[脱・ゆでガエル]
5日、参院選後初となる臨時国会は3日間の短い会期を終えました。しかし一息ついている暇はありません。
ウクライナ情勢は、ロシアが東部ドネツク、ルガンスク州で実効支配を広げ、現在は南部で激しい戦闘が続いています。それが世界経済にも依然大きく影響しています。
加えて、アメリカのペロシ下院議長による台湾訪問に反発した中国が、台湾周辺海域で大規模な軍事演習を行うとともに、日本の排他的経済水域を含む海域にミサイルを撃ち込んで地域の緊張を高めています。
また、日本の佐渡金山の世界文化遺産登録申請が手続の不備により今年は見送りになり、韓国のユネスコ委員が出し直しのタイミングで自国労働者の強制徴用問題を提起するのではないかと言われています。
様々な激動が続き、かつ経済のグローバル化やコロナ後の国境を越える人の往来が進む中、日本が外交・防衛問題でどこまで毅然とした対応を示せるかは大きなテーマです。まずは価値観を共有する国々との連携を強め、国際法遵守の枠組みの主張とその実効性確保(防衛力増強を含む)を行うべきです。情報発信力に欠ける所のある日本の外交を立て直さないといけません。
そして経済に関しては、エネルギーや飼料などから物価全般に波及している価格上昇に対し、最低賃金の過去最高レベルの引き上げをはじめとする賃金上昇が、ペースとしても金額としても追いついていないのが現状です。
政府が予備費や補正予算で、あるいは地方自治体が国由来の交付金で、物価対策や生活支援を講じていますが、一時的であるとすれば金融面も含めた総動員が必要になるでしょう。
一方中長期的な生産性向上も待ったなしです。DX(デジタルトランスフォーメーション)に加え、GX(グリーントランスフォーメーション、エネルギー構造の転換と温暖化対策)も劇的に進める必要があります。エネルギー供給力拡大のために安全の確認された原発の再稼働を政府は掲げていますが、温暖化に伴う冷却水確保の困難や放射性廃棄物処分など持続可能性を考えた場合にはそれに過度に頼るのは現実的でなく、蓄電池などの調整力を伴いかつ価格を引き下げた再生可能エネルギーの最大限の普及は絶対に必要です。環境面への配慮などをしつつ推進していきます。無論経済安全保障の面から部品を含め国産化をしっかり進めていきます。引き続き再エネ議連会長・バッテリー議連幹事長として尽力します。
国産が必要なのは第7波を迎える新型コロナウイルス対策に必要なワクチンや治療薬も同様です。創薬のイノベーション推進のためには特許や治験の充実に加え、どこまで医療が経済の論理に寄り添うことが可能かという根本的な議論をする必要があるように思います。
そして国産製品を充実させるには、人材の国際的交流を強化する必要があるというパラドックスと向き合わなければいけません。攘夷から開国への転換です。
水際対策の合理的緩和、技能実習制度の抜本的見直し、国際共同研究の強化と国家安全保障の両立など、これから進めていくべき改革はいくつもあります。世界は熾烈な競争の中にあります。先月17日から21日まで日本・シンガポール友好推進議員連盟の企画で同国に出張し、そのことを痛感しました。
日本は一周遅れであるが故に他の先進国の危機(不況・コロナ爆発)を避けられているとも言われますが、一周遅れでもついて行けなくなれば他国からは見放されることになるでしょう。ゆでガエルとならないようしっかりアクセルを踏まなければいけません。