2025年4月1日火曜日

令和7年4月1日

 【大難産の予算成立】

 昨日3月31日夕刻、年度末ギリギリのタイミングで令和7年度予算が成立しました。

 前回のブログで紹介したとおり、当初は過去最高の一般会計115.5兆円だった予算は、審議の過程で野党の要求を飲んで修正を重ねました。

 私が担当を務めた教育無償化に関する日本維新の会との協議では、国公私立を問わず現在年収910万円の所得制限にかかっていた授業料年間11万8800円の就学支援金につき、所得制限を撤廃。1064億円の追加支出となりました。

 一方、いわゆる年収103万円の壁に関する国民民主党との協議では、国民民主党の主張する178万円までの引き上げを拒否し、年収850万円の所得制限のもとで160万円までの引き上げを提示。これにより6210億円の減収となりました。

 高額療養費の自己負担額引き上げについても、多数回受診についてこれを見送って予算案は膨らみましたが、異例の省庁別審査などで基金の減額など歳出削減を行い、結局予算案は115.2兆円まで圧縮されて参議院へ。

 その後わずか3日後に、患者団体のヒアリングの結果、高額療養費の自己負担額引き上げは全面凍結することとし、これに伴う105億円の追加支出を計上する一方、予備費を同額減額することにより予算総額は維持することとなりました。

 その後も審議は難航を極め、政治資金の問題で既に政倫審で説明を行い、かつ昨年の総選挙で衆議院に鞍替え当選した世耕議員の参考人招致を与党が受け入れることを条件としてようやく昨日参議院本会議で予算案が可決され、憲政史上初となる当初予算の衆議院回付の採決を経て予算が成立したのです。

【難題山積】

 少数与党というのはかくも国会運営が厳しいものだと改めて痛感しました。内閣不信任案をいつでも可決されるという恐怖感のもと、国会の主導権は野党に握られています。しかも、石破総理が公明党の斎藤代表に予算審議中にもちかけ、野党が予算案への反映を求めて猛反発した追加の物価高対策をどうするのか、また年度末まで決着できなかった政治資金のあり方についてどうするのか、今月3日にトランプ大統領が米国への輸入に際し、関税の25%までの引き上げを実施したら経済にどういう影響が出て、どのような対策が求められるのか、授業料無償化について来年度の方針をまとめる今年6月の骨太方針に至るまで私立高校の授業料や給食費についてどのように制度設計するのか、参議院選挙直前まで課題が山積しています。

 それだけではありません。私が超党派の議員連盟会長を務める再審法改正議員連盟では袴田事件の無罪判決を受け、刑事訴訟法改正の議員立法案をまとめていますが、これまで腰の重かった法務省が法制審議会を立ち上げ、法務省主導でこの議論を進めようとしています。法務省が前向きに転じたのは議員立法の動きが活発化したからですが、検察庁の証拠開示への消極姿勢や再審請求開始決定への徹底抗戦などを見ると、まな板の上の鯉であるべき法務省が主導でお手盛りの法改正を行い、しかもこの熱く世論が盛り上がっているほとぼりを冷まして議論を長引かせようという意図が透けて見えます。

 今国会中に何とか議員立法で再審法改正を実現すべく尽力する所存ですので、皆様のご支援を心よりお願い申し上げます。

2025年1月2日木曜日

令和7年1月2日

 【節目の年】

 昨年末、一般会計総額として過去最大の115.5兆円となる令和7年度予算が閣議決定されました。

 能登半島地震から1年が経過し、今年は阪神淡路大震災からも30年の節目の年。国土強靭化や災害対策は急務で、避難道などの整備や防災情報システム開発予算が計上されています。
 風水害の激甚化や猛暑の原因に温暖化の加速があることは明白で、能登の復旧の遅れも昨秋の大雨が起因しています。再生可能エネルギー普及拡大議員連盟会長として政府に働きかけた結果、第7次エネルギー基本計画に再エネの最大限の活用という文言は盛り込まれましたが、2040年に再エネ割合4~5割という目標は国際社会から見て低水準であり、今後太陽電池のさらなるイノベーションによる軽量化・国産化などを後押ししていきます。

 岸田内閣から続く生産性の向上や賃上げも進めます。半導体やAI分野への支援、中小企業の省力化投資補助や個々の従業員の学び直しの支援への予算を計上するとともに、保育士の給与を24年度当初から10.7%引き上げるなど公定価格も上昇させます。その処遇における地域手当の偏在をもたらすこととなる人事院勧告の反映も当面見送ることとなりました。薬価改定も批判の強かった一律引き下げを革新的な新薬などで抑える方針となりました。

 もっとも、公立小中学校の残業代に代わる教職調整額は、昨夏の骨太方針で現在の4%を10%以上にすると明記したにもかかわらず、来年1月からの改定はプラス1%。その後2030年度にかけて段階的に10%まで引き上げるという内容となりました。3年後に残業の減少を含む中間検証をするとか、多忙な学級担任に月額3,000円の加算がされるなどの措置を盛り込みましたが、教育予算のさらなる充実の必要性を感じています。

 報道されているとおり、私は党の教育・人材力強化調査会長として、公明党の担当者とともに、日本維新の会の主張する教育の無償化に向けた政策協議に臨んで成果を目指しています。高校授業料の無償化にせよ給食費の無償化にせよ地域格差をいかになくしていくか、また負担軽減にとどまらずそれが子供の学びの質や多様性にどう寄与するのか、しっかり見極めなければいけません。

 いわゆる年収103万円の壁の見直しについても国民民主党との間で協議が続いています。物価高が進んでも基礎控除がそのままであることは明らかに不合理であり、見直しは不可避ですが、それによる地方を含めた税収減をどうするかという問題に加え、手取り自体を増やすのは上記した生産性の向上や賃上げを加速することによって実現されるようにしていかなければいけないと考えます。あわせて、社会保険の106万、130万の壁について、企業負担のあり方も含めきちんと対応をしていきます。
 こうした中で年金改革は急務です。基礎年金の国庫負担を0.3兆円増やして令和7年度は13.7兆円としますが、年金の持続可能性のためマクロ経済スライドによる抑制が働き、年金額の増加は物価高をカバーするに至っていません。先日成立した補正予算により所得の低い方への給付金3万円が措置されますが、iDeCo(個人型確定拠出年金)の普及などに取り組む必要があります。党の金融調査会長代理としてしっかり進めていきます。

【地方に目を向けて】

 国でいかに政策を議論しても、現場を所管するのは地方です。補正予算・本予算を通じて、地方独自の施策、農業・観光業や道の駅などに使える地方への交付金を増額します。これから厳しい人口減少時代を迎えるにあたり、国と地方が連携して企業誘致やインフラ整備などをしていく必要があります。自治会の取組みや治安対策の充実も行い、地域で人々の暮らしが明るくなるよう全力を尽くします。医療・介護の現場での連携も応援していきます。

【世界も激動】

 今年は戦後80年を迎えますが、世界情勢は極めて不安定な状況が続いています。トランプ大統領の就任に伴い、ウクライナ戦争や中東情勢がどう変わるのかは予断を許しません。悲惨な航空機事故が発生した韓国では政変が見込まれ、日本の安全保障への対応のため衛星網を含めた防衛予算は過去最高の8.7兆円となりました。
 国際社会が安定しなければ物価高も収束しません。また、海外のプラットフォーム会社の発展は利便性の増進と偽・誤情報の拡散という正負両面の影響を広くもたらしました。
 私は党の情報通信戦略調査会幹事長として、放送と通信の融合、NTT法の改正による基盤整備などとともに、こうした問題やサイバーセキュリティの充実にも取り組んでいきます。

 社会もコミュニティも家族も、価値観や生き方の多様性により分断の危機に直面しています。共同親権を内容とする家族法の改正は実現しましたが、戸籍のあり方や外国人政策など、日本のこれからをどうするか、明確な羅針盤が求められています。会長を務めるえん罪防止の再審法改正議員連盟の活動も今年が正念場です。
 石破政権のこれからは難所の連続となろうかと思いますが、与党の一員として全力で役割を果たすことをお誓い致します。