[絶望が最大の敵]
1月27日夜、地元ふじみ野市大井武蔵野の住宅で、92歳の高齢の母を亡くした男が弔問に訪れた在宅クリニック関係者たちに発砲するというショッキングな事件が発生しました。
犯人は負傷した医師の方を人質として立てこもり、付近は住民が避難するなど騒然。翌日警察が突入して犯人を逮捕しましたが、残念ながら人質のお医者さんは帰らぬ人となってしまいました。亡くなられた方は熱心に地域医療に取り組まれていて人望も厚く、本当に残念でなりません。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
昨日29日、所沢の別の在宅医療機関を訪問したのですが、医師の方が「こんな事件が起きたら在宅医療の担い手がいなくなってしまう」と嘆いておられました。高齢化が進み在宅医療のニーズが高まっている中、コロナ下で医療従事者の負担もピークに達しています。このような身勝手な事件が二度と起きないようにしなければいけません。
容疑者は高齢の母がいなくなり、介護などに不満を持っていたとのことですが、自分自身66歳で無職。報道によると自殺してクリニックの人たちも殺そうと思っていたと供述しているということです。
1月15日には、大学入学共通テストの会場である東大前で、高校2年生の男子生徒が受験生3人に切りつける事件も発生しました。こちらも希望する医学部への進学が厳しいと絶望し、自暴自棄になっての犯行だと報道されています。
銃規制を改めて議論する余地もあるかもしれませんが、こうした自暴自棄になっての犯行をいかに防ぐかがより本質的な課題に思えてなりません。
絶望しても多くの場合そこから立ち直る道はあります。もし周りとのコミュニケーションがうまく取れていれば悲劇が避けられた可能性は高かったのでないでしょうか。また、自殺の際に他者を巻き込むという身勝手な凶行も、孤独や孤立から他者への思いやりが薄れてしまうのが一因だと感じるのです。
現代社会において孤独・孤立対策は重要なテーマです。官・民・中央と地方も連携して、しっかり進めていかなければいけません。教育の果たす役割にも注目し、尽力していきます。
[対岸の火事と捉えるな]
ロシア軍がウクライナ国境付近に集結し、これに対してアメリカが東欧に8500人の派兵の準備に入るなど、現地は緊迫しています。既にウクライナの各国大使館や在留邦人に退避勧告が出される動きとなっています。
1月24日、党の安全保障調査会で慶応義塾大学の礒崎敦仁教授と東大先端科学技術センター小泉悠専任講師から、国際情勢に関するヒアリングをしました。
北朝鮮が米国の圧力をかいくぐって人道物資を手に入れながら着々と最新軍備を行い、ミサイル発射を連続して外交カードを手に入れているのは日本にとって脅威です。しかし一方でロシアも、これまで日本が示した対話姿勢には結局応じず、対ヨーロッパの死活的利益として現在親米政権となっているウクライナのクリミア半島確保を真剣に考え、北朝鮮との接近も行っていること、決して見過ごすわけにはいきません。
もしウクライナで不測の事態が発生してしまった際に、日本がロシアに配慮して経済制裁などにおいて西側諸国とあまりにかけ離れた不干渉の対応を取ると、将来台湾有事の際にアメリカがしっかり対応せず、結果日本に重大な損害が及ぶ危険もあります。
中国が台頭する中、米国はもはや中東と極東の二正面に軍事展開をする余裕はありません。日本や西側諸国が連携をして安全保障を強化することが急務となっています。
[実態に即したオミクロン対策を]
昨日1月29日もコロナ感染者は全国で約8万5000人。オミクロン株の急拡大が続いており、病床使用率も11府県で50%を超えました。
これまでコロナ対策には様々な経験が積み重なっていますが、重症化率が低く感染力が強烈なオミクロン株には新しい発想で対処しないと、社会経済が立ち行かなくなってしまいます。
まずワクチンの3回目接種を加速化するとともに、エッセンシャルワーカーなど緊急性のある方々がなるべく早く打てるよう尽力すべきです。
治療薬の確保を急ぎ、専門家の知見を得て感染症分類を5類相当に引き下げるよう努力しなければいけません。
現在、発熱者と学校での大量の濃厚接触者がコロナ検査を求めて発熱外来のクリニックに電話をし、クリニックも保健所もパンク状態となっているとのことです。まずは早い診断の必要な高熱者・高齢者に検査を提供し、濃厚接触者は症状が出たら検査を実施するという方向を取るべきです。
また、ほとんどの感染者が若者と子供で、数日で解熱し喉の痛みが残る程度です。こうした方々については発熱があった時点でコロナ感染者とみなして1週間程度の自己隔離を守るようにし、解熱剤を確保すればよく、重症化しそうな方に医療資源を振り向けるようにすればよいのではないでしょうか。
イベント参加にPCR検査陰性やワクチン接種証明などを求める例もありますが、それが大きな感染拡大をもたらすものでなければ、十分な感染防止対策をとることで置き換えることも考える余地があります。
極力医療や経済の負担を回避していく工夫をしていきましょう。