2021年7月14日水曜日

令和3年7月14日

[綱渡りの先に]


 7月12日から8月22日まで、東京では4度目の緊急事態宣言が発令され、沖縄では同宣言が延長されています。


 当初は東京はまん延防止措置の延長という見立てでしたが、急速に感染が広がり、重症者も増えてきたため、五輪やお盆期間の感染爆発を防ぐためにこのタイミングで緊急事態宣言とするのはやむを得ないと思います。しかし既に国民の間には「自粛疲れ」が広がっており、強力な感染力を持つデルタ株の急速な拡大も相まって、どれだけの効果があるか懸念がぬぐえません。


 特にまたも酒類の提供が禁止されるため、飲食店や酒販店の打撃は大きく、措置に従わない業者が増えることが想定されます。そのため今回はリスクを覚悟で措置に従う旨の誓約書を提出した飲食店には審査を簡略化して協力金を前渡しすることとしました。

 そして西村経済再生担当大臣は、さらなる実効性を確保するため、休業要請に応じない飲食店の情報を金融機関に提供すると発表したのですが、これが猛烈に批判を浴びています。確かにこれまで協力金の支払いが大きく遅れ、お店は借り入れでどうにか存続を図ってきたのに、その金融機関から圧力をかけるとも捉えられかねない方法を取るというのは不適切と言わざるを得ません。法的な根拠もなく、金融機関の優越的地位の濫用を助長することにもなりますので、この発表が早々に撤回されたのは仕方ないと思います。

 同様に、酒販店に対しても飲食店への酒類の提供を止めるよう新型コロナ対策推進室及び国税庁から行政指導が出されていましたが、一転して廃止されました。


 この間の混乱は政府に反省を求めるものですが、一方、宣言に真面目に従った事業者が割を食うようなことは、私が初当選以来モットーとしてきた「正直者が報われる社会を作る」という方向に反し、何としても防がないといけません。塩崎恭久議員たちと党の感染症ガバナンス小委員会で取り組んできて野党との合意で実現した、事業者への支援と過料を内容とする特措法の改正などにつき、再度の見直しを検討すべきです。

 この間知見が重なってきたわけですから、緊急事態宣言に伴う営業制限についても再検討をし、一律営業禁止ではなく感染対策不十分な営業や、その結果感染が発生した場合のより厳格な罰則規定を設けるなども議論してはどうでしょうか。また、支援策についても融資について返済不要とする方策(出資への切り替えや金融機関への補助など)を景気対策として打ち出すこともあり得ます。党で議論していきます。


[切り札はやはりワクチン]


 こうした中でやはり状況を打開する最大の鍵となるのはワクチン接種の加速化です。しかしこれについても、せっかく始めた職域接種の申請受付が6月25日で中断したり、自治体からのワクチン要請に対して供給が滞るなど、目詰まりが相次いで報告されています。


 昨日13日、私が副座長を務める党のワクチン対策プロジェクトチームの会議が、河野ワクチン担当大臣を交えて開催されました。実はワクチンの輸入が滞っているわけではなく、また一日の接種回数は既に目標とされた100万件を大きく超え、140万件になろうとしているのです。


 6月までにファイザー製ワクチン1億回分、モデルナ製1400万回分が予定どおり輸入されました。

 そのうえ、7月から9月までの3か月でさらにファイザー製7000万回分、モデルナ製3600万回分が輸入されるので、これにより希望する全国民に2回行き渡るワクチン総量は確保されます。


 このうちファイザー製8800万回分は既に自治体に供給されており、高齢者3600万人2回分以上の分量が確保され、7月末までに希望高齢者の接種が終わる見込みです。

 また6月25日までに受け付けた職域接種は3700万回となっており、配送が確定した自治体での大規模接種分1200万回を加えてもモデルナ製総量5000万回で賄うことができます。若年層職域接種が本格化するのは7月末以降になりますが、厚労省で順番を確定し、供給2週間前に配送量の連絡があるとのことです。

 先述のとおり新しい職域接種受付は現時点で停止していますが、各自治体で若年層への接種拡大が進んでいるので、その分職域接種の残量が減っていきます。

 また自治体へのファイザー製ワクチン追加供給は、在庫が十分ある自治体にはペースを落としたり、スピードが速すぎる場所と遅すぎる場所の調整をしたりして安定供給を図ります。


 こうして希望する国民全対象者への接種は10月から11月には完了する予定です。私からはとにかく国民や自治体にきちんと情報提供をすること、自治体連携を十分行い、住所地と違う場所での接種があることも踏まえてワクチンの融通に不具合が生じないようにすることを要望しました。


 東京五輪が間近に迫ってきました。安全・安心な大会にできるよう、しっかり後押しをしていきます。