2018年6月20日水曜日

平成30年6月20日

[迅速な震災対応を]

 18日朝に発生した大阪府北部を中心とした最大震度6弱の地震で多くの被害が発生しました。亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された全ての皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 政府は即座に対策室を設置し、私たち自民党も今村雅弘災害対策特別委員長をリーダーとした現地選出議員などのチームを即座に編成し、現地で情報収集などに当たっています。総理が表明されているとおり、熊本地震などの教訓に基づき、ニーズを先手先手で把握して対応するとともに、ガスなどのインフラ復旧に総力をあげる所存です。

[米朝対話の着実なフォローを]

 歴史的な米朝首脳会談により、北朝鮮をめぐる状況は大きく動き出しました。総理がトランプ大統領と綿密に打ち合わせたとおり、会談の中で拉致問題についても言及があり、これから日朝首脳会談の実現に向けて関係者が努力していくステージとなります。

 大事なことは、「拉致」「核」「(中距離を含む)ミサイル」を一体として解決に導くことであり、北朝鮮がこれまでのように国際社会を裏切って外国からの支援だけを食い逃げすることのないよう、交渉中も進展のない限り制裁を緩めないという姿勢を堅持することです。
 日米韓、そして中ロとしっかり足並みを揃えていけるようにしていきます。

[エネルギー基本計画の変更と更なる提言へ]

 自民党で政府のエネルギー基本計画が了承されました。当初は、これまで掲げてきた2030年の再生可能エネルギー導入目標22~24パーセントを「着実に実現する」という記載だったのを、私が会長を務める再生可能エネルギー普及拡大議員連盟所属議員の方々の力強い活動などにより、「再生可能エネルギーの2030年エネルギーミックスの実現とそれに止まらない導入を追求」と修正してもらいました。温暖化ガスを排出しないゼロエミッション電源を44パーセントにすると宣言していることや、原発の再稼働がほとんど進んでいないことからすれば、省エネと、経済に負担をかけない形での再エネ導入をさらに行わなければいけないことは明らかです。
 議員連盟事務局長の秋本真利国土交通政務官をはじめとして仲間たちと議論し、下記のとおりこれからの更なる政府の取組みを促す提言をまとめ、菅官房長官、中川環境大臣、世耕経産大臣たちに申し入れることとなりました。これからもしっかり活動を進めていきます。



再生可能エネルギー普及拡大のための提言(第四次)

 

自 由 民 主 党

再生可能エネルギー普及拡大議員連盟

 

 パリ協定を契機とする脱炭素化社会の構築に向けた動きは、世界中で活発になっている。わが国では、2030年までに26%、2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を達成する必要がある。その一方で、現在計画中の石炭火力発電が全て稼働すれば、2030年の温室効果ガスの削減目標の達成は難しい。国際公約である温室効果ガスの排出削減目標を達成するためにも、二酸化炭素を排出しない国産エネルギー源である再生可能エネルギーを主力電源として位置づけていくことは必須である。

現時点では再生可能エネルギーの導入には固定価格買取制度(FIT)が利用されているが、仮に2030年以降はFITによる新規の買取りを終了するとの前提に立てば、買取費用総額は2030年頃に4兆円となった後は減少する見通しである。このFITの適用が終了した電気については限りなく限界費用は0円であり、こうした電気は、円安による資源価格上昇の影響を受けず、また発電期間中のインフレによる価格上昇が原則としては生じないため、円安やインフレによるリスクの小さいエネルギーとして経済効率性にかなう。また、再生可能エネルギーは、わが国のエネルギー自給率の向上に貢献し、エネルギー安全保障にも資するものであり、かつ、産業競争力の強化にも繋がる。したがって、再生可能エネルギーは、長期的な視点をもって普及拡大に努めなければならず、政府はこうした見通しを示すことにより、再生可能エネルギーに対する国民各層の正しい理解を深めながら導入を進めていくことが重要である。民間でも再生可能エネルギーを主力として活用していく動きが広がっている。グローバル企業だけでなく、わが国の企業も7社が「RE100」に加盟し、事業で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指している。また、SDGsの達成に貢献するための取組が活発化するとともに、ESG投資も欧米を中心として拡大の一途をたどり、機関投資家が化石燃料など環境への負荷が高い企業からのダイベストメントを表明している。既に、再生可能エネルギー発電への世界の投資額は、火力発電への投資額を上回っており、2016年の火力及び原子力の投資額は合計14兆円に対し、再生可能エネルギーへの投資額は30兆円と2倍以上の差がある。わが国でも2016年の火力及び原子力の投資額は合計0.4兆円であるのに対し、再生可能エネルギーへの投資額は2.2兆円と5倍以上の差がひらいている。さらに、わが国では、産業連関表に未だ再生可能エネルギー部門が創設されていないため、早急に創設すべきであるが、既存の産業連関表を用いた推計では、再生可能エネルギー設備への投資による経済波及効果は55兆円に上るという試算も存在する。再生可能エネルギーの普及を後押しすることは、わが国の国際的な経済競争力の強化にも繋がる。

脱炭素化社会の構築に向け、主要国は野心的な導入目標を掲げ、目標達成のための取組を進めている。主要国の総電力に占める再生可能エネルギー導入目標は、イギリスは2020年に31%、フランスは2030年に40%、スペインは2020年に40%、ドイツは2030年に50%以上となっている。わが国は、エネルギー基本計画においても、2030年に2224%という再生可能エネルギー導入見通しを維持する方向となっているが、他国の目標と比較してもあまりに低い数値と言わざるを得ない。

 当議連では、平成29914日付「再生可能エネルギー普及拡大のための提言(第三次)」において、「引き続き再生可能エネルギーの最大限の導入を推進していく必要があり、エネルギー基本計画の見直しやパリ協定に基づく長期戦略においては、現時点で原子力発電所の再稼働が5基にとどまること、及び、上記のような再生可能エネルギーの導入状況を踏まえ、高度化法(エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律)で定める非化石電源比率44%を確実に達成するための検討をしつつ、長期的に再生可能エネルギーの更に高い導入水準を目指すべきである。」ことを提言した。

その後の再稼働した原子力発電所は5基と変わらないが、再生可能エネルギーの導入は拡大を続けている。平成299月末時点におけるFITの設備認定容量では、太陽光発電が7168.3万kW、バイオマス発電は1274.9万kWとなっており、長期エネルギー需給見通しで参考として示された2030年度の容量を上回っている。風力発電においては、平成303月末の時点で約340kWの風力発電が導入済みであり、約503万kWが既に環境アセスメント手続きを完了し、さらに約1,161万kWの計画について環境アセスメント手続きが進行中となっており、これらの合計約2,004万kWは、長期エネルギー需給見通しで参考として示された2030年度の容量1000万kW2倍に上っている。

平成305月には非化石価値取引市場の初入札が実施された。二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの価値が取引可能となり、これにより高度化法の非化石電源比率の達成に活用でき、環境価値の高い電気として消費者に訴求できる。非化石価値市場の取引については、国際的な位置付けが定まっていないことや価値の評価について課題を指摘する声もあるが、再生可能エネルギーのより一層の普及に資するようになることが期待される。

こうした状況を踏まえ、第5次エネルギー基本計画の策定にあたっては、高度化法で2030年度に小売電気事業者が調達する非化石電源比率44%を確実に達成するようにするため、中間目標を早期に定めるとともに、再生可能エネルギーの導入について、長期エネルギー需給見通しで示された導入目標にとらわれることなく、最大限の導入が可能となるよう努めるべきである。また、投資判断には長期見通しが必須であり、安定した市場形成のためにも、シナリオ等も含めて2030年以降の長期の導入量の目標を速やかに出すべきである。

 上記目標を達成するために、解決すべき政策課題を、以下の通り指摘する。

 

<全電源共通の政策課題>

●系統接続の制約は、再エネの普及拡大にとって大きな障害となっている。系統情報の公開を徹底し、空き容量算定にあたっての透明性を確保した上で、現行の先着優先ルールや出力抑制の在り方の再検討や、「日本版コネクト&マネージ」を含めた系統制約対策を早急に導入すべきである。また、系統設備の増強、地域内送電線での間接オークション導入の検討、地域間連系線を最大限活用するなど、系統制約を早急に克服すべきである。

●比較的規模の小さい再エネ設備に関しては、系統増強費用の負担が過大となることで、発電を断念する例もある。系統増強費用の増大による負担が過大となるような小規模な発電設備について、負担軽減のための方策を検討すべきである。

●託送制度の見直しにより、発電事業者に対して発電側基本料金が課金される予定である。FIT制度の下で稼働している発電設備では買取価格の算定において託送料金の負担は想定されていないため、FIT買取期間中の負担分の回収など発電事業者に実質的な負担が生じないような調整措置の検討をすべきである。

●再生可能エネルギーは、FIT制度に由来する国民負担を上回る大きな便益が期待されると考えられる。再生可能エネルギー導入による便益の定量的な評価を十分検討すべきである。

●自治体や地域が主導する小売電気事業者や発電事業者は、地域インフラ維持や地域経済の活性化にも貢献する。地域及び自治体が提供するユニバーサルサービス維持に貢献できるような仕組み(収益の寄付を条件とした無利子融資等)を整備するなど、事業をより普及促進するための支援策を検討すべきである。

10W未満の住宅用太陽光発電や風力発電では、201911月以降、FIT買取期間を終了した電源が順次出現することが想定されている。こうした電源を活用するために、リプレース・リパワリングが円滑に進むような支援措置、小売事業者やアグリゲータ―が競って買取期間終了後の余剰電力を買い取る競争環境の整備、買取期間終了後の余剰電力の環境価値を活かすことのできる仕組みの整備、自立消費型へのシフトやEVや蓄電池等と連携したスマート化による価値創出を促す仕組みなどを検討すべきである。

●海洋エネルギーや宇宙エネルギー等の新しい発電技術の実用化に向けて継続的な支援をすべきである。

●ドローン(無人小型飛行体)等を活用した安価な再生可能エネルギー発電施設の点検システムの普及に対する支援策を検討すべきである。

 

<風力発電の政策課題>

●洋上風力発電が導入推進すれば、風車基礎・タワーブレード等の製造、工事用船舶の新造、風車スペアパーツの製造といった現時点では国内企業が殆ど存在しないような新しい産業が創出されるとともに、大幅なコスト低減が期待される。そのためには、一般海域における利用ルールを定めた「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」を早急に成立・施行すべきである。

●上記法律に基づく事業者の選定にあたっては、既に相当程度事業が進捗している先行開発事業者に対しては一定程度の配慮をするとともに、法施行当初は特に、事業計画の熟度・確実性、地元への貢献等、価格以外の要素も適切に評価するような方式とすべきである。

●洋上風力発電の導入促進に向け、一般的にセントラル方式と呼ばれているオランダ政府等が採用したオークションシステムの早期導入に向けた検討をすべきである。

●洋上風力発電の大量導入を確実に実現するためには、基地港湾の整備が必要不可欠である。事業者の意見を反映し、かつ、洋上風力発電の事業計画に整合したスケジュールで、基地港湾を着実に整備すべきであり、これらを着実に実行するための支援策を検討すべきである。

●風力発電所のより一層の導入を進めるためにも、環境アセスメント期間半減の実現や風力発電設備に関する第1種事業の規模要件緩和の検討をすべきである。

 

<太陽光発電の政策課題>

●非住宅用太陽光発電は、市場規模の維持・拡大のために系統制約を克服するだけでなく、ゾーニング等による耕作放棄地等の活用や用地確保のための自治体の促進策を検討すべきである。

●非FIT認定設備からの逆潮流が可能となるよう、計量方法を含めた運用の見直しを速やかに行い、確実に実施すべきである。

 

<中小水力発電の政策課題>

●地域活性化に貢献する小水力発電について、特に推進すべき小水力発電の要件を明確にした上で、当該小水力発電の開発を促進するような支援策を検討すべきである。

●小水力電力の地産地消を促進するためにも、基幹系統と配電系統等のローカルな系統の役割や責任を区分するための検討をすべきである。

●既存ダムの運用の変更や、ダムの嵩上げ等によるダム再開発によって、ダムの発電能力を高めるといった方法により水力発電の増強も検討すべきである。

 

<バイオマス発電の政策課題>

●バイオマス活用事業を持続的に発展させるためには、電気・熱エネルギーの活用だけでなく、原料となる資源の安定供給から副産物等の利用に至るまでの総合的な施策の検討及び、林業・木材業、農畜産業等の健全経営が前提となる。電気・熱エネルギーの利用の観点だけでなく、バイオマスの普及啓発、人材育成や技術開発も含めた総合的な産業振興について、関係する関係省庁が強力に連携を図り、実効性のある総合的な支援策を検討する場を設けるべきである。

●木質バイオマス発電の健全な発展のために国産材を安定的に供給することは必要不可欠である。エネルギーミックスにおけるバイオマスの目標数値を達成するには国産材だけでは十分な供給体制を賄うことができない現状がある。将来的に輸入材から国産材への転換を目指すためにも、国産材の供給体制の強化のための戦略的取組を講じるべきである。また、河川の公募伐採による木材をバイオマスの燃料として活用するための取組も強化すべきである。

FIT買取期間終了後の木質バイオマス発電については市場価格に応じて取引されることになっている。木質バイオマスはFIT終了後も燃料費が大幅にかかるため、バイオマス発電の取引価格の低下により、国産木材消費の縮小や雇用の衰退、地域経済への悪影響が懸念されている。こうした懸念を解消するような方策の検討を始めるべきである。

●バイオガス発電は、更なる導入の推進策が必要である。バイオガス発電を行うには、FIT制度の対補助対象とならない、原料の前処理設備、廃水設備、脱臭設備等多くの施設が必要となる。こうした設備に対する施設整備の補助制度を検討するなど設備導入コストに関する支援を検討すべきである。また、消化液等の利活用について、関係府省の総合的な支援策を検討すべきである。

 

<地熱発電の政策課題>

●地熱発電は、開発初期段階では掘削成功率が低く、事業リスクが高い。こうした事業リスク低減のため、国立・国定公園内において実施されている「地熱ポテンシャル調査」の継続と充実が図られるようにすべきである。また、国(JOGMEC)が現在行っている助成事業等が継続されるとともに、更なる充実を図ることも検討すべきである。

●また、調査から運転開始までのリードタイムが10年以上と非常に長いという課題がある。そのため、国(JOGMEC)が実施している地下の探査精度の向上や効率の良い掘削機材に関する技術開発を継続すべきである。発電所の運転開始後の維持管理コストの低減のため、地下の蒸気量の維持管理に関する技術開発や発電設備の効率化に関する技術開発を継続すべきである。

●地熱分野における人材不足解消のため、国(JOGMEC)の研修制度や、大学と連携した教育の場の提供による人材育成支援の継続をすべきである。

●地熱開発にあたっては、自然保護や温泉資源保護等の地元理解が必要不可欠である。地熱発電に関する正しい知識の共有や、地域における熱利用事業との連携を支援する補助金制度などを継続し拡充すべきである。

以上 


 
 サッカーワールドカップロシア大会で日本がコロンビアを破る大金星からスタートしました。是非これからも頑張って欲しいと思います。