[炎の弾丸出張~ミャンマー・ベトナム編~]
所属する、日本・メコン地域諸国友好議員連盟のメンバーたちとともに、24日からミャンマーとベトナムを訪問し、昨日27日早朝帰国しました。
今回のミッションの柱は、「存在感を増す中国に対し、いかに東南アジアにおける日本の地位を確保していくか」ということでした。
今から5年前、総務副大臣時代に奇しくもこの2国を私は訪問しています。
当時、軍政から民政となったミャンマーには、大きな投資の可能性を世界中の国々が期待しており、私は日本の民間企業の方々とともに、ICT・携帯電話事業の展開や、極めて近代化が遅れていた郵便インフラへの支援を行うべく当地を訪れました。
全く同じ時期に、実は道路インフラの整備支援のため、国交省の方々もミャンマーに来ており、民間企業の方々はそのことを知っていたのにもかかわらず、私たち総務省には何の情報も来ていませんでした。「光ファイバーを敷設する作業と道路を作る作業が連携を取れないというのはおかしいだろう」と、帰国した私のアイデアで、首相官邸に世界におけるインフラ支援戦略を省庁横断で検討する「経協インフラ会議」が立ち上がったのです。
携帯事業は残念ながら応札に至りませんでしたが、支援したヤンゴン中央郵便局は見違えるほど近代化しました。5年前にあちこち工事中だった道路網もかなり整っています。
また、ヤンゴン市内で当時スタートした、総開発面積約2,400ha(山手線内側の約40%)を整備する「ティラワ経済特区開発」も、既に日本企業48社を含む93社が契約を終え、500ha以上が開業済みです。
ベトナムで即席麺シェア6割に成長したエースコック社は、このティラワ地区においても、最新鋭の工程と優れた広告戦略を展開しようとしています。
また、日本企業が音頭を取って、ミャンマーと共同事業体を作るとともに、ティラワ地区のビジネス展開における行政各部横断のワンストップサービスセンターを設置し、手続を劇的にスピードアップしている様子は、日本でも大いに参考になると思います。
課題としては、まだ頻発する停電の解消のために、更なる電力設備とエネルギー効率が求められます。
また、先述したとおりミャンマー全域では中国のプレゼンスが大きいのですが、築20年の中国製の橋梁が崩落する事故が発生しており、スリランカに見られるような対中借款で国の身動きが取れなくなってしまったりする状況も懸念材料と言えます。同国にとって、日本の「質の高いインフラ」そしてタイやラオスやベトナムを横断する道路整備など一体的な開発の促進により、自立的な経済圏を促進することが極めて重要だと考えます。
今回、アウン・サン・スーチー氏がトップを務める国家最高顧問府のチョウ・ティン・スエ担当大臣に、今後の日本の役割を私から力説しました。
政治的には、北部ラカイン州でムスリム少数民族のロヒンジャと仏教徒の武力衝突、及び隣国バングラデシュへの70万人以上の避難民流入という事態が発生しています。今回議連のメンバーたちでマン・ウィン・カイン・タン上院議長と面会し、昨年11月にミャンマーとバングラデシュが難民帰還開始に合意して、今年6月にミャンマー政府がそのための国連機関(UNHCR、UNDP)の関与や支援受入のための覚書を締結したことを日本として評価する旨を伝えました。今後日本政府と連携して適切な支援をしていきます。
26日午後にベトナムのホーチミンに到着しました。5年前に訪越した際には、ベトナム国営放送と日本のTBSの共同制作番組「パートナー」の完成披露式典に、出演者の東山紀之さんや芦田愛菜さんたちと出席するために首都ハノイを訪れましたが、ホーチミンへの訪問は初めてです。
議連のメンバーたちで、副首相も務めたホーチミン市党委書記のグエン・ティエン・ニャン氏と面会し、日越外交関係樹立45周年を迎える今年、ベトナムはTPPの加盟国としても、日本企業の関心をさらに集めると述べるとともに、しっかり投資環境を整えるよう要請しました。
また、日本としては人材育成協力や、介護などの分野も含めた技能実習生の受入れも、着実に実施していく必要があります。ミャンマーではまだまだ進んでいないこの技能実習生受入れ、ベトナムでは国別で1位となっており、こちらも日越連携を確認しました。
私からは、やはり中国を意識して、南シナ海で軍事拠点を着々と築いている行為に対してASEANが一体となって警鐘を鳴らすべきこと、そのためにはインターネット上も含め、こうした懸念の声を発している市民の声に政府が耳を傾けるべきことを力説しました。ニャン党委書記からは、サイバーセキュリティ対応を含め、ホーチミンはスマートシティ化を目指しているとの回答がありましたが、私の耳には様々な懸念が届いています。引き続き働きかけを続けます。
ベトナム訪問中に隣国ラオスでの水害が報じられ、改めてどの国でも治水対策が大事だと感じました。南国にもかかわらずミャンマーもベトナムも30℃を切る凌ぎやすい気候で、日本の異常気象対策の緊急性を痛感した次第です。
また、ベトナムでの保育施設の急速な拡大を見ると、世界共通の課題と対策の難しさが見えてきます。グローバルな対応を心掛けて参ります。