2018年4月28日土曜日

平成30年4月28日

[冷静に見る歴史的行事]

 昨日27日、南北朝鮮首脳会談が開催され、朝鮮半島の完全な非核化を目標とする旨の板門店宣言が採択されました。

 歴史的な宣言として歓迎する一方、つい昨年まで首相官邸において安全保障担当の首相補佐官として、北朝鮮による相次ぐミサイル発射や核実験、米国などを挑発していた報道を見てきた身としてはまだ得心していないものがあります。

 そもそも北朝鮮は、94年の米国との核枠組み合意における核開発凍結、05年の六カ国協議における核放棄、12年の米国とのミサイル発射・核実験凍結・IAEA(国際原子力機関)監視団受け入れなどを、ことごとく破棄し、外国からの経済援助や人道支援をかすめ取ってきた歴史があります。

 相次ぐミサイル発射などの暴挙は国連安保理決議にも違反するもので、日本は米国をはじめ国連に働きかけて国際経済制裁を主導し、これには北朝鮮と親密な中国やロシアにも加わってもらって実効性のある措置とするとともに、瀬取り(洋上取引)などの制裁破りも取り締まるというかつてない徹底的な対応を取りました。中朝間の原油取引などが激減し、北朝鮮には大きな打撃となったのです。

 そこで開催された平昌五輪。韓国の文在寅大統領には南北統一の悲願があります。金正恩委員長にとっては局面打開の絶好のチャンスでした。しかも米国は安倍総理との再三の会談によって、米朝対話で本当に行動で非核化に乗り出すまでは経済制裁を継続する意思を示しており、その前に中国との連携や南北会談を行って、米朝対話を有利にしたいという意思が見え見えです。

 案の定、今回の板門店宣言には北朝鮮に対する経済支援が書き込まれた一方、核放棄の期限は示されませんでした。

 繰り返しますが、去年までの金正恩体制がしてきたことを忘れてはいけません。金正男氏暗殺、叔父の張成沢処刑などで世界を震撼させた独裁的な体制は変わっていないのです。

 歴史的な行事を冷静に見守るとともに、今後日米韓の連携が崩れないようにしていきます。

[公文書書き換えの再発防止に向けて]

 昨日27日、首相官邸に赴き、公文書管理の改革に関する中間報告書を総理に手渡しました。

 3月26日のブログに書いたとおり、私は自民党財務省公文書書き換え調査プロジェクトチームの座長を仰せつかっていましたが、その後党内、及び公明党により広く防衛省の日報なども含む公文書管理改革を検討する組織が立ち上がって、私もそこに合流して鋭意中間報告作成に向けた努力を進めてきたのです。

 与党ワーキングチームの自民党新藤義孝座長・公明党佐藤茂樹座長代理、事務局の木原誠二・濱村進両議員はじめ、精力的に活動して下さった方々に心から感謝するとともに、ついつい熱が入って厳しい意見を再三申し上げたことをお許しいただきたいと思います。
 もとよりこれはまだ中間報告であって引き続き事案究明・再発防止に向けた努力を重ねていくことをお誓いします。以下、報告書の全文を紹介します。


公文書管理の改革に関する中間報告

 
平成30427

与党・公文書管理の改革に関するワーキングチーム

     

今般の公文書を巡る問題は、行政への国民の信頼を揺るがし、ひいては政治不信へとつながる極めて深刻な事態となっている。われわれ政権与党は、早急に対策を講じ、一日も早く国民の不信を払拭しなければならない。

自民党・公明党の両党は、直ちに与党政策責任者会議の下に、「公文書管理の改革に関するWT」を立ち上げて議論を開始した。この度、それぞれの党で鋭意議論した結果を以下の通り、与党として中間報告を取りまとめた。

両党は、引き続き、最終報告に向けて鋭意議論を継続することとする。


Ⅰ.総 括

今般、公文書を巡り、行政・政治への信頼を揺るがす極めて深刻な事態が生じた。日々の仕事の中で公文書管理を適切に実施してきている大多数の国家公務員の努力を無に帰すものであり、怒りを禁じえない。今回の事案を教訓に、政府には改めて、公文書管理の意義を全職員に徹底し、適切な管理を行うよう強く求める。

また、今回の一連の事案を通じて、「政治の介入や圧力があったのではないか」との疑念に対し、関係府省のヒアリングにおいて徹底的に追求したが、関係府省からは行政事務において政治の圧力等はなかったとの説明があった。しかしながら、いまだに国民の疑念は払拭されておらず、関係府省の説明が真実であることを明らかにする意味においても、徹底した事実関係の解明を行い、なぜ、どのようにして、今回の問題が起こったのか、その経緯、背景を明らかにしていくことを強く求める。


当WTとしては、政府において公文書管理のルール遵守を徹底すべきであることはもちろんだが、国家公務員が公文書管理の問題に委縮して業務を適切に遂行できないといった本末転倒の事態とならないよう、

(1)既に取られた政府の対応の検証・評価 ⇒(2)政府への追加的措置の要請 ⇒

(3)今後のさらなる包括的・総合的対応の検討

の3段階でプロセスを明確にして検討を進めることとした。


(1)既に取られた政府の対応の検証・評価

先ず、政府においては、既に昨年12月の行政文書管理ガイドラインの改正を踏まえ、各府省において新たな文書管理の運用が開始されるとともに、総理より電子決裁への移行の加速化などの指示が行われている。その結果、以下のとおり、一定の対応が取られているが、引き続き、各省における内部調査を進めつつ、徹底した真相解明を図る必要がある。


①森友問題においては、

・土地の契約に係る経緯の文書が廃棄されていた点については5年保存とした。

・あってはならない決裁文書の事後の改ざんがなされた点、電子決裁が1件しかなかった点については電子決裁への速やかな移行を進めている。

・大臣の指示を受け、官房長を中心として事実関係を明らかにすべく調査中であり、速やかに書き換えに対する指示や経緯等を明らかにすること。

②加計問題においては、

・各府省間の打合わせ記録、自治体との面会記録が適切に作成されなかった点について、複数職員での確認や当事者への確認等により文書内容の正確性を担保することとした。

・確認ができない場合はその旨を明記することとした。

・面会記録が残されていると指摘のある当事者は自ら説明責任を果たすこと。

③自衛隊日報問題においては、

・公文書管理の認識が甘くルールの不徹底が大きな原因であったことから、日報が1年未満保存とされていた点について保存期間を10年とした。

・統幕における一元的管理とした。

・大野政務官をトップに、元検事長を加えた調査チームを立ち上げ、事実関係を調査中であるが、特に、1年以上、日報の存在を確認しながらも大臣に報告をしていなかった件については、早急に事実関係を明らかにすること。


(2)政府に求める追加的措置の要請

しかしながら、上記の新たなルールは、4月から運用が開始されたばかりであり、当WTとしても、新たなルールの運用状況、職員の意識改革の進展について厳しく監視していく。

併せて、今後作成する公文書を原則電子文書として保存するとともに、検索が容易な保存システムを構築すること、決裁の事後的修正の厳格なルール策定、決裁文書に記述する内容や編綴する資料のあり方の明確化等、政府に対し追加的な措置を求める。

また、公文書に共通する課題として、公文書の範囲の問題がある。この点、公文書の果たすべき役割を踏まえれば、組織としての意思決定の経緯に関する文書は、公文書であり、その作成にあたっては将来における経緯の正確な検証のため、また情報公開に当たって不必要な誤解を招くことのないよう、組織的に必要な内容確認を行うとともに、内容についての正確度を「検討中」、「作成途上」、「相手方未確認」等として明記するよう、内閣府・公文書管理委員会において全府省共通のひな型の作成を求める。


(3)今後のさらなる包括的・総合的対応の検討

当WTとしては、事実関係の解明を踏まえ、さらに講ずべき対応策について引き続き検討していく。

①各府省における文書管理を専門的・客観的な視点からチェックしていく体制・ガバナンスの構築

②公文書管理の専門官やアーキビストを含む内閣府、国立公文書館の体制整備

③各府省における情報公開への対応体制の整備

公文書の電子保存についての範囲、手法等の明確化

⑤電子決裁への移行のさらなる加速

⑥外交・防衛機密に関する情報公開についての諸外国の制度・実態の比較検証

および一般公文書とは別の情報公開ルールの創設

⑦公益通報者を保護する仕組み

⑧刑法犯罪に至らない不正・不当な行為への対応策のさらなる検討

⑨責任部局以外への共有に関する公文書の取扱い

⑩電子メールの保存・保管に関するシステムの見直し

⑪適正な廃棄を担保する仕組み作り

等、包括的・総合的な対策について、最終報告を取りまとめることとする。


Ⅱ.3段階アプローチによる具体的な対応策

1.提言にあたっての基本的考え方


 今回の議論に際し、公文書管理の基本的な考え方は以下の通りである。


(1)公文書管理、情報公開は、民主主義の基盤である。公文書管理法は、公文書を健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源と位置づけ、情報公開法に基づく情報開示とあいまって、政府の諸活動の国民への説明責任を全うするための不可欠の前提条件である。また、公文書は、各府省自身が過去の意思決定を検証し、より良い政策や事業の立案に結びつけていくために重要である。


(2)こうした観点から、意思決定の過程や事務・事業の実績について、不都合なことを含めて正確に経緯等を記した文書を作成し、必要な期間保存し、適切に開示することの重要性を改めて確認することが大切である。また、国家公務員にとって、正確な経緯を公文書として残すことは歴史的使命であるとともに、いわれなき批判から職員自身を守ることにも繋がることを全職員が認識すべきである。


(3)公文書の果たすべき役割を踏まえれば、組織としての意思決定の経緯に関する文書は、公文書である。今回「個人メモ」の存在が議論になったが、意思決定の経緯に関する文書が「個人メモ」との位置づけの下で、廃棄されたり、開示されないということがあってはならない。その際、将来における経緯の正確な検証のため、また情報公開に当たって不必要な誤解を招くことのないよう、組織的に必要な内容確認を行うとともに、内容についての確認状況などを明記した上で、公文書として保存しなければならない。


(4)なお、公文書の開示については、情報公開法上、国民への説明責任を果たすため、公文書は原則開示とする一方で、開示により個人・法人の利益や国や公共の安全等の公益を損なう情報については不開示とすることが定められている。情報公開への対応を気にして、公文書の作成段階で、作成をためらったり、内容を限定することがあってはならず、公文書の内容を充実させていくためにも、情報公開への対応については、法に基づいて、粛々と開示・不開示を判断すべきものである。


2.各事案の問題点


  今回の一連の事案には、様々な問題点があるが、主要府省庁のヒアリングを通じて主なものを整理すると以下のとおりである。


(1)森友学園問題

    土地の契約に係る交渉経緯に関する文書が、当時の文書管理規則に則って1年未満で廃棄されていた。様々な疑問、指摘について、保存している公文書に基づいて説明することができず、関係者の記憶等に頼らざるをえなかった。また、そもそも不都合な記載があるから早期に廃棄したのではないかとの疑念を招くものであった。公文書管理法の目的である意思決定過程の合理的な跡付け、検証を困難なものとした点で、極めて不適切な対応である。

決裁文書が書き換えられていた。決裁は組織としての意思決定そのものであり、意思決定の根拠は明確に記載すべきであって、意思決定の根拠でない事項は記載すべきではない。これを書き換えることは、意思決定の背景に不都合な事実があったことを隠そうとしているのではないかとの批判を招く行為であり、論外である。なお、書き換えられた14の文書のうち、電子決裁が行われ、書換えの履歴が残っていたのは1つだけであり、さらに書き換えに気付かなかったことも事実関係の解明を困難にした。


(2)加計学園問題

各府省間や自治体との打合せについて、一方当事者では記録を作成し、他方では作成していないものがあり、打合せ内容についても当事者間の認識に相違があった。また、組織的な確認を経ていない「個人メモ」が発見され、その内容が事実であるかどうかが議論となった。そもそも意思決定等の過程について、当事者間で共通の認識、文書に基づいて説明することができず、また、発見された文書の信憑性を自ら否定するという状況は、説明責任という観点からは全く不適切である。

②当初存在が確認できないとされていた文書が再調査により確認された。当初存在しないとしたものが、外部の指摘によって再調査を行えば発見されるというのでは、不都合な事実を隠そうという意図の下で、十分な探索を行わなかったのではないかという疑念を招いてもやむをえず、公文書管理、情報公開に対する信頼を根本から揺るがすものである。

  

(3)自衛隊日報問題

     ①自衛隊日報が、当時の文書管理規則に則って1年未満保存とされていた。日報は貴重な歴史的一次資料であるにもかかわらず、このように極めて短い保存期間としていたのは、開示請求を受けて「戦闘」という用語が用いられていたことを隠すためではないかとの疑念を招くものである。日報の内容については、例えば他国との関係や今後の派遣部隊の安全確保等の観点から直ちには開示には馴染まないものがあると考えられ、情報公開法に基づく開示請求があった場合には、きちんと法に照らして開示、不開示を判断すべきものである。

     ②当初の調査で確認されなかった文書が続々と発見されている。これについても、他の事案同様、公文書管理、情報公開に対する信頼を根本から揺るがすものである。実態としては、当初設定された保存期間や主管部局と関係なく、様々な部署において、無秩序にコピーが保存されていた。特別防衛監察が行われ、統幕における一元管理が決定された後も、十分な集約がなされず、文書の存在が明らかになっていなかったことは、セキュリティ面からも大きな問題がある。


3.政府が既に対応した公文書管理の取組みとその検証


政府においては、一連の問題に早急に対応するため、昨年7月から12月にかけて、弁護士・学者等からなる第三者機関である公文書管理委員会で対応策を検討し、パブリックコメントを経て、昨年12月末、「行政文書管理ガイドライン」(内閣総理大臣決定)を改正した。その後、ガイドライン改正を踏まえた各府省の文書管理規則改正についても、個別に公文書管理委員会がチェックを行った上、内閣総理大臣の同意を経て行われた。各府省では、この4月から新しいルールによる公文書管理がスタートしている。

また、本年3月23日の閣僚懇談会において、総理から、1)幹部職員が先頭に立って、4月からの新ガイドラインによる厳格なルールを全職員に徹底し、確実に運用すること、2)更新等の履歴が厳格に管理できる電子決裁システムへの移行を加速することが指示された。

この結果、以下のとおり、政府においては、これまでに明らかになった問題点に対して、一定の対応が図られていることを当WTは確認した。


*      意思決定過程の検証に必要となる各府省間等の打合せに関する文書が作成されていない。(加計学園の①)

意思決定等に影響を与える各府省間等の打合せの記録については文書を作成することを義務化。(ガイドライン改正)

*      文書の内容の正確性が担保されていない。組織的確認を経ていない文書が公文書と混在している。(加計学園の

複数職員での確認や当事者への確認等により文書の内容の正確性を担保。確 認できない場合はその旨明記。組織的な確認を経ていない個人メモについては、共有フォルダには保存せず、個人フォルダに置くことを徹底。(ガイドライン改正)

*      意思決定過程や事務・事業の実績の検証に必要な文書が1年未満保存とされている。(森友学園の、自衛隊日報の

⇒「契約等の重要な経緯に関する文書」は5年保存としたほか、保存期間を1未満とできる7類型(原本の写し等)を明記(ガイドライン改正)。防衛省として、自衛隊日報の保存期間を10年とし、保存期間満了後は国立公文書館へ移管することを決定。

*      文書(特に電子文書)が体系的に保存・管理されておらず、文書の探索の精度が低い。(加計学園の②、自衛隊日報の

⇒共有フォルダを保存先として活用する際は、行政文書ファイル管理簿上の 分類に従った階層構造にする等、フォルダ構成を管理しやすい構造とする(ガイドライン改正)。防衛省においては、日報については統幕において一元的に管理することを決定。

*      決裁文書が書き換えられていた。(森友学園の

⇒修正履歴が残る電子決裁への移行を加速する総理指示が出され、総務省に おいて、電子決裁が行われていないのは何か、電子化にどのような困難があるかの各府省の状況を把握しつつ、推進方策を検討しているところ。


4.政府への追加的措置の要請


 政府の取組みを検証した結果、以下のとおり大きく二点、さらなる追加的措置を政府に要請する。


【要請1】各府省においては、幹部が率先して、速やかに新たなルールの徹底を図るとともに、内閣府・公文書管理委員会において、全府省における実態を詳細に調査し、チェックを行っていくべきである。当WTとしても、厳しく監視して行く。

①文書管理担当者の指名、保存期間表の策定

②共有フォルダ等での体系的保存

③職員に対する文書管理の意義やガイドラインの趣旨を徹底する取組み

④公文書の判断が「恣意的」と疑われることのない運用の徹底


【要請2】新たな公文書管理ルールにおいても、まだ十分対応できていないと考える

以下の点について、政府において早急に追加的対応を取ることを求める。

①本年になっても、防衛省等において新たに、従来確認されなかった文書が発見されていることを踏まえ、今後作成する公文書については、検索が容易な電子文書として保存することを原則とすべきである。このため、内閣府・公文書管理委員会および各府省における電子文書の共有フォルダ等での体系的管理やアクセス制限、他部署との文書共有ルール等に関し、セキュリティの確保と探索の容易性を両立できる具体的方策について、早急に検討し結論を得ること。

②全ての公文書について、「正確性」の確保を徹底すること。そのために、文書中において、「検討中」、「作成過程」や「相手方未確認」など、文書の位置づけや確度を明示することを徹底するとともに、内閣府・公文書管理委員会において全府省共通の「ひな型」を提示すること。

③電子決裁については、本来は業務効率化の手段であるが、決裁文書の書換え対策としても有効であり、電子決裁を原則とすべく移行を進めること。その際、民間事業者等から大量に提出される紙ベースの申請書等が電子決裁推進の支障となっていることから、各府省において、デジタル・ガバメント計画に基づいて、国に対する申請等のオンライン化、添付資料の削減を徹底しながら、電子決裁を推進していくことが適当である。また、総務省および各府省においては、システムの容量拡充を含め電子決裁の使い勝手が向上するよう改修を行うべきである。

④一方、電子決裁が行われた案件についても書換えが行われており、決裁の事後的な修正について、明確なルールがないことが問題点としてあげられる。内閣府・公文書管理委員会においては、紙、電子を問わず、決裁後の文書の修正について、明白な誤字脱字の修正等、事後的な修正が許される範囲を限定的に示すとともに、修正に当たって決裁権者の了解を得ることや、実際に修正を行う者を限定するなどの修正手続を明確化するとともに、内容にわたる修正については決裁を取り直すことを徹底すること。総務省においては、文書管理システムについて、修正手続の明確化を踏まえ、修正した場合の履歴の共有を含め、システム改修を行うべきである。

⑤さらに、今回の決裁文書の書換え問題では、書換えにより削除された情報について、意思決定の背景・根拠であったのではないかとの批判がなされている。本来、公文書管理法の趣旨に照らしても、決裁文書は、意思決定の根拠を端的、明確に示すべきものであって、意思決定の意図や経緯について、決裁途上においても、情報公開においても、読む人によって異なる理解がされることがあってはならない。各府省において、決裁文書に記述する内容や編綴する資料のあり方について、考え方を明確化して徹底するとともに、それを内閣府・公文書管理委員会に報告してチェックを受けることとすべきである。

⑥公文書に対する意識改革のため、地方支分局を含めた職員に対し、「e-ラーニング」等も活用しつつ研修を行うとともに、特に、文書管理者及び文書管理担当者に対しては、対人の「特別な研修」により、公文書管理法の趣旨や理念を徹底し、適切な運用を確保すべきである。



5.今後の検討事項


今回の一連の問題の再発防止のためには、何よりも事実関係の解明が重要である。当WTとしては、引き続き、政府の取組みをチェックするとともに、事実解明の状況もみながら、

①各府省における文書管理を専門的・客観的な視点からチェックしていく体制・ガバナンスの構築

②公文書管理の専門官やアーキビストを含む内閣府、国立公文書館の体制整備

③各府省における情報公開への対応体制の整備

公文書の電子保存についての範囲、手法等の明確化

⑤電子決裁への移行のさらなる加速

⑥外交・防衛機密に関する情報公開についての諸外国の制度・実態の比較検証および一般公文書とは別の情報公開ルールの創設

⑦公益通報者を保護する仕組み

⑧刑法犯罪に至らない不正・不当な行為への対応策のさらなる検討

⑨責任部局以外への共有に関する公文書の取扱い

⑩電子メールの保存・保管に関するシステムの見直し

⑪適正な廃棄を担保する仕組み作り


などの点について、さらなる対応策を検討し、早急に結論を得て最終報告を取りまとめることとする。


以上