々と麻生副総理が存在感を発揮されているように思います。

 早々にアメリカと北朝鮮問題などをめぐり2プラス2(外務・防衛担当閣僚会議)を開催することになるでしょう。小池知事との関係、総理から意を受けた憲法の問題、経済問題など、難題は山積しています。前回のブログで述べたとおり「自民党は生まれ変わった」と国民に納得していただけるよう、しっかり結果を出していかなければいけません。

 皆様のご支援・ご指導を心からお願い致します。

2017年7月3日月曜日

平成29年7月3日

[惨敗を真摯に受け止める]

 昨日投開票だった都議選では、自民党が23議席と過去最低を大幅に下回る惨敗となりました。私が応援に入った3人の候補のうち、日野市の古賀候補と八王子市の伊藤候補は当選したものの、八王子市鈴木候補は議席を失うこととなり、無念の気持ちで一杯です。

 この結果を私たち自民党は真摯に受け止める必要があります。

 昨夜も記者の方から、「原因は加計学園ですか、大臣や議員の言動ですか。」などと取材がありましたが、そのような個別事象に矮小化したら本質を見誤ります。

 そもそも都知事選対応や、当選した小池知事へのスタンスに問題がなかったかを考え直す必要があります。私は小池知事の豊洲を巡る方針や都政運営の方法などには疑問を感じていますが、前都連幹事長のお膝元千代田区での敗戦や、知事と握手を拒んだ議長の落選などを見ると、その疑問を自民都議会や都連の負のイメージが上回ってしまったことを認めざるを得ないと思います。

 無論私を含め、国政レベルでも反省をしないといけません。これまで総理の力強いリーダーシップと、経済や外交などで結果を出してきたことは功績だと思いますが、最近は政権・自民党に対して驕りを指摘する声を耳にすることが多くなりました。

 私はかつて党改革実行本部で汗をかき、政策面ではコーポレートガバナンスコードの策定に尽力をしました。民間企業は取締役会に外部人材を入れたり、株主との対話を重視したり、不透明な株の持ち合いを解消したり、接待などにもガイドラインを設けようとするなど、経営の妥当性を確保するために日夜努力しています。グローバル時代にあって、政権の基盤の安定化のみならず真摯に国民目線の政策形成プロセスやガバナンスの実現に徹することが必要でないかと思います。

 容易なことではありませんが、目に見える形で「自民党は生まれ変わった」と国民に納得してもらうよう、人事面を含めて大改革を行うことが必要です。

2017年6月9日金曜日

平成29年6月9日

[さらに一歩前へ]

 今年も骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)、未来投資戦略、規制改革の取りまとめの時期となりました。

 3年前の成長戦略の策定時には、私も党の日本経済再生本部の一員として作業に加わり、いわゆるホチキス止めと言われる各省の政策の寄せ集めでなく政府一体となった大きな柱を打ち出しました。法人税の減税とコーポレートガバナンス改革で、経済界の評価も上々だったと思います。

 今の経済の大きな課題は、急速な少子高齢化と人手不足、グローバル化への対応の中で、いかに社会の安定性を保ちながら競争力を増していくかだと思います。
 安倍政権は経済政策として金融・財政・構造改革の三本の矢を掲げていますが、上述の状況下で財政健全化と成長力強化の両立を目指すのであれば、やはり構造改革をどうするかを真剣に考えるとともに、財政支出は真に成長を生むものやセーフティーネットに特化する「ワイズスペンディング」を心掛けるべきです。

 キーワードは「ソサエティー5.0」、すなわち、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く第四次産業革命の結果、サイバー空間の積極的な利活用を中心とした取組みを通して、新しい価値やサービスが次々と創出され、人々に豊かさをもたらす社会を実現することです。
 先端医療・かかりつけ医の組み合わせや新薬開発で健康寿命を延ばす、物流・移動の効率化や安全を進める、革新的な製品・サービスを生み出す、環境・エネルギーを持続可能なものとしていく・・・AI(人工知能)、IoT(インターネット・オブ・シングズ)、ビッグデータ、ロボット、シェアリングエコノミー、フィンテックなどの技術を磨き、それを担う人材を育成して、課題を解決していくのです。規制改革についても国家戦略特区の活用やサンドボックス(参加者や期間を限定した柔軟な取組み)の活用等により進めます。そして得られた果実を着実に賃上げなどに反映させ、消費を拡大できるようにします。

 女性もお年寄りも、障がいのある人もない人も、その能力と個性が十分発揮できるよう、長時間労働の是正、同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善、テレワークの推進、定年延長・再雇用・シルバー人材センターのさらなる活用などを進めます。
 子育て支援のために多様なニーズに沿った施設を増やし、学童保育を充実させ、男性にも育児休業を取れる環境を整備するなど取組みを加速します。また、介護離職ゼロの実現のために2020年代初頭までに50万人以上の受け皿を整備し、医療との連携なども進めます。障がい者の就労支援、外国人労働者のしっかり規律を保ったうえでの活用なども、国民的なコンセンサスを踏まえつつ前進していきます。

 人材育成は特に重要です。学ぶ意思のある人が経済的困難で断念することのないように、教育のコストをこども保険の検討や給付型奨学金の拡大などで抑え、その一方で質は高めていきます。生涯教育・職業教育も充実させ、日本に欠けていると言われるチャレンジの気風を高めていきます。

 農家の所得確保のための地域ブランド強化や技術革新・土地利用改革・商業などとの連携、地方の空き店舗・空き家対策、買い物難民への交通利便性確保、観光産業の戦略的展開、効果的な道路等インフラ整備・・・税制などに加えてこれらあらゆる手法で一極集中を是正し、地方創生を目指していきます。

 そして国も地方も官民データを共有し、見える化を進めると共に、サイバーセキュリティーやプライバシーへの対策も万全を期します。

 最後に、海外の成長市場をしっかり取り込んでいきます。先述した観光戦略もそうですが、質の高いインフラ(道路や高速鉄道など)の輸出、米国が離脱したとはいえ、TPPの発効、日EU・EPA(経済連携協定)、中小を含めた企業の海外展開支援・国際特許や仲裁の活用、クールジャパン推進など、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて加速していくことが必要です。無論テロ等に対する準備も怠ってはいけません。

 政権交代後、GDPも株価も有効求人倍率も好調ですが、更なる高みを目指し、これからもしっかり気を引き締めて人材の流動化や生産性の向上などに取り組んで参ります。

2017年5月11日木曜日

平成29年5月11日

[しなやかに、したたかに]

 フランスでマクロン新大統領が、そして韓国で文新大統領が誕生となります。

 フランスに関しては、保守・革新の枠を超え、自由や人権・法の支配を重視する若きマクロン氏がどのような手腕を発揮するかとても期待しています。
 強く団結した欧州は、日欧EPA(経済連携協定)の早期合意を目指す日本にとっても望ましいものです。テロ対策なども引き続きしっかり連携して取り組んでいきたいと思います。

 韓国は、日本にとって戦略的利益を共有する重要な隣国であり、日韓両国の協力と連携は、緊迫する北朝鮮問題への対処など、地域の平和と安定にとって不可欠です。新政権との間でもそうした認識を共有し、未来志向への新時代へと発展できればと望んでいます。ちなみに一昨年末の日韓合意は、国際社会からも高く評価されており、引き続き日韓双方が責任をもって実施できるよう求めていきます。

 つくづく感じるのは、国際社会は激動の時代を迎えているということです。報道ではともすると人目を引く事象を、かつ個別的に、取り上げる傾向がありますが、重要なのは世界各地でどのような事が起きているかをコンスタントに目配りをするとともに、「最適調和」を目指していくことだと思います。もちろん、筋や理念を一貫させ、国際間の合意や法を遵守することは極めて重要ですが、激動する時代に対してしなやかに、そしてしたたかに対応することが重要です。迅速かつ的確な対応を逃すことによって大きな国益が失われることは断固として避けなければいけません。

 アジアをめぐる情勢は先述した北朝鮮の問題、東シナ海・南シナ海などの問題など依然として難題が山積しており、中国で5年に1度の共産党大会が予定されていますが、欧州においても今年6月のイギリスの総選挙をはじめ、オランダやドイツといった国々で国政選挙が行われます。
 中東情勢も大変重要であり、トランプ新政権やプーチン大統領の行動などで大きく影響を受ける可能性があります。

 私は安全保障担当の首相補佐官として、こうした激動する世界のバランスに留意し、安全保障上の取組みと外交努力をうまく組み合わせて日本の平和と繁栄を維持するべく全力を尽くす所存です。また、テロ等準備罪法案の国会審議も重要な局面を迎えていますが、皆様のご理解をいただきますよう心からお願い申し上げます。

2017年5月1日月曜日

平成29年5月1日

[日本を知財戦略先進国に]

 ゴールデンウィークが明けるといよいよ自民党も政府も新たな成長戦略を明示することになります。

 様々な分野で構造改革やイノベーションを巻き起こす必要があり、私が会長を務める再生可能エネルギー普及拡大議員連盟も提言を出すことになろうと思いますが、これまで遅れていた知的財産の有効活用についても劇的に進めなければいけません。

 日本の素晴らしさを海外にアピールする「クールジャパン戦略」について、総務副大臣の時代から日本の戦略の決定的な欠陥を指摘し続けてきました。
 ともすると議論が「こんなに日本には素晴らしい特産品や観光名所が沢山ある。それを紹介する専門家や知名度のある人を海外に派遣して、イベントなどで情報発信してもらおう」というものに偏っており、私はこれを「供給側の自己満足」と批判してきました。役所の発想です。

 民間ではまず徹底的なマーケティングで「何が求められているか」を調査し、消費者側の目線を代表する人がその製品なり名所なりを「とてもよかった」と口コミで広げてブレイクさせるのが大ヒットにつながるのです。つまり「需要側の発想」がなければいけないということです。

 私が総務副大臣時代に表彰したテレビ新広島は、フランスのケーブルテレビと連携して作成した「Japan in Motion」がフランス観光客の飛躍的増大をもたらしましたが、それは現地フランスのスタッフを日本に招き、共同で需要側(フランス)の視点からどういうコンテンツが受け入れられるのかということを模索したことに起因します。同様の取組みを佐賀県も実施しています。

 日本酒を海外展開する「國酒プロジェクト」も、これまでは「日本にこんなに美味しい酒があるんだぞ。熱燗も美味しいぞ。」という形で無理矢理海外展開を目指していましたが、ワインを好む海外の人たちが、透明でフルーティーな「獺祭」をブレイクさせてからは考え方が変わっています。

 私が今新たに取り組んでいるのは「ロケ・ツーリズムの劇的な振興」です。
 これまで日本は、海外の映画やテレビ番組のロケ地候補となりながら、規制や手続の煩雑さ、制作費への補助金のあまりの貧弱さなどから、大きな魚を次々と逃してきたことはあまり知られていません。古くは島田陽子さんの出演したテレビドラマ「SHOGUN」、最近もトム・クルーズ主演の「ミッション・インポッシブル」のロケーション(撮影)誘致などが話題になっていますが難航しています。

 私の論理からすれば、海外の目線で日本の素晴らしさを紹介してもらうこうした企画にこそ日本は国家戦略として大きな支援をしていくべきなのです。こうした指摘に応じて政府の知財本部にようやく検討チームが立ち上がりましたが、周回遅れの感は否めません。

 知的財産戦略としてはこの他に、社員が職務上発明した成果をどう分配するかとか、インターネットと著作権の問題などが議論されてきましたが、そもそも日本が特許権を国家戦略として軽視してきたことが極めて大きな問題だと思っています。
 ただ乗りの批判を浴びた中国が急速に知的財産をめぐる法整備を進め、これを国家戦略として位置付けようとしているのに、日本が今のままでよいのでしょうか。

 自民党で三宅伸吾議員や宮崎政久議員たちと共に、悪質な特許侵害に対して高額の賠償金を支払ってもらう仕組みを整え、特許資産デフレ状態を脱却すると同時にこうした特許を日本で保有し、戦略的に活用してもらうよう運動していますが、濫訴を恐れる業界や既存の仕組みにこだわる役所などの抵抗で難航している状況です。しかしながら心ある知財専門家などからは応援をしてもらっており、ベストを尽くす所存です。

[依然緊迫する北朝鮮情勢]

 4月29日には北朝鮮西部の北倉(プクチャン)から弾道ミサイルが発射され、国際情勢は緊迫した状況が続いています。

 NSC(国家安全保障会議)で情報分析すると共に、米国や激動する韓国、中国やロシアともしっかり連携して挑発の自制と国連決議の遵守を北朝鮮に迫っていきます。様々な課題について、昨日出演したフジテレビの「新報道2001」で議論させていただきました。国民の生命と財産を守るべく全力を尽くして参ります。そして、国民の皆さんや自治体とも連携して危機対応をしっかり進めていきます。

 折しも5月3日は憲法記念日。これからのあり方が問われる時期です。私は自民党憲法改正推進本部事務局次長も拝命しています。色々な出来事で政権の気の緩みが指摘されていますが、あくまで謙虚に全力を尽くす所存です。

2017年3月31日金曜日

平成29年3月31日

[危機感を持って]

 3月22日、北朝鮮は失敗に終わったもののまたもミサイルを発射しました。そして同日、イギリスの国会前でテロリストが車両を暴走させたうえ警官を刺し、多くの死傷者が発生。後にISが犯行声明を発表しました。

 しかしながら翌日の日本の国会では、終日森友学園に関する証人喚問・・・本当にこれでよいのでしょうか?

 昨日30日、自民党の安全保障調査会の検討チーム(座長・小野寺五典元防衛大臣)が中心として取りまとめた弾道ミサイル防衛に関する提言を、安倍総理とともに官邸でお受けしました。
 北朝鮮の核・ミサイル開発技術の進展は、同時多数発射や正確性などの観点から新たな脅威に達していると認められます。これに対する日本の対応は、迅速かつより実効性の高いものであることが明らかであり、提言は
1.弾道ミサイル防衛能力強化のための新規アセットの導入
2.わが国独自の敵基地反撃能力の保有
3.排他的経済水域に飛来する弾道ミサイルへの対処
などを内容としています。

 新規アセット(装備品)の導入について、イージスアショア(陸上配備型イージスシステム)や、現在韓国でも検討されているTHADD(終末段階高高度地域防衛)の導入の可否を直ちに検討するよう求められていますし、また、EEZ(排他的経済水域)に飛来する弾道ミサイルへの対処として、わが国船舶などに航行警報を迅速に発出できるよう検討を求められています。
 今後の早期警戒衛星の展開など、米国との間で調整が必要であったり、予算措置が必要であったりするものが多く、また、敵基地反撃についても法的・物的なハードルが高いことは予想されますが、総理は真摯に検討する旨応じておられました。

 折しも弁護士の有志で、ミサイル攻撃への対処や憲法問題を議論する動きもあり、こうした流れが危機感をもって広がることを期待しています。

[地元のイベント続々]

 応援して下さっている女性の会「しばざくら会」の春の集いや、地元の国政報告会などを開催していただいています。私の日頃の活動報告のみならず、皆様の声を伺う貴重な機会です。開催にご尽力をいただいた方々に心から感謝申し上げます。

2017年3月12日日曜日

平成29年3月12日

[南スーダンの新たな時代]

 昨日3月11日、昨年に続く2度目の南スーダン首都ジュバへの訪問を終えて帰国しました。

 今回の訪問で、キール大統領とシアラーUNMISS(国連南スーダン共和国ミッション)特別代表にお会いして、日本の自衛隊によるPKO施設部隊の活動終了をお伝えするという重い役目を果たしました。

 そもそも昨年10月末に、現在派遣中の第11次隊を送る決定をした際には、任務とされた国連施設の整備が作業途上であったうえ、自衛隊には邦人保護のための駆け付け警護の権限も付与されていませんでした。
 しかしながら、そうした権限を付与された今回の11次隊の派遣期間も今度の3月末をもって期限を迎えることから、これからどうするか検討したところ、

1.作業の途上だった国連施設の整備は4月末に、また現在首都ジュバで行っている道路整備も5月末には完了の見込みであること

2.自衛隊のPKO施設部隊の活動としては過去最長となる5年を超え、かつ道路補修は延べ約210㎞、用地造成は延べ約50万㎥、施設構築等の箇所は94箇所と、いずれも過去最大規模となったこと

3.南スーダンの国造りプロセスが、国連による治安改善のための地域保護部隊の4000人規模での増強や、政府による民族融和を進めるための国民対話が予定されるなど、安定に向けた新たな段階を迎えており、イギリスの施設部隊も展開を開始していること

4.日本や自衛隊を取り巻く環境が、北朝鮮の核実験・ミサイル発射などに見られるように厳しくなりつつあること

 以上のような状況であることを踏まえ、現在仕掛かり中の案件の終了の5月末を目処として終了することに決したものです。

 以上を9日の国家安全保障会議で方針として決定してすぐに、キール大統領とシアラーUNMISS特別代表にお伝えすべく、特にキール大統領には安倍総理からの親書を持参してお会いしました。

 キール大統領は親書を熟読し、じっと私の話を聞いたうえで、これまで自衛隊が果たしてきた役割及び日本政府の支援に対する高い評価と謝意を示され、また今回の活動終了に対する理解を示して下さいました。また、今後も南スーダンの国造りには日本の協力が不可欠であるとして、日本が手がけて中断しているフリーダム・ブリッジ(ナイル川架橋建設計画)やジュバ市水供給改善計画などの民生支援への期待を口にされました。
 シアラーUNMISS特別代表も、日本の施設部隊の多大な貢献を高く評価し感謝して下さるとともに、わが国の方針に対する理解を示され、今後日本と任務調整を行っていく旨確認できてとても穏やかな会談となりました。

 こうした暖かい反応は日頃自衛隊や日本の大使館・国連の職員の方々が現地で尽力されていることの成果だと思います。

 なお、今回の自衛隊の撤収は一部で言われているような治安の悪化によるものではありません。
 南スーダンは部族衝突などが依然報告され、確かに厳しい治安状況が続いていますが、民族浄化などの事態が発生しているとは認識していませんし、自衛隊が展開している首都ジュバにおいては、昨年7月の武力衝突を起こした反対派のマシャール氏が国外脱出して以降、平穏を取り戻しつつあります。今回私はナイル川を渡った先のグンボ・マーケットや市内最大のコニョコニョ・マーケットなどに足を運び、車で市内を見て回りましたが、女性や子供を含む市民が普通に出歩いていました。また、自衛隊などが道路整備をしたことから車の往来が活発となり、日本製のトラックが行き交う様も見て取れました。ジュバ大学のキャンパス用地も自衛隊によって整地され、学生たちがそこで集会をしたりスポーツに興じる姿も見ることができましたし、何より10月末に訪れた時には治安維持のためにあちこちで見かけた政府軍の姿もかなり少なくなった印象です。これを裏付けるように、日本の紀谷大使や現地の邦人職員も、凶悪犯罪のジュバでの発生件数が減少傾向であると教えてくれました。

 折しも10日は国民対話の開始に先立つ「祈りの日」として国民の祝日となって大きなイベントが催されており、南スーダン政府が進めようとしている部族間の国民対話に向けた機運の高まりが見て取れました。

 今後日本は、衝突解決合意の監視活動や国民対話の支援、人材育成、飢饉対応を含む人道支援などの継続ないし強化を行っていきます(近々追加対策を発表する予定です)。また、自衛隊のPKO司令部要員については引き続き現地にとどまってUNMISSの企画・立案・治安情勢整理・物資の輸送や航空運航支援などに携わっていただきます。JICAなどわが国の国際協力関係者の復帰については、こうした取組みや南スーダンその他関係者の尽力で治安情勢がさらに好転することを見極めたうえで検討していきます。

 現地を出発する10日には、私自ら自衛隊宿営地を訪問し、隊員の皆さんに今回の方針を直接説明するとともに、現在従事している道路整備が終わる5月末に向けて引き続き安全確保に細心の注意を払い、無事任務を完遂していただきたいと激励を行いました。隊員の方々は休暇や外せない用事をしている方以外の約300人が集合して下さり、身じろぎすることなく耳を傾けて下さいました。
 これからもしっかり対処して参ります。

2017年2月13日月曜日

平成29年2月13日

[新機軸の日米関係]

 アメリカのトランプ大統領と安倍総理との会談はとても和やかなものでした。

 総理の渡米前から、トランプ政権の入国管理を巡って色々意見はありましたが、大統領就任前の電話首脳会談を受け、この時期にしっかり両国及び世界についてのビジョンを日米のトップが共有し、信頼関係を築くことの意義は非常に大きいと断言できます。(なお、基本的に入国管理はその国における判断事項であり、アメリカの問題についても同国の司法手続を経て決着することとなります。日本においてもマクリーン事件判決などで国際慣習法における入国裁量について言及されています。)

 私は今回の会談に先立ち、マティス国防長官が首相官邸を訪れ、安倍総理と50分間にわたり話し合いをした際にフルに同席していました。その時確認された日米同盟の強化、尖閣諸島が日米安保条約5条の適用範囲であること、普天間飛行場の辺野古移設が唯一の解決策であることなどは、今回の日米首脳会談で踏襲され、米軍駐留経費の増額は議論になりませんでした。
 また、昨日12日に日本海に向けて発射された北朝鮮によるミサイルについても、共同で非難する会見を催し、トランプ大統領から「日本を100パーセント支持する」という明言がありました。安全保障面における両国間の協力関係はしっかり固まったと言えます。

 経済についても、今の時代は安全保障と切り離して論じることはできません。世界において自由で公正な投資・貿易ルールを確立することの重要性を、そしてTPPの意義を、総理から臆することなくトランプ大統領に今回懇親会の席で話しました。トランプ氏はTPPからの離脱について覚書を発出していましたが、その場では反論ではなく自由と公正なルール確立の重要性について認識を共有するとのコメントがありました。そして経済問題については麻生副総理とペンス副大統領との協議枠組ができました。

 ここで強調したいのは、安倍総理と馬の合うトランプ大統領が基本的な両国の絆を確認し、そして大統領が信頼する腹心が個別の政策についてそれぞれのカウンターパートである日本の責任者と協議する体制が構築できたことです。稲田防衛大臣とマティス国防長官も日本でしっかり対談し、岸田外務大臣もティラーソン国務長官と今回の訪米において外相会談を行いました。政権発足直後でこれから個別の政策が固まってくるという時期にあって、実務の責任者同士がしっかりパイプを作ることができたわけです。

 こうした多層的な新機軸の日米関係を発展させていくとともに、総理はトランプ大統領に「言うべきことはきちんと言う」立場を堅持することによって、真の同盟関係が確立すると確信しています。為替の問題や具体的な通商関係など、これから詰めるべき部分は色々ありますが、私もそうした大きな鳥瞰図の中でしっかり役割を果たしていく所存です。

[しばワンCLUBの絆]

 6日、初当選以来お世話になっている飯島勲内閣参与が、応援して下さっている所沢しばワンCLUBの新年会で、北朝鮮問題や政局などについて講演をして下さいました。大井でも三芳でもしばワンCLUBの企画が続々と開催されています。感謝の気持ちで一杯です。
 東京での活動や取材などが増え、地元にはなかなか戻れないこともありますが、しっかり皆さんのお力や地元の方々の応援をお願いして、来たる戦いに臨む所存です。今後ともよろしくお願い致します!

2017年1月18日水曜日

平成29年1月18日

[炎の弾丸出張カンボジア編]

 1月15日から17日まで、1泊3日の強行日程でカンボジアに出張してきました。厳寒の埼玉・東京との気温差は30℃を超えていました。

 折しも総理もオーストラリアと東南アジア3カ国を歴訪中であり、政府全体でこの地域の法の支配の確立とわが国の経済とのウィン・ウィンの関係を進めていくのに重大なミッションでした。当然官邸ではしっかり企画を詰めています。

 特にカンボジアは過去において大国の目まぐるしい関与と大量虐殺などの国内政治の荒波に翻弄され、アンコールワットという世界最高の遺産や投資環境の潜在性に恵まれているにもかかわらず、まだまだ経済発展はこれからというところです。

 今回は、日メコン友好議員連盟の塩谷立会長・元文部科学大臣や、この国に多くの学校支援をしてきている渡邉美樹議連事務局長・参議院議員、山本一太議連幹事長、吉川ゆうみ参議院議員とともに、政府要人や議会関係者のみならず、大学関係者、カンボジア日本人商工会関係者、若手与野党国会議員などと幅広い交流を短い日程の中で行い、大変充実した成果をあげられたと自負しています。

 長くこの国の政治をリードし、もはや「レジェンド」の感があるヘン・サムリン国民議会議長、ダボス会議に出席のため不在だったフン・セン首相の名代となっているソー・ケーン副首相兼内相、首相のご子息でもあるフン・マネット王国軍統合参謀次長といった与党関係者とは、カンボジアの日本との極めて良好な関係を今後も発展させること、そのための人材育成にしっかり日本も関与していくこと、ASEAN地域の一体性の重要性などについて認識を共有するとともに、トランプ新米国大統領の誕生に伴う地域のこれからの安全保障や法の支配について真摯に議論させていただきました。

 そして、今年の地方選挙や来年の国政選挙での動向が注目される野党救国党のケム・ソカー党首代行にもそのビジョンをしっかり伺うとともに、いかなる選挙結果であっても政治がしっかり安定することが経済にとっても極めて重要であることを強調させていただきました。

 私が弁護士の時代から日本はこの国に対して民法などの法整備支援をしてきたところであり、制度上の経済インフラの充実はこれからだという話ですが、日本・中国をはじめ外国資本による開発は急ピッチで進んでおり、在カンボジア日本企業の方々によると、ベトナムとタイの結節点としてのカンボジアの潜在性はとても高く、日本の製品や事業への信頼も素晴らしいので、是非日本に対してそれをアピールして欲しいとのことでした。
 また、驚いたことに、カンボジアの国立経営大学学長も、カンボジア工科大学の学長も、王立プノンペン大学の学長も、最高国家経済評議会顧問も、全て日本への留学経験がおありとのことで、これからの人材交流の重要性と可能性を感じた次第です。

 サイ・チュム上院議長や与野党の次世代リーダーとなる議員たちとはこれからのカンボジアと日本の議員交流促進について語り合いましたが、皆さん日本への関心が高く、今月中に訪日される議員もおられます。しっかりこれからの両国間の架け橋となれるよう全力を尽くして参ります。

2017年1月2日月曜日

平成29年1月2日

[不透明へのチャレンジ]

 皆様におかれましてはご清祥にて新たな年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 昨年、特に海外では、イギリスのEU離脱、米国のトランプ大統領候補の当選など相次ぐ波乱や、各地で相次ぐテロ、難民問題などに大きく揺れ動く1年でした。北朝鮮の度重なるミサイル発射や核実験、韓国で発生している政治的混乱なども世界秩序に与える懸念が指摘されています。

 一言で言うと、今年は「不透明へのチャレンジ」の年になると考えています。

 総理が年末に真珠湾で指摘された「和解の力」は、異なる価値観を持つ者(国)同士、あるいは不幸な恩讐を超えられずにいる者(国)同士が、未来に向けて共通の着地点を真摯に模索することの大切さを訴えています。これがどこまで進むか、そのための環境整備ができるかが問われています。
 そしてまた、不透明な事象を解決して行くには「法の支配」を、手続面を含めて、浸透させていくことが不可欠だと考えます。

 昨年、美しい伊勢志摩のもとで開催されたG7首脳会議の参加者のうち、今年は実に4人がその地位を去ることが決まっています。今、もっとも安定している日本が世界でそのリーダーシップをとる必要があるのです。

 早速1月にはトランプ政権が発足します。幸い、現時点では世界経済は期待相場に沸いていますが、いよいよその真価が問われることになるわけです。しっかりした船出を支えるとともに、保護主義への警鐘を鳴らすことが必要となってきます。
 韓国に関しては、一昨年の日韓合意の破棄を唱える勢力が台頭していますが、そのようなことがいかに両国の関係のみならず世界秩序や半島の安定を損なうかを冷静に考えるよう訴えていく必要があります。

 私の担当する安全保障分野も課題山積です。適切な危機管理ができて初めて平和や安定が実現することになるのです。幸い特定秘密保護法や平和安全法制などの整備のもと、あるべき情報収集や方針立案などが進みつつありますが、これからも限られた財政の中きちんとした体制整備ができるよう尽力して参ります。沖縄をはじめとした地域との粘り強い対話やサイバーセキュリティの取組みも焦眉の急です。

 一方、目を国内に転じれば、今年は少子高齢化がもたらす社会、特に地方の衰退に対応し、活力をどう取り戻すかが大変大きな課題となります。女性・高齢者の活躍支援や、IoT、AIなどイノベーションの劇的な推進のみならず、世界の人・物・金をどのように取り込んでいくかが鍵となってくると思います。そのための環境整備に努めます。私の地元も含め、地域発展に何が求められているかをきちんと見極めていきたいと思います。熊本や東北の復興支援も「自立」という価値に重きを置きつつしっかり行う必要があります。

 働き方改革は、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の推進などがテーマになりますが、日本の社会構造全体に影響する可能性があり、丁寧に議論する必要があります。
 農業改革も含め、国家戦略特区などを利用したきめ細かい、しかしパワフルかつ迅速な、規制改革の取組みが求められます。

 そして、私が心血を注いできたコーポレートガバナンス改革を徹底し、企業の「稼ぐ力」を増進するとともに、投資・成果・賃上げの好循環を確立しないといけません。安倍政権の安定度はやはり経済の安定に大きくかかっていると考えます。

 将来世代に思いを致す時、人材育成・財政再建・環境問題は非常に重要なテーマです。社会保障制度改革は待ったなしですし、環境はエネルギー問題と切り離して考えることはできません。今年は極めて重要な局面を迎えます。現場の声を聞きつつ、結果をきちんと出していきたいと思います。

 私は自分を「乱世の政治家」だと思っています。日本も世界も平穏であることを心から望んでいますが、きちんと方針を持ち、全力を尽くす所存です。憲法、選挙制度、皇室、様々な大きなテーマも抱えていますが、全力を尽くしていくことをお誓い申し上げます。