2017年6月9日金曜日

平成29年6月9日

[さらに一歩前へ]

 今年も骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)、未来投資戦略、規制改革の取りまとめの時期となりました。

 3年前の成長戦略の策定時には、私も党の日本経済再生本部の一員として作業に加わり、いわゆるホチキス止めと言われる各省の政策の寄せ集めでなく政府一体となった大きな柱を打ち出しました。法人税の減税とコーポレートガバナンス改革で、経済界の評価も上々だったと思います。

 今の経済の大きな課題は、急速な少子高齢化と人手不足、グローバル化への対応の中で、いかに社会の安定性を保ちながら競争力を増していくかだと思います。
 安倍政権は経済政策として金融・財政・構造改革の三本の矢を掲げていますが、上述の状況下で財政健全化と成長力強化の両立を目指すのであれば、やはり構造改革をどうするかを真剣に考えるとともに、財政支出は真に成長を生むものやセーフティーネットに特化する「ワイズスペンディング」を心掛けるべきです。

 キーワードは「ソサエティー5.0」、すなわち、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く第四次産業革命の結果、サイバー空間の積極的な利活用を中心とした取組みを通して、新しい価値やサービスが次々と創出され、人々に豊かさをもたらす社会を実現することです。
 先端医療・かかりつけ医の組み合わせや新薬開発で健康寿命を延ばす、物流・移動の効率化や安全を進める、革新的な製品・サービスを生み出す、環境・エネルギーを持続可能なものとしていく・・・AI(人工知能)、IoT(インターネット・オブ・シングズ)、ビッグデータ、ロボット、シェアリングエコノミー、フィンテックなどの技術を磨き、それを担う人材を育成して、課題を解決していくのです。規制改革についても国家戦略特区の活用やサンドボックス(参加者や期間を限定した柔軟な取組み)の活用等により進めます。そして得られた果実を着実に賃上げなどに反映させ、消費を拡大できるようにします。

 女性もお年寄りも、障がいのある人もない人も、その能力と個性が十分発揮できるよう、長時間労働の是正、同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善、テレワークの推進、定年延長・再雇用・シルバー人材センターのさらなる活用などを進めます。
 子育て支援のために多様なニーズに沿った施設を増やし、学童保育を充実させ、男性にも育児休業を取れる環境を整備するなど取組みを加速します。また、介護離職ゼロの実現のために2020年代初頭までに50万人以上の受け皿を整備し、医療との連携なども進めます。障がい者の就労支援、外国人労働者のしっかり規律を保ったうえでの活用なども、国民的なコンセンサスを踏まえつつ前進していきます。

 人材育成は特に重要です。学ぶ意思のある人が経済的困難で断念することのないように、教育のコストをこども保険の検討や給付型奨学金の拡大などで抑え、その一方で質は高めていきます。生涯教育・職業教育も充実させ、日本に欠けていると言われるチャレンジの気風を高めていきます。

 農家の所得確保のための地域ブランド強化や技術革新・土地利用改革・商業などとの連携、地方の空き店舗・空き家対策、買い物難民への交通利便性確保、観光産業の戦略的展開、効果的な道路等インフラ整備・・・税制などに加えてこれらあらゆる手法で一極集中を是正し、地方創生を目指していきます。

 そして国も地方も官民データを共有し、見える化を進めると共に、サイバーセキュリティーやプライバシーへの対策も万全を期します。

 最後に、海外の成長市場をしっかり取り込んでいきます。先述した観光戦略もそうですが、質の高いインフラ(道路や高速鉄道など)の輸出、米国が離脱したとはいえ、TPPの発効、日EU・EPA(経済連携協定)、中小を含めた企業の海外展開支援・国際特許や仲裁の活用、クールジャパン推進など、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて加速していくことが必要です。無論テロ等に対する準備も怠ってはいけません。

 政権交代後、GDPも株価も有効求人倍率も好調ですが、更なる高みを目指し、これからもしっかり気を引き締めて人材の流動化や生産性の向上などに取り組んで参ります。