2020年7月27日月曜日

令和2年7月27日

[感染防止と経済の両立を]

 ここ数日、東京を中心に新型コロナウイルスの感染者数が増えて懸念の声が上がっています。

 しかしそもそも東京での検査数が5月時の3倍となっており、しかもクラスターが疑われる接待飲食業の方々を重点的に対象としていることや、症状の軽い若い世代が感染者の多くを占め、死亡者も4月~5月と比べてずっと少ないことを考えると、少なくとも現時点において再度の緊急事態宣言を発出するような状況ではないと考えます。
 無論、いわゆる三密を避けるなど感染防止策をしっかり行わなければなりませんし、医療体制も補正予算の活用などで十分確保することが前提ですが、他の先進国同様、経済活動も徐々に回復させないといけません。帝国データバンクのデータソリューション企画部総合研究所によると、5月に前月より0.3ポイント上昇して2.9パーセントとなった完全失業率は、このままだと8月には4.3パーセントとなるとのことなのです。

 Go To トラベル自体は深刻な地方経済に配慮して実施するものの、感染者数が増えている東京の発着を先送りするという政治判断は、私はやむを得ないものだと考えています。

 そのような中、コロナ第2・第3波に備えるべく、この欄で前回紹介した私が主査の自民党行政改革推進本部「感染症パンデミック時の国家ガバナンス見直しワーキンググループ」が今後のあるべき体制整備を提言しました。

 明治以来一貫して都道府県や保健所・地方衛生研究所など、地方を中心とした感染症体制が今回機能しなかったことに鑑み、感染症危機対応を明確に国の責務として法的に位置付けるとともに、有事の国から県・保健所の指揮命令系統を明確化します。具体的には
・私権制限など緊急事態対応を特別措置法担当大臣が指示できるようにすること
・内閣官房に「感染症担当危機管理監」を新設すること
・厚労大臣が知事等へ検査報告・施設提供など所要の措置を指示したり、自ら実施すること
また、これらに伴う損害や医療機関への補償も行うようにします。

 「公衆衛生」と「臨床医療」の有機的一体化を図ります。具体的には
・保健所等に加え、民間医療機関・検査機関を積極的に活用し、PCR検査等の範囲を一気に拡大するとともに数値目標を大幅に引き上げ、管理します。
・保健所の有事体制の充実・強化を図ります。

 感染症データが手作業でファックスされてやり取りされ、共有も限定的だった状況を改め、国により最新のシステムを用いて一元管理し、開示するよう法定します。

 「疫学的研究」と「臨床研究」を連携させるため、国立感染症研究所とNCGM(国立国際医療研究センター)の一元的運用ないし統合を目指します。

 この他、検疫法改正による水際対策強化や責任明確化、内閣官房で改組された有識者会議の充実や関係大臣とのリスクコミュニケーション分担など、重要な項目が数多く含まれており、この提言を菅官房長官・加藤厚労大臣・西村特措法担当大臣にも提出したところです。また、党の政務調査会新型コロナウイルス関連肺炎対策本部に新たに「感染症対策ガバナンス小委員会」が立ち上がり、武見敬三小委員長を支える委員長代理として引き続き尽力することとなりました。
 必要な法改正などについて9月を目処にしっかり案をまとめていきます。

 ちなみに他の行政改革推進本部での提言とともに、下記サイトでワーキンググループの提言全文を見ることができます。
https://www.jimin.jp/aboutus/organize/gyoukaku/

[拉致国家の不名誉を払拭せよ]

 昨日26日、池袋にて離婚後の夫婦による共同養育を進めるための「親子の日 大決起集会」が開催され、私も超党派の共同養育支援議員連盟の幹事長として参加し、また街頭演説で通行する方々に支持を呼びかけました。

 7月8日、欧州議会の本会議で「日本における子の連れ去りに関する決議」が圧倒的多数をもって採択されてしまいましたが、わが国ではほとんど報道されていません。

 G20の国の多くが離婚後も元の夫婦が共同親権を持ち、子の最善の利益のため養育費の分担やそれぞれの親の子供との面会交流を進めているのですが、離婚後の単独親権制度を採用しているわが国では、協議離婚が離婚の多くを占めるにもかかわらず、そうした取り決めが普及していないため、ひとり親家庭の貧困や、子供の一方の親による連れ去りによる他方の親と子供の断絶が社会問題化しているのです。特にコロナ下では調停や面会交流が実施されていません。
 ちなみに、子の連れ去りは北朝鮮が日本人を拉致した時と同じ“Abduction”という表現を使われ、日本は国際間でこうした事態を防ぐハーグ条約の締約国となっているものの、国内での国際結婚カップルあるいは日本人同士には同条約の適用がありません。

 こうした状況を改善し、子の面前DVなどふさわしくない場合を除いて親子間の交流が保たれるよう、自治体を含めた相談体制の充実に努めるとともに、共同養育を進めるための法改正を検討して参ります。