[日本を知財戦略先進国に]
ゴールデンウィークが明けるといよいよ自民党も政府も新たな成長戦略を明示することになります。
様々な分野で構造改革やイノベーションを巻き起こす必要があり、私が会長を務める再生可能エネルギー普及拡大議員連盟も提言を出すことになろうと思いますが、これまで遅れていた知的財産の有効活用についても劇的に進めなければいけません。
日本の素晴らしさを海外にアピールする「クールジャパン戦略」について、総務副大臣の時代から日本の戦略の決定的な欠陥を指摘し続けてきました。
ともすると議論が「こんなに日本には素晴らしい特産品や観光名所が沢山ある。それを紹介する専門家や知名度のある人を海外に派遣して、イベントなどで情報発信してもらおう」というものに偏っており、私はこれを「供給側の自己満足」と批判してきました。役所の発想です。
民間ではまず徹底的なマーケティングで「何が求められているか」を調査し、消費者側の目線を代表する人がその製品なり名所なりを「とてもよかった」と口コミで広げてブレイクさせるのが大ヒットにつながるのです。つまり「需要側の発想」がなければいけないということです。
私が総務副大臣時代に表彰したテレビ新広島は、フランスのケーブルテレビと連携して作成した「Japan in Motion」がフランス観光客の飛躍的増大をもたらしましたが、それは現地フランスのスタッフを日本に招き、共同で需要側(フランス)の視点からどういうコンテンツが受け入れられるのかということを模索したことに起因します。同様の取組みを佐賀県も実施しています。
日本酒を海外展開する「國酒プロジェクト」も、これまでは「日本にこんなに美味しい酒があるんだぞ。熱燗も美味しいぞ。」という形で無理矢理海外展開を目指していましたが、ワインを好む海外の人たちが、透明でフルーティーな「獺祭」をブレイクさせてからは考え方が変わっています。
私が今新たに取り組んでいるのは「ロケ・ツーリズムの劇的な振興」です。
これまで日本は、海外の映画やテレビ番組のロケ地候補となりながら、規制や手続の煩雑さ、制作費への補助金のあまりの貧弱さなどから、大きな魚を次々と逃してきたことはあまり知られていません。古くは島田陽子さんの出演したテレビドラマ「SHOGUN」、最近もトム・クルーズ主演の「ミッション・インポッシブル」のロケーション(撮影)誘致などが話題になっていますが難航しています。
私の論理からすれば、海外の目線で日本の素晴らしさを紹介してもらうこうした企画にこそ日本は国家戦略として大きな支援をしていくべきなのです。こうした指摘に応じて政府の知財本部にようやく検討チームが立ち上がりましたが、周回遅れの感は否めません。
知的財産戦略としてはこの他に、社員が職務上発明した成果をどう分配するかとか、インターネットと著作権の問題などが議論されてきましたが、そもそも日本が特許権を国家戦略として軽視してきたことが極めて大きな問題だと思っています。
ただ乗りの批判を浴びた中国が急速に知的財産をめぐる法整備を進め、これを国家戦略として位置付けようとしているのに、日本が今のままでよいのでしょうか。
自民党で三宅伸吾議員や宮崎政久議員たちと共に、悪質な特許侵害に対して高額の賠償金を支払ってもらう仕組みを整え、特許資産デフレ状態を脱却すると同時にこうした特許を日本で保有し、戦略的に活用してもらうよう運動していますが、濫訴を恐れる業界や既存の仕組みにこだわる役所などの抵抗で難航している状況です。しかしながら心ある知財専門家などからは応援をしてもらっており、ベストを尽くす所存です。
[依然緊迫する北朝鮮情勢]
4月29日には北朝鮮西部の北倉(プクチャン)から弾道ミサイルが発射され、国際情勢は緊迫した状況が続いています。
NSC(国家安全保障会議)で情報分析すると共に、米国や激動する韓国、中国やロシアともしっかり連携して挑発の自制と国連決議の遵守を北朝鮮に迫っていきます。様々な課題について、昨日出演したフジテレビの「新報道2001」で議論させていただきました。国民の生命と財産を守るべく全力を尽くして参ります。そして、国民の皆さんや自治体とも連携して危機対応をしっかり進めていきます。
折しも5月3日は憲法記念日。これからのあり方が問われる時期です。私は自民党憲法改正推進本部事務局次長も拝命しています。色々な出来事で政権の気の緩みが指摘されていますが、あくまで謙虚に全力を尽くす所存です。