[著作権法改正への思い]
今日5月25日、緊急事態宣言が全国で解除される見通しです。医療従事者をはじめ、収束に向かって尽力された皆様、様々な自粛要請などにご協力いただいた国民の皆様に心から感謝申し上げます。
しかし油断するといつまた新型コロナウイルスの第2・第3波が来るかわかりません。引き続き感染防止に配慮した新たな生活をお願いするとともに、資金繰りの支援をはじめ今後の本格的な経済活動や医療体制の充実、地方創生臨時交付金の拡充などに向けて、大胆な内容の第二次補正予算の迅速な編成に向けて与党として全力を傾けます。また、既に成立している第一次補正予算の迅速な執行を求めていきます。
そのような中、22日の衆議院文部科学委員会で、違法DL(ダウンロード)規制を映画・音楽以外の著作物に拡大することなどを内容とする著作権法改正案が可決されました。
本改正案は、漫画村などの海賊版サイトにより、クリエイターやコンテンツ産業に深刻な損害が広がっていることから、私が文部科学大臣の際、通常国会への提出を目指していました。
サイトブロッキングといった強力な手段については憲法に規定された表現の自由との関係で問題があるとのことで、より制限の緩やかな、海賊版サイトへの誘導を行うリーチサイトへの規制とともに違法DLを処罰する案を採用することを当時の平井IT大臣・石田総務大臣と合意したのです。
表現の自由に配慮し、違法DL規制についても厳格な要件を設けていたのですが、「普通のスクリーンショットまで処罰される」「パロディーまで禁じられるのか」等の誤解が生じ、ツイッターなどで反対論の大合唱。本来後押ししてくれるはずの日本漫画家協会からも反対意見が出て、このままでは国会審議が紛糾すると官邸が判断。当時の西村官房副長官は私に「違法DL規制だけ落とした法案にしたらどうか」と提案されました。
私は即座に首を横に振りました。あくまでリーチサイト規制と違法DL規制はパッケージで実施しなければ実効性がないと考えていたからであり、労働基準法改正が高度プロフェッショナル制度と裁量労働制をセットで導入しようとして国会が紛糾し、裁量労働制に関する部分を削除した結果本来の改正から遠ざかってしまっていることの轍を踏んではいけないと思ったからです。
「もっと議論が必要というならリーチサイト規制とセットで全部出し直してもらって結構です。」と申し上げ、結局当該法案は自民党の総務会で出し直しが指示されることとなったのです。
尽力してきた文部科学省の皆さんには申し訳ないことをしたのですが、一旦引っ込めて再度利害関係者や有識者に議論をしてもらえばこの改正が急務を要する状況下必ず再提出の機運が盛り上がると確信していました。
大臣退任後もこの分野に造詣の深い山田太郎議員たちと自民党で慎重に議論をし、誤解が生じないような修文もして今国会に再度法案が提出されました。野党議員の一部から「故意犯処罰の原則から言えば重過失排除の修文はかえって誤解を招くのでないか」とのご指摘までありましたが、おかげさまで22日の委員会採決は全会一致で可決。参考人質疑でも法案に高評価をいただき感無量です。引き続き本会議での採決を待ちます。
あの騒動を思うと、ネット世論について色々考えさせられるとともに、やはり政策決定はプロセスが大切なのだということを痛感しています。もちろん、法運営の誤りなきチェックも必要です。しっかりこれからの活動に生かして参ります。