2023年2月22日水曜日

令和5年2月22日

【日本を選ばれる国に】


 昨日21日、私が会長を務める党の教育・人材力強化調査会がまとめた提言書を首相官邸にて岸田総理に手交させていただきました。


 折しも政府では総理を議長とする省庁横断の「教育未来創造会議」にて、グローバル人材確保について集中的に議論を重ね、この春にも取りまとめを行い、骨太方針に反映させることにしています。
 私たちは並行して仲間の議員や有識者たちと独自の提言を練り上げ、その政府の議論に高めのハードルを設ける趣旨で今回の申し入れをした次第です。


 私たちの提言の副題は「内向き志向からの脱却・日本を選ばれる国に」です。日本の学生の海外留学への熱意は他の先進国やアジアの国々と比較してかなり低くなっています。一方、現在日本に来る留学生はコロナの鎮静化に伴い再び数が増えつつありますが、ベトナムなど送り出し国に偏りがあり、わが国の成長を後押しする先進国の高度人材から選ばれているとは言えません。円安傾向が外国人の低賃金をもたらしてこの傾向に拍車をかけています。


 今回の提言では、日本人の留学促進策として、初等中等教育段階からの語学教育強化やグローバルチャレンジの促進、英語教員の指導力強化のための研修充実や留学、海外において修士・博士の学位を獲得した人材の国内での就職の円滑化といった施策をうたいました。「トビタテ!留学JAPAN」の発展的推進や奨学金充実も行います。
 また、戦略的な外国人留学生受入れの推進については、G7サミットを前に先進国や普遍的価値を共有する国を念頭に置いた留学生受け入れのための重点分野・重点地域を再設定すること、私が超党派議員連盟会長を務める日本語教育推進、留学生の生活環境の充実やオンラインキャンパス充実、一方での在留管理強化や技術流出防止などを行うとともに、これまでの「留学生30万人計画」に代わり、質を伴う高めの目標(KPI)を設定し、進捗管理を行うことを訴えました。


 秋入学やクォーター制の促進、海外大学との連携強化やジョイントディグリー、単位互換制度の促進、インターナショナルスクール卒業生のその後の進学の円滑化、日本型教育システムや学校の海外展開、在外邦人の日本人学校に対する教師派遣や海外での日本語習得希望者への対応強化など、盛り沢山なメニューを掲げています。
 これから少子化が進むわが国にとって、グローバル人材の確保は重要です。地方においても共生社会を実現し、日本の若者との相互交流をしていくことは活力の前進につながります。きちんとした制度設計をしていく所存です。

2023年1月22日日曜日

令和5年1月22日

 【「転機」の年に】

 皆様にはご清祥にて新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。旧年中は大変お世話になりました。

 昨年は予測もつかなかった様々な困難に見舞われた年でした。今年は明るい未来につながる「転機」の年となるよう尽力します。


1.経済対策待ったなし


 ウクライナ情勢の長期化に伴い、穀物・資源価格をはじめ物価高騰が続いています。22年の貿易赤字は19.9兆円に達したという報道もあります。さらに日本の円安がこれに拍車をかけているのは否めません。

 ただ、今の日本の円安は、日本銀行の金融緩和政策に一因があるのは事実ですが、海外における大幅なコロナ対策支出とそれに伴うインフレ・対策としての金利引き上げが寄与しているのは間違いありません。1月18日のFRB(米連邦準備理事会)地区連銀報告は、米国での景気は弱含みと発表しており、米国の金融引き締めがずっと続くとは考えづらいです。

 日銀の10年物国債買い入れ指値オペの金利が昨年末に0.25%から0.5%に引き上げられたことから、日銀の金融緩和政策が終わるのでないかと、投機筋が国債の売りに走り、市場金利は上昇局面となりましたが、今月4日に私も出席した全国銀行協会での新年会で黒田総裁は「引き続き金融緩和の基調は変わらない」と断言されており、17~18日の金融政策決定会合でもその姿勢が確認されました。

 あくまで0.5%への引き上げは、指値オペ対象の10年物国債の利回りだけ極端に低くなってイールドカーブ全体が歪んでしまうのを改善してオペの柔軟性を確保するという意味合いと捉え、これからも日銀の緩和政策の基調は変わらないとするのが妥当でしょう。

 金融緩和は借り換えをしやすくし、株価を支えるなど景気の回復を本格化する効果もあります。また、円高時代に中国などに海外生産拠点を置いていた企業が、サプライチェーン国内回帰の動きに出れば、国内の雇用を生み出すことにもなります。円安が海外旅行客の訪日を加速する動きも、コロナ後の水際対策緩和とあいまって進むでしょう。2022年には前年から15.6倍という訪日外国人383万1900人を記録しており、明るい兆しと言えます。農産物などの輸出も増やし、地域の稼ぐ力を強化していくことにつなげたいと思います。

 一方、岸田総理が「物価高を上回る賃上げを目指す」とおっしゃったのは、方向性としては正しいとしても、それが大企業の正規従業員にとどまって、例えば中小企業への外注費の圧縮・ひいては中小企業の賃上げの停滞をもたらしてしまっては格差は広がる一方です。是非政府にはもっと中小企業などに目配りをしたメッセージを出して欲しいと願います。

 また、前回のブログでも触れたとおり、防衛費の確保のために安易に増税するという方針を決めると、企業の賃上げや設備投資の意欲に冷や水を浴びせることになりかねません。幸い昨年の党税調では、具体的な増税時期は今後決定するとされました。党では今般、防衛費財源を検討する会議が立ち上がり、私は歳出改革や増収による決算剰余金のさらなる活用、国債発行余地も検討して極力増税にかかる割合を減らしていくよう主張し続けたいと思います。


2.劇的に進む少子化への対策強化・子育て支援を


 4日に東京都が所得制限なく子供一人あたり毎月5000円の給付を行うと決定したことは、迅速な実行を要件とすれば、賃上げを行うまでの物価高対策・子育て支援対策として有効だと考えます。岸田総理は異次元の少子化対策として、経済的支援の充実・学童や病児保育などのサービスの充実・ジェンダーレスな働き方改革や育児休暇取得支援などについて、小倉担当大臣を中心に各省が連携して早急に取りまとめをするよう指示を出されました。

 いずれの対策も重要ですが、異次元という以上、より深掘りをした対策が必要です。かつて「希望出生率1.8の実現」という目標が掲げられましたが、現在の希望出生率は1.6とも言われています。早期に結婚すればその後の出産も順調に進む傾向があるというデータもあります。私は婚活・ブライダル議員連盟のメンバーでもあり、地方も含めた出会いの場やマッチングの充実、教育も含めた家族の大切さの確認、若い女性が地方から都会に出ていく現実を変えるための地方での活躍の場の確保など、さらなる政策の充実を、4月からのこども家庭庁の発足に向け、党の「こども・若者」輝く未来創造本部で検討していきます。

 一方、高齢の方々の健康現役社会の構築とセットとした年金支給年齢の引き上げオプションの普及などの工夫を進めていきます。


3.温暖化・自然災害大規模化に備えを


 会長を務める再生可能エネルギー普及拡大議員連盟における脱炭素に向けた取組みを、経済安全保障を意識して国産材料を使って加速します。太陽光パネルのメンテナンスや廃棄を着実に行う法制度を充実させ、市民や自治体の力をいただくとともに、電気代の高値をもたらすと言われたFIT(固定価格買取制度)後の制度設計にも関わっていきます。

 消防の人的物的強化や、護岸・貯水池や避難道等のインフラ整備など国土強靭化も進めていきます。


4.コロナ対策と社会経済活動の両立を


 水際対策の緩和、コロナの感染症指定の5類への変更など、社会経済活動を推進しつつ、新たな変異株に対応するための治療薬の充実や医療体制の整備、中国などの感染拡大国からの春節に伴う大量入国に対するメリハリの利いたチェック体制構築といった対策を講じ、ニューノーマルな社会の実現を目指します。


 新たな社会は、コロナ前と違い、ITの利活用が進むなどイノベーションを伴う、地方も輝く社会とならなければいけません。今年も全力で頑張りますのでよろしくお願い致します。

2022年12月11日日曜日

令和4年12月11日

 【優先順位を考えよ】

 昨日10日、旧統一教会被害者の救済新法が参議院で成立し、臨時国会は閉会しました。

 弁護士出身議員として党内議論で尽力させていただきましたが、担当者はじめ多数の方々のおかげで与党のみならず、立憲民主党・国民民主党・日本維新の会など野党の多くが賛成して下さったことに心から安堵しています。

 本件では救済の必要性とともに、憲法上保障された信教の自由とのバランスをどう取るかが極めて難しい要素となりましたが、これまで規制がなかった分野であり、まずはしっかり迅速に法律を施行し、その状況を見てさらに今後の対応につなげていくべきと考えます。


 自民党法務部会や私が会長を務める共同養育支援議員連盟が後押ししてきた法制審議会家族法部会の中間試案のパブリックコメント募集も、12月6日にいよいよ開始されました。締め切りは2月18日の午前0時まで。是非「子の最善の利益」「原則共同親権・共同監護」の輪が広がるよう、これからも活動を続けます。



 一般会計28.9兆円の第2次補正予算が成立し、ガソリン・電気・ガスなどの価格抑制に充てられます。また、私も後押しした学び直し、脱炭素社会の実現などいわゆる「新しい資本主義」の加速にも使われることになります。

 一方でその財源は国債発行が8割となり、財政は一層厳しくなります。そのうえロシア・北朝鮮・中国の動向など厳しい安全保障に鑑み、反撃能力の保有をはじめとして、防衛費をNATO(北大西洋条約機構)諸国の目標であるGDP比2パーセントに向けて増額していく方針を与党として示しています。


 岸田総理は8日、政府・与党幹部の政策懇談会で、今後5年間の防衛費を43兆円とし、2027年以降は今より年4兆円の増加が必要となるため、その安定財源を確保するため年1兆円の増税が必要だと表明するとともに、今年年末までにその内容について与党で決定して欲しいと指示しました。法人税増税が軸になる方針とも伝えられています。

 しかしこれを受けて9日に開催された党の政調全体会議では異論が続出。私も、「財政再建を軽視するわけではないが、これまで財政の議論をする際には党で国の債務残高対GDP比の今後の見込みを検討したり、行革本部で可能な歳出削減額を議論したりしてきたはず。歳入が上振れて緊急に増税する必要もない中で、党で議論もしていない1兆円という金額を突如示し、年末のこの時期に賃上げや設備投資に冷や水を浴びせるような増税の方針を無理やり決めろというのはプロセスとして問題がある」と発言。多くの議員の賛同を得るとともに、ニュースでも取り上げられました。


 何を優先してどういう支出をいつ行い、そのために必要な財源を歳出削減・剰余金の活用・予算の使途変更などからどう行っていくのか、国民に納得できる議論をオープンに行っていかなければいけないと考えています。

2022年11月23日水曜日

令和4年11月23日

 [脇を締め、そして・・・]


 岸田内閣の閣僚が相次いで辞任となり、厳しい政権運営が続いています。現在補正予算の審議中であり、旧統一教会への対応も含め、難しい国会の日々です。


 コロナ感染者数が増えてはきたものの、これまでの知見が積み重なり、社会経済活動は回復の兆しを見せています。しかしウクライナ情勢長期化に伴う物価高や円安の影響で依然として厳しい業態も多く、またそれらが消費に大きな影響を及ぼしていることもあり、一刻も早く補正予算を成立させて経済対策を実施するとともに、税制改正論議も行わなければいけません。

 私が幹事を務める憲法審査会は、幸い党派を超えて毎週議論を行っており、緊急事態における議員任期延長などだいぶ論点が整理されてきたと感じます。また、北朝鮮からの相次ぐミサイル発射や中国の体制強化などを受けて防衛力強化が急務であることもだいぶ国民的理解が進んできていると思います。


 課題解決のために、最大限の危機管理を行う必要があることは言うまでもありません。脇を締め、リスクの最小化を図るとともに問題の迅速な解決を行うことは当然必要です。

 と同時に、私が必要だと考えるのは毅然とした態度です。正しいことを正しいと言い、守るべきものはしっかり守る。筋を乱すと取り返すのには大きなコストがかかります。またよくない先例を作ることにもなります。

 私が現在取り組んでいる人材育成、エネルギー、情報通信、共同親権などの諸課題について、難しいながらもしっかり進めていく覚悟です。

2022年10月11日火曜日

令和4年10月11日

 [安心の確保に向けて]


 69日間の臨時国会がスタートし、現下の物価高対策、厳しい安全保障環境への対応、コロナ後の社会構築など、極めて重要なテーマが議論されています。


 まず、現在高騰している燃料や穀物などの負担に対する補助を中心とした対策のみならず、大胆な補正予算の編成を含む総合的かつ迅速・適切な経済政策を講じなければいけません。秋から冬への電気不足について需要・供給それぞれひっ迫を防ぐあらゆる対策を講じます。党の金融調査会の会長代理を拝命したので、中小企業の資金繰りなど金融支援についてもしっかり講じていくとともに、必要な設備投資や事業再編の後押しをしていきます。

 原資を確保し、医療・介護・保育などはもとより、各業種で非正規職員を含めた賃上げ促進など待遇改善・長時間労働是正を進めていかなければいけません。教員の方々についても部活動の地域移行などを進めていきます。


 感染症が流行した際に医療機関に病床確保を義務付けられる感染症法の改正を実現することと合わせ、円安のメリットを生かしコロナ後を見据えた水際対策緩和、1万円以上割引となる全国旅行支援や観光産業の高付加価値化を行います。農産物を含む輸出の拡大や海外からの投資促進などもしっかり進めていきます。

 また、今後を見据えて気候変動対策(GX)、デジタル分野の抜本的強化(DX)に引き続き取り組みます。岸田政権が原発政策再検討に舵を切っても、私が会長を務める再生可能エネルギー普及拡大議員連盟の活動はいささかも重要性を失っていません。所沢で党派の壁を超え、市民の方々とともに始めた温暖化対策についての意見交換を含め、具体的な提案を行っていきます。また、デジタル庁の権限・体制強化、マイナンバーカードのさらなる普及(健康保険証や免許証)や利便性向上、ポイント付与などを進めていきます。地方創生にデジタル改革を活用することは急務です。


 「新しい資本主義」の柱として、人材育成の促進と経済安全保障の確保が挙げられています。

 この度党の教育・人材力強化調査会長への留任が決まり、こども家庭庁の発足に向け個別最適化した教育の充実に取り組むこととなりました。さらに、デジタル人材やグローバル人材の育成、学び直し(リスキリング)、大学改革と合わせた学びの支援など、しっかり予算を確保していきます。経済安全保障については、半導体、幹事長を務めるバッテリー議員連盟で取り上げている蓄電池などの重要物資やサプライチェーンの確保、サイバーセキュリティ、秘密特許保護などの取組みを進めるほか、宇宙・海洋などの開発、重要土地取引規制、秘密取扱者適格性確認(セキュリティクリアランス)の検討にも関わっていきます。


 激動するウクライナ情勢、北朝鮮から相次いで発射されるミサイル、台湾やアジア地域における中国の脅威の拡大などに対し、反撃力の強化など防衛予算を確保することは喫緊の課題です。もとより同盟関係強化や外交力の発揮は必要ですが、即時対応も考えれば自らの国を自ら守ることの重要性は極めて大きくなっています。自衛隊の明記など憲法改正についてもしっかり議論していきます。機能不全に陥っている国連の改革についても党派を超えて検討していきます。

 また、激甚化する災害対応のためにインフラ整備など国土強靭化をしっかり進めていきます。


 旧統一教会問題について、党のガバナンスコード改正などによりしっかり襟を正して関係を見直すとともに、自身弁護士の経験を生かし、党で検討される被害救済・予防を実効化するための消費者契約法改正や相談体制の充実に取り組んでいきます。


 不安の時代と言われますが、明るい希望が持てるよう全力を尽くすことをお誓い致します。

2022年9月14日水曜日

令和4年9月14日

[説明のあり方]

 安倍元総理の国葬への反対意見が大きいと報じられています。

 お亡くなりになったエリザベス女王の葬儀がまぎれもなく「国葬」であるのに対して、安倍元総理の葬儀は既に終わっていますから、上記「国葬」は海外の弔問客を迎え、かつ故人の業績を偲ぶ「お別れの会」に近い性質のものと考えます。

 これまでの首相のお別れの会となぜ差を設けるのか、岸田総理はこう説明されています。
1.国政選挙を6回にわたり勝ち抜き、国民の信頼を得て憲政史上最長の8年8カ月にわたり総理を務められた。
2.東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした戦略的外交など、多方面で歴史に残る業績を残された。
3.諸外国で議会の追悼決議など様々な形で敬意と弔意が示されている。
4.民主主義の根幹である選挙活動中の非業の死であり、こうした暴力に屈しないとの国としての毅然とした姿勢を示すべき。
 また、国民に弔意を強制するものではないとされています。

 国葬とするかどうかの基準が曖昧だとか、巨額の国費がかかるなどの批判がありますが、上記理由や、過去吉田元総理以外に国葬儀を行った例がないこと、現在のふさわしい儀礼の規模や警備の検討などからして、決して不当なものとは言えないと考えます。無論、総理には引き続き説明に努めていただくようお願いします。

 統一教会と元総理との関係を問題にする意見も大きくなっています。

 旧統一教会が霊感商法などで大きな社会問題を起こしてきたことは事実であり、そこに政治との関係が影響していたことはしっかり見直していく必要があります。
 安倍元総理のみならず、与野党を含め数多くの議員が当該団体に何らかの関与をしてきた事実が明らかになっており、きちんと精査したうえで今後のそうした関係の見直しや消費者被害の救済・予防の取組みをしていかなければいけません。安倍元総理の国葬儀は予定どおり行い、残された私たちが責任を持って進めていくべきと考えます。

 私個人も昨年1回、今年1回、地元での集会での挨拶依頼があり、統一教会との関係の検証を十分行わないまま冒頭のみ出席しました。(その他祝電、メッセージ、講演、寄付やパーティー券の購入依頼、ボランティアの依頼などは一切行っていません。)当時は当該団体についての報道もなく、脇が甘かったことは反省しております。今後は一切関係を持たないように心がけます。

[炎の弾丸出張~北海道編]

 使用済み核燃料を活用する大間原発、プルトニウムを取り出す六ヶ所村再処理工場、それぞれの完成が延期となり、さらに高レベル放射性廃棄物の最終処分についてもまだ文献調査が決まった段階ですので、政府が今般方針を決めた原発の新増設を行うのはまだまだ困難な状況と言えます。

 このような中で脱炭素を進めるためには、前回この欄で触れたとおり会長を務める再生可能エネルギー普及拡大議員連盟の活動を強化して政府にしっかり働きかけないといけません。

 これから大きな進展が見込まれる風力発電について、一昨日12日から2日間で北海道の寿都町と室蘭市の先進的な取組みを視察しました。

 寿都町に関しては、大阪ガスグループ会社が昨年高台に設置した10基の風車(計27メガワット)を視察した後、湾沿いに1999年から2011年にかけて町により順次建設された11基の風車(計17メガワット)を視察しました。1989年に運転開始した5基は老朽化のため既に運転を停止しているとのことです。現在年間9100世帯分の発電を賄っています。
 町立の風力発電所はローターの直径が初期の30メートルから比較的新しい71メートルまで幅がありますが、これは世界水準からすれば小規模な風車で、今は大きさも強度も上がっています。現在もさらなる洋上風力発電所の設置に向けた調査をNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が行っています。

 課題は送電網の強化やFIT(固定価格買取制度)終了後のビジネスモデルの再検討。ただ町にとって収入の1割となっているこの事業は温暖化対策のみならずこれからの地方創生にも役立ちます。蓄電池の活用などより安定電源とするための取組みと合わせて応援していきたいと思います。

 片岡春雄町長は、上記した高レベル放射性廃棄物の最終処分場候補地としても文献調査に応募しています。その熱意には感心するばかりです。

 昨日13日には室蘭市を訪問し、海の深度や沿岸の用地などが風車材料の搬入や建設作業に適した「基地港湾」として注目されている室蘭港を青山剛市長たちともども視察させていただきました。
 併せて、ベルギーの会社と合弁で大規模なSEP(自己昇降式台)船を導入し、海底に着床させて風車組立作業を行う準備をしている五洋建設株式会社の新工場で、SEP船に活用する足場組みの作成現場を視察させていただきました。

 室蘭市には私も2017年に視察に訪れた北海道内初となる移動式水素ステーションが導入されるなど、再エネや蓄エネに対する意識が高く、今後漁業組合などとの権利調整など難しい課題は残りますが、全国的に是非参考にしていただきたく、またその動向が今後の北日本の洋上風力発電の入札に与える影響も想定されるため、今後議連でも取り上げていきたいと思います。

2022年8月8日月曜日

令和4年8月8日

 [脱・ゆでガエル]


 5日、参院選後初となる臨時国会は3日間の短い会期を終えました。しかし一息ついている暇はありません。


 ウクライナ情勢は、ロシアが東部ドネツク、ルガンスク州で実効支配を広げ、現在は南部で激しい戦闘が続いています。それが世界経済にも依然大きく影響しています。

 加えて、アメリカのペロシ下院議長による台湾訪問に反発した中国が、台湾周辺海域で大規模な軍事演習を行うとともに、日本の排他的経済水域を含む海域にミサイルを撃ち込んで地域の緊張を高めています。

 また、日本の佐渡金山の世界文化遺産登録申請が手続の不備により今年は見送りになり、韓国のユネスコ委員が出し直しのタイミングで自国労働者の強制徴用問題を提起するのではないかと言われています。


 様々な激動が続き、かつ経済のグローバル化やコロナ後の国境を越える人の往来が進む中、日本が外交・防衛問題でどこまで毅然とした対応を示せるかは大きなテーマです。まずは価値観を共有する国々との連携を強め、国際法遵守の枠組みの主張とその実効性確保(防衛力増強を含む)を行うべきです。情報発信力に欠ける所のある日本の外交を立て直さないといけません。


 そして経済に関しては、エネルギーや飼料などから物価全般に波及している価格上昇に対し、最低賃金の過去最高レベルの引き上げをはじめとする賃金上昇が、ペースとしても金額としても追いついていないのが現状です。
 政府が予備費や補正予算で、あるいは地方自治体が国由来の交付金で、物価対策や生活支援を講じていますが、一時的であるとすれば金融面も含めた総動員が必要になるでしょう。


 一方中長期的な生産性向上も待ったなしです。DX(デジタルトランスフォーメーション)に加え、GX(グリーントランスフォーメーション、エネルギー構造の転換と温暖化対策)も劇的に進める必要があります。エネルギー供給力拡大のために安全の確認された原発の再稼働を政府は掲げていますが、温暖化に伴う冷却水確保の困難や放射性廃棄物処分など持続可能性を考えた場合にはそれに過度に頼るのは現実的でなく、蓄電池などの調整力を伴いかつ価格を引き下げた再生可能エネルギーの最大限の普及は絶対に必要です。環境面への配慮などをしつつ推進していきます。無論経済安全保障の面から部品を含め国産化をしっかり進めていきます。引き続き再エネ議連会長・バッテリー議連幹事長として尽力します。


 国産が必要なのは第7波を迎える新型コロナウイルス対策に必要なワクチンや治療薬も同様です。創薬のイノベーション推進のためには特許や治験の充実に加え、どこまで医療が経済の論理に寄り添うことが可能かという根本的な議論をする必要があるように思います。


 そして国産製品を充実させるには、人材の国際的交流を強化する必要があるというパラドックスと向き合わなければいけません。攘夷から開国への転換です。

 水際対策の合理的緩和、技能実習制度の抜本的見直し、国際共同研究の強化と国家安全保障の両立など、これから進めていくべき改革はいくつもあります。世界は熾烈な競争の中にあります。先月17日から21日まで日本・シンガポール友好推進議員連盟の企画で同国に出張し、そのことを痛感しました。

 日本は一周遅れであるが故に他の先進国の危機(不況・コロナ爆発)を避けられているとも言われますが、一周遅れでもついて行けなくなれば他国からは見放されることになるでしょう。ゆでガエルとならないようしっかりアクセルを踏まなければいけません。