2020年12月24日木曜日

令和2年12月24日

 [覚悟の新年度予算]


 12月21日、令和3年度予算案が閣議決定されました。


 一般会計総額は106.6兆円。これに先立ち閣議決定された令和2年度第3次補正予算と合わせると、実に前年の同様の「補正・本予算15か月分」より2割増えることになります。


 何と言ってもコロナ対策に全力を注がなければいけません。ただ、留意すべきは、あのコロナ優等生と言われる韓国でも1日の感染者数が1,000人を超えるなど、冬の到来とともに世界中が感染拡大に苦しんでおり、特に1日の感染者数が10万人・死者3,000人超という米国をはじめとする他の先進国と比べると、日本では結果的にコロナの封じ込めはかなりうまくいっているという事実です。国民の皆様の真摯なご協力に心から感謝する次第です。


 感染爆発をしている国ではロックダウンをしていますが、上記した現在の日本の状況では、疲弊と長期的な実効性の低下をもたらすような劇的な社会経済活動の停止と再開を繰り返すことは得策ではないと考えます。特に地方の経済を冷え込ませるGo to トラベル事業の停止は、真にやむを得ない状況かを見極める必要があったため、感染拡大が広がっている地域・そして人の移動が多い年末年始の全国規模と限定されたことを是非ご理解いただけますと幸いです。


 私は党の感染症ガバナンス小委員会委員長代理として、自治体を中心として要請して下さっている休業への支援や要請を超える実効性の確保を特措法改正により実現すべきだと訴えてきました。また、国と自治体の連携や保健所機能の強化、感染症法改正によるHER-SYSの活用と迅速な医療情報提供、PCR検査の民間機関へのオープン化と納得できる価格・質の確保や適切な医療機関との連携など、政府に提言しています。是非通常国会で法改正を伴う形で実現させたいと思っています。


 もちろん現在進んでいるワクチン開発について国として支援し、安全性・有効性の確認を大前提として来年の前半までに全ての国民に提供できる数量を確保し、特に優先性の高い医療・福祉従事者などの方々から投与できるようにしていきます。

 また、コロナ対応医療機関に派遣される医師・看護師への支援額を倍増するなど、医療関係の方々への支援をしっかり行っていきます。


 経済対策については、当面の補助や無利子・無担保融資の継続とともに、今後の改革方針として「脱炭素」「デジタルトランスフォーメーション」の2本柱を掲げています。


 菅総理が2050年のカーボンニュートラルを目標として打ち出したことに伴い、私は党の再エネ議連会長として、2030年の再生可能エネルギー割合を現在の倍の45パーセントに引き上げるべきと主張しています。水素活用など脱炭素イノベーションのための基金2兆円を設け、エコカー減税の延長をはじめとした税制措置も講じながら、しっかり産業界を後押ししていきたいと思います。


 デジタルトランスフォーメーションについては、デジタル庁を創設して省庁・国地方の垣根を超えてシステムの統合を行い、マイナンバーや情報クラウドの抜本的な利活用とあいまって生活の利便性を格段に向上させます。もちろんセキュリティやプライバシーの確保は極めて重要な課題であり、私が所属している党のサイバーセキュリティ議員連盟では専門家を交えて法的・技術的議論を加速化していきます。


 文部科学大臣経験者として痛感するのは、こうした変化の激しい時代には教育が極めて重要だということです。

 国際化への対応、対面授業・遠隔授業の適切なバランスとGIGAスクール構想による生徒一人一台端末と通信環境・デジタル教科書などソフトの充実、あらかじめ与えられた答えを見つけるのでなく未知の課題をチームで協力して乗り越えていく力の育成、科学技術の推進、新たな分野へのチャレンジを生涯にわたって可能にするリカレント教育の拡大、ひとりひとりの個性を大切にするために必要な少人数学級の推進、貧困の連鎖を生まないための経済支援など、しっかりこれからも力を入れていきます。


 来年からの不妊治療への助成の拡大、待機児童解消のための今後4年間での14万人の保育の受け皿の確保、リモートワークや働き方改革の進展、育休制度のさらなる充実など、少子化対策にも真剣に取り組みます。ご高齢の方も将来的に医療負担をしていただく一方オンライン診療を受けやすくしたりかかりつけ医の活用を促進するなど、健康現役社会を目指し、全世代型社会保障を進めます。


 地方創生も重要な課題です。地域で活躍する人材の産学官連携による育成、中小企業の事業承継の支援やIT投資などの税制面での優遇、固定資産税の負担増の緩和などに努めます。農業などの輸出力・ブランド強化、サクラタウン開業で盛り上がる地域の文化・観光事業や武蔵野落ち葉堆肥農法の世界農業遺産登録などをしっかり応援していきます。

 また、激甚化する災害への対策・老朽化したインフラの修繕などのためにも、5か年の新たな国土強靭化対策を実施します。


 現在の世界情勢を見ると、国際化した今だからこそ経済面も含めた安全保障の観点を決して忘れてはいけないと痛感します。宇宙やサイバー対策も含めた防衛体制の強化ももちろんですが、資源・食糧・土地取引、金融や情報通信の最先端分野での自由と民主主義を守る国々との同盟をしっかり進めていく必要があります。憲法論議も逃げずに深めていく必要があります。


 政治の責任は国民の暮らしを守ることです。大きな予算となりますが、財政再建も含め、これからも全力を尽くすことをお誓い申し上げます。