[57年ぶりの夏季五輪]
連日熱戦が続く東京オリンピックでは日本選手が大活躍。8月3日時点で金メダル数は17個となり、お家芸の柔道や体操のみならず、フェンシング、卓球、ソフトボール、競泳など多様な種目で国民の感動を呼んでいます。
要因の一つとして、この東京五輪に合わせた競技力強化策があると思います。私が文部科学大臣時代にスポーツ庁長官をされていた鈴木大地さんのもとで、各競技団体の強化策や大会成績をもとに競技強化費を配分。総額も2013年度の33億円から2021年度には103億円となり、上記したお家芸以外の強化にも貢献しました。
先月4日に実施された東京都議選では五輪開催の可否が争点となり、確かに自民党は苦戦しましたが、開会式をはじめテレビ中継が高視聴率であること、五輪を通じて伝わる努力やチームの仲間の素晴らしさへの共感、ポストコロナに向けた世界との連携強化などを考えれば、やはり無観客会場がほとんどでも開催してよかったと思わずにはいられません。
他方、デルタ株の強力な感染力は猛威をふるい、既に五輪開催前から首都圏以外にも広がっていた感染者数は1日1万人を超え、東京ではついに4000人を超える規模となりました。
重症化リスクの高い高齢者へのワクチン接種がほぼ完了していることや医療提供体制の強化が進んでいることから、この冬に感染拡大した時ほどの医療ひっ迫には達していません。しかし40代、50代の重症者は、都内では6月末の18人から8月1日には53人まで拡大しており、熱中症などの救急搬送も相まって、すぐに入院できずに自宅で療養する人が増えています。
前回のこの欄で、ワクチン接種は7月末以降若年層職域接種が進むという見通しについて書きましたが、8月中旬以降にずれ込んでいます。また、自治体のファイザー製ワクチンは、調整枠の削減措置が撤回され、懸命に自治体と国、また医療従事者の方々のご尽力により接種が進んでいますが、菅総理が示した「8月下旬に2回の接種を終えた国民が4割に達する」見通しを達成するには相当の努力が必要となります。
かくなる上は、やはり国民の皆様に感染拡大防止のための行動にご協力をいただくことがとても大切になってきます。現在感染の大きな割合を占めるのが若い世代の方々であり、貴重な日々に自粛生活を送るのは本当に忍びないのですが、ご自分のみならず大切な周りの人たちを守るため、お力をいただきたく思います。都知事が「8月は旅行でなくテレビの五輪観戦でステイホーム」とおっしゃっていますが、そのとおりだと思います。
2日からは東京や沖縄以外の4府県で緊急事態宣言が発効し、期間も31日までと長くなりました。影響は大きく、前回のこの欄で触れたとおり、緊急事態宣言に伴う営業制限についても再検討して、一律営業禁止ではなく感染対策不十分な営業や、その結果感染が発生した場合のより厳格な罰則規定を設けるなどといった議論を始める時だと思います。さらに、諸外国でスタンダードになっているワクチンパスポートないし接種済み証の活用を行うべきでしょう。
また、支援策についても、飲食店への協力金の前渡しや雇用調整助成金特例措置の延長などに加え、融資について返済不要とする方策(出資への切り替えや金融機関への補助など)を景気対策として打ち出すなど、迅速で実効性のある対策が求められます。当然補正予算の編成も必要となるでしょう。
そして今こそコロナ後の給付迅速化や新経済を目指すデジタル・イノベーションや、温暖化対策を強力に進めるエネルギー政策の議論、統治や経済のガバナンスの議論などを進めなければいけません。
厳しい日々を何とか乗り切れるよう、引き続き尽力して参ります。