2017年5月11日木曜日

平成29年5月11日

[しなやかに、したたかに]

 フランスでマクロン新大統領が、そして韓国で文新大統領が誕生となります。

 フランスに関しては、保守・革新の枠を超え、自由や人権・法の支配を重視する若きマクロン氏がどのような手腕を発揮するかとても期待しています。
 強く団結した欧州は、日欧EPA(経済連携協定)の早期合意を目指す日本にとっても望ましいものです。テロ対策なども引き続きしっかり連携して取り組んでいきたいと思います。

 韓国は、日本にとって戦略的利益を共有する重要な隣国であり、日韓両国の協力と連携は、緊迫する北朝鮮問題への対処など、地域の平和と安定にとって不可欠です。新政権との間でもそうした認識を共有し、未来志向への新時代へと発展できればと望んでいます。ちなみに一昨年末の日韓合意は、国際社会からも高く評価されており、引き続き日韓双方が責任をもって実施できるよう求めていきます。

 つくづく感じるのは、国際社会は激動の時代を迎えているということです。報道ではともすると人目を引く事象を、かつ個別的に、取り上げる傾向がありますが、重要なのは世界各地でどのような事が起きているかをコンスタントに目配りをするとともに、「最適調和」を目指していくことだと思います。もちろん、筋や理念を一貫させ、国際間の合意や法を遵守することは極めて重要ですが、激動する時代に対してしなやかに、そしてしたたかに対応することが重要です。迅速かつ的確な対応を逃すことによって大きな国益が失われることは断固として避けなければいけません。

 アジアをめぐる情勢は先述した北朝鮮の問題、東シナ海・南シナ海などの問題など依然として難題が山積しており、中国で5年に1度の共産党大会が予定されていますが、欧州においても今年6月のイギリスの総選挙をはじめ、オランダやドイツといった国々で国政選挙が行われます。
 中東情勢も大変重要であり、トランプ新政権やプーチン大統領の行動などで大きく影響を受ける可能性があります。

 私は安全保障担当の首相補佐官として、こうした激動する世界のバランスに留意し、安全保障上の取組みと外交努力をうまく組み合わせて日本の平和と繁栄を維持するべく全力を尽くす所存です。また、テロ等準備罪法案の国会審議も重要な局面を迎えていますが、皆様のご理解をいただきますよう心からお願い申し上げます。